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大日乃光






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2017年08月10日大日乃光第2183号
過去から未来へと命を紡ぐ先祖供養の功徳力

命を輝かせる生き物達
 
この時期、蝉達が朝日の昇る前から大きな声で鳴いています。今日で命が終わる蝉もいれば、あと一週間鳴き続ける蝉もいると思います。彼らは何のために大きな声で鳴き続けているかと言えば、皆さんご存知の通り、まさに次の世代を残すためであります。
 
そういった意味で植物も動物も昆虫も、皆な命を輝かせて精一杯生きています。この夏の暑い盛りに護摩を焚かせて頂くと、その熱気の中で燃える命を実感して、しみじみと有り難さを感じます。
 
皆さん達の切実な願いの数々に祈りを込めました。近頃では添え護摩の「良縁成就祈願」が「開運祈願」よりも増えているようです。その意味では、全ての生き物が次の世代を残すために今を生きているのに対して、人間は文明が進歩すると、そういう事をあまり考えなくなってくるようです。これは困ったことだと思っています。
 
 
お盆は日本だけの行事
 
そういった中で、命を継ぎ親となり祖父母となり、また子孫を守っていくという日本人独特の考え方が佛教と合わさり、一緒になって「お盆」という行事を生み出したわけです。
お盆という行事はインドにはありません。
 
中国では先祖を大事しますが、この時期に先祖を拝み大事にするという行事はないのです。そして春秋のお彼岸も、実は日本だけにしかありません。お盆とお彼岸で年に三回。そして当山では「正月供養」と合わせて年に四度、先祖供養の日を設けております。
 
既に七月盆の先祖供養は終わりましたが、今は八月盆に向けて先祖供養を受け付けている所です。そういった中で、先祖供養にはどういう意味があるのか?という事を現代の若い人達にも分かりやすく、また皆さん達が子や孫達に話して頂くために分かりやすい話を考えてみました。
 
世界に誇れる皇室の系譜
 
この蓮華院というお寺がおよそ八百年程前に出来たということをご存知の方は多いと思います。では皆さんの八百年前の直系の先祖は何人程になると思いますか?皆さんはご先祖様を何代前まで遡れますか?一般の方は四代か五代遡れば、その先はもう分からなくなる方が多いと思います。
 
そんな中で、世界で一番血筋が分かっているお方は天皇陛下で、今上陛下で百二十五代目になります。天皇陛下のように百二十五代まで遡らなくても、八百年と言えば、一世代を二十五年とした場合に大体三十二代ぐらいになります。
 
この蓮華院が創建された約八百年前の三十二代前まで遡り、ご先祖様の人数を全て合計すると何と(のべ)八十五億八千九百九十三万四千五百九十人となります。これは現在の全世界の約七十四億人を超えます。ちょっとびっくりするほど大きな数字ですが、一回子供さんと一緒に計算してみてください。
 
天皇陛下は日本人の総本家
 
今ここに居られる方々の全員が、今日初めて出会った方も、八百年前まで遡れば、恐らく九州に住んでいる人でしたらほとんどの方が共通の先祖に繋がっていくだろうと思います。さらに百二十五代まで遡れば、実は私達も天皇陛下の分家の分家の分家の分家?ぐらいにはなるはずです。
 
ですから天皇陛下は私達日本人の総本家と思われても良いのです。戦前の人々にはそういう意識があったと聞いています。ですから、より尊く、大事にしなければいけないという思いが強かったと思います。
 
連綿と続く命の繋がり
 
そこまでいかなくても、五代(六十二人)十代(二千四十六人)遡った時、その中のたった一人でもこの世にいなければ、例えば結婚前に交通事故や病気で無くなったりすれば、次の世代は生まれて来ないのです。私が家内と出合う前にどちらかが死んでいたら、今の三人の娘と七人の孫は確実に一人もいないのです。たった一人で歴史が変わって行くのです。
 
また次の時代になると、七人の孫達の内、おそらく何人かは結婚をして、子孫が飛躍的に増えて行きます。私達二人から三人が生まれ、三人がまた二人三人と生んでいきます。するとご先祖様を遡ってみたように、八百年後の三十二世代後の未来から現在を見れば、約八十六億人もの膨大なご先祖様達の中の一点に私達がいるわけです。
 
こうして何十代も何万代も、人間だった以前から繋がって、生命が地球で始まった時から途切れることなく続いて今に至っているのです。蝉達も何百万年前から、こうして鳴いてきたわけです。
 
加えて最近は生命を考える上で、遺伝子についての知識が発達してきましたので、八百年間三十二世代分の人の遺伝子の一部を、現在の私達は必ずもっていると考えることもできます。
 
私達の膨大な遺伝情報の中のどこかに、必ず先祖からの情報があり、必ず繋がっているのです。そう考えれば、現在に一切影響を与えていない先祖はいませんし、未来に影響を与えない人もいないのです。
 
子孫よ幸あれ!との願い
 
私は信者の皆さんのための祈願祈祷を熱心に務めた後、三人の娘夫婦とそれぞれの子供の生年月日を書いた仮札に念を込めて拝んでいます。ご先祖様を拝むと共に子孫の事も毎朝拝んでいるのです。
 
そんな中で、ふと孫達に「どうしているかな?」「元気でいてくれよ」と思った時には、皆さんも朝夕の勤行でお参りしておられると思います。子や孫達に幸あれかしと、願わない人はいないと思うのです。
 
という事は、私達は過去から未来への時空を超えた祈りの結晶であり結び目でもあるという事もできるのです。私達一人一人の命が、過去の人びとの願いの結晶であり、未来の原点なのです。
 
私達を見守る守護霊
 
ここまでは一般論です。では先祖供養の功徳とは何でしょうか?
それに対する一つの答えは、先祖の方々が綺麗な結晶のように、それぞれが安定した状態になって頂くことが「供養」の目的であり、それによって大地に支えられるように、安らかに平安に自分を支えて頂くことがその最大の「功徳」なのです。
 
少し前には「守護霊」という言葉が世間でよく聞かれました。命の危機に遭遇した時に祖父の顔が頭に浮かんだという話を聞いた事もあります。とても大変な時、危ない時に守って頂いたに違いないと。また、例えば祖父母が亡くなった時に、どうか天国(極楽)で私達を見守っていて下さいと願うものでしょう。
 
そして今度は過去から未来に目を転じてみると、自分が死んだら子孫を見守っていこうと思うのではないでしょうか。その子孫を思う思いが特に強い人が守護霊になるのではないでしょうか。
 
先祖供養は先祖浄化の開運祈願
 
ところが守護霊と反対の意味で、背後霊というのもあります。これはどちらかと言えば邪魔をする方で足を引っ張る方。じめじめした雰囲気で、何かもう少しで成功するという時にバタッと失敗したり、どうしてこんな風になるのかと思うほど運が悪かったりすると、何か悪い背後霊でもついているんでしょうかと思う人がいます。
 
背後霊とは、実は不成佛霊の事です。ところがそういう方々にも成佛して頂ければ、その中のご縁の深い方が守護霊として守って下さるようになるのです。ですから先祖供養をするということは、端的に言えば背後霊的にマイナスに働く不成佛霊に、プラスに働いて頂ける守護霊になって頂くための開運祈祷でもあるのです。
 
 
私達が先祖供養をお願いするという事は、自分や家族を守って頂くように、もっとお力を発揮して頂くように供養するという事です。マイナスに働いていたご先祖様に成佛して頂き、平安になって頂くことによって、そのお力で功徳を頂く。そういった意味では、信仰が深まるにつれて、皇円大菩薩様に言わば守護霊のようになって頂く事が大切です。
 
皆さん達にとっては皇円大菩薩様に守護霊になって頂ければこんなに有り難い事はなく、こんなに安心な事はないと、そういう事になるわけです。どうか更に信心を深めて、皇円大菩薩様に守護霊になって頂く程の信仰生活に励んで行きたいものです。合掌




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