1998年6月20日第34号
幸福ニュース

【 夫 】 (32才 女性)

{ナイカン}という言葉を始めて聞いた時、その字さえわかりませんでした。{内を観る}、はて、どういう事をするのか、不安のまま連れて来られた感じでした。先生から説明していただいて、夕方4時過ぎから、内観に入らせていただきました。

母にして戴いた事、して返した事、迷惑かけた事を繰り返し繰り返し、過去 の事実を先生に話しているだけの自分にイライラが募ってきたのは、3日目の夜でした。

面接者に{今まで述べてきた事は、私がここに来るまでに私自身が反省してきた事ですが、7日間続けて何があるのでしょうか。}と。今思い出しても恥ずかしい言葉を平気で言いました。

先生は、{この半畳の狭い空間の意味がそのうち解ります。だまされたと思って最後まで頑張って下さい。}とおっしゃいました。

私はまだ心から納得できませんでしたが、{ああ、また私の悪い癖だ。先生はこの道のプロなのだ。今まで私のような人を沢山見て来られたのだから、先生の言葉に素直に従おう。}と自分に言い聞かせました。

4日目、何か朝から違っておりました。窓の外の空や雲を見たくないのです。窓からさす日の光もいやで、私は後ろを向き壁を見つめました。気持ちがどんどん深くなって、一人になりたい、もっと考えたいという方向へ向かい始めました。

午後、テープをB面に返して、その声にハっとしました。先生!大学の仏教学の恩師 花山勝友先生でした。ああ卒業して9年間、先生の情熱に心を動かされて以来、ずっと忘れていた先生の声を今ここで聞けようとは。あの若かった頃、先生の講義に素直に耳を傾けていた私はどこへ行ったのだろうと、一人涙を流していました。ここで私が頑張らねばと思いました。

5日目夕方、あっと頭を上げて気がついた時、胸からサーと何かが降りるような感じがしました。{そうだったのか。私がうまれてから現在までの悪い行いが、今、父母、主人、子供を苦しませてきたのだ。}と気付いた時、私が何故、父母 主人を心の底から許せなかったのかが、解けました。基本問題しか解けぬ者が、いきなり難解な応用問題をまぐれにも解いてしまった感じでした。

もうその時から、私はむさぼるように夫に対する自分を探りました。{ああ、時間が欲しい。}と。その日の夕食は、ご飯ものどにつかえるようでした。口の中へ押し込みましたが、味を感じませんでした。ハッと我に返ると、食事中に内観している自分に気付きました。今までの食事の2倍近い時間がたっていました。

食器を洗っている時も、お風呂に入っている時も、五重塔への移動中も、考えている自分がいました。人とかわす笑顔も苦痛になってきました。一人になりたい、狭いところへ入りたい。暗がりを好む私になっていました。

6日目も壁に向かい、外にいる人の声も気になりませんでした。7日目昼まで考え、集中内観を終えました。ドロドロとした醜い己の魂に気付くのに5日かかりました。

深い愛情を注いでくださった父母。身をもって教えてくださった主人。泥沼の心をもった母から、蓮のような美しい心で生まれてきてくれた我が子。

7日間は終りましたが、私の内観はこれからなのです。内観で得た心を身をもって周りの方々に償っていくことの大切さを思います。一日一日が修行なのですね。日常のあらゆる所に勉強させていただくことが、沢山あるのだということを感じました。本当にありがとうございました。

【坂村真民詩集】
《あの人へ》

共に苦しみ
共に生きる
これがわたしの
詩を作り
詩を配る
願いであり
行である
未明混沌の空を
吹いてゆく風よ
伝えてくれ
生きる力を
無くしようとしている
あの人へ

《三不忘》

貧しかったときのことを
忘れるな
苦しかったときのことを
忘れるな
嬉しかったときのことを
忘れるな

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