1997年10月20日第10号
幸福ニュース
「正食道」(第一回)
(季節の物をバランスよく食べる)

正食道は栄養科学でありません。体によいもの(適食)心によいもの(聖食)生活によいもの(三昧食)を一つにして、自己の能力を最高に育成できるとともに、他を生かしうる自分をつくるのに最適な食物を摂取すること、すなわち自分を自然化し聖化するのに最適かつ必要な食物を摂取することです。

食物は天のエネルギー(気)と地のエネルギー(気)を合成してさまざまなものに変化したものであり、その食物が私たちの体内で血となり、肉となり、力となるのですから、私たちがどんな種類の食物を取るかによって、心身の作られ方と働き方がちがってきます。

どんな食物を食べれば心身にどのような影響が起きるか、どういう食物をどのように摂取すればよいのか、これを古代から長年かかって体験を通して研究したのが、ヨガの正食法です。

食事についても、自然に食ぺていればいいのかというと、決してそうではなく、私たちの日常の食事は、きわめて不自然なものになっています。動物としての人問が誕生したころ、人間はいまとはまったくちがった食生活をしていました。猿と同じように、生きた果実と種子と根を採取して食べていたのです。

ところが、人間は火を便うようになってから、雑草や植物のでんぷんを加工して主食とするようになりました。火を使うようになって、それまで食べられなかった物も食べられるようになり、栽培をはじめ、さらに道具を使って魚肉の動物性たんばく質を取るようにもなったのです。また、貯蔵食の各種も発明しました。

こうして、食物の範囲がひろがってくると、人間の生存圏と適応力が大きくひろがってきました。同時にこの雑多な刺激が頭脳を発達させる力ともなりました。年中、実のなる所でなくとも、別の食物が得られるし、米・麦やつけ物のように貯蔵の利く食物は年中食べられるようにもなったのです。人間の食生活はこうして非常に幅広くなり、多彩になり、かつ豊かになったのですが、このため過食したり、特殊な味覚を好むようにもなりました。

アフリカの原始生活者は、化学調味科はおいしく感じませんでした。文化生活者ほど幼児から加工食を多くし、不自然な調味料を使ったりするために、正しい味覚や嗅覚を失ってしまうのです。これらの感覚が動物にとっては、自己防衛の役割をしているものであって、動物は味・嗅・視の三覚で毒か否か、適か不適かを感知しているのですが、人間はこの能力を失調しています。

こうして自然性を高める人間の理想的食事というものを考えたのが、ヨガの食事法であります。その第一を適食といい、それは自然なものを自然のままに食べることです。これを自然食といいますが、豆とか木の実とか葉をできるかぎり火の加えられていない生のままで食べることが一つ、つぎに野菜なら葉から茎、根まで、なるペく全体を食ペるようにします。

人間の身体は、弱アルカリ性であるのが理想的であり、こういう自然の食物は、ほどよいバランスを保っているので、体液を異常にすることがありません。しかしたいていの人は酸性過剰です。

現代は小さいころから、三大栄養素としてたんばく質、炭水化物、脂肪が人間の身体に必要であると教えられ、ことにたんぱく質の多い動物の肉を味がよいうえに栄養価の高いものとして考える癖がついています。

そのうえ、炭水化物を多くふくむ米を主食として、その双方を胃のはちきれそうになるまでつめこむ。これはみな酸性食品ですから、体液に酸性分が過剰になるのは当然のことです。おかずに添えられているつけ物とかレタスとかはごく少量で、それも食べない人が多い。魚でもアルカリ性の骨と皮を残して食べない。こうして体液を酸性過剰にするのです。体液を酸性過剰にすると、神経が興奮し、その興奮が恒常化するとこんどは炎症とうっ血と筋肉硬化によって神経マヒの状態となり、代謝異常を起します。

意識はどんよりとして、神経は落着かず、腹が立ちやすいのに、元気がなく、しかも過剰な食欲と性欲に悩まされるというふうに、とめどがない酸性過剰の迷宮をさまようことになります。

こうした酸毒の害をのぞくためには、アルカリ性食物をとって中和させなげればなりません。そのための鉱物質は鳥獣魚類の骨や生野菜、海藻、木の実、きのこ類、果実などにふくまれています。仙道食とか、ミイラ食というのがこれです。

またヨガでは、他物つまり食物を自己化する働きをするチャクラの一種、分泌液を非常に重視します。たんばく質を分解するトリプシン、あるいはペブシン、脂肪分解酵素のリバーゼ、でんぶん酵素のアミラーゼなどの酵素がこれにふくまれており、これらの栄養素もこれらの酵素で分解されてからでなければ、消化器官から体内へ吸収されません。 この種の酵素は、今わかっているだけでも八十種類もあり、それらの酵素も私たちの食べる食事から原料を補給されているわけです。

生野菜、木の実、木の芽牛乳、麦胚芽、酵母、ヨーグルト、つけ物、みそ、しょうゆ、などは酵素促進食であり、果実酒なども、これにはいります。私はヒマラヤの山奥で、狼たちが果汁を岩穴にため、果汁酵素を作って飲んでいるのを目撃したことがあります。発酵ということは、、自然生活のなかで知られることであり、自然の動物はこれを熟知していると思われます。日本食の特徴は発酵食が多いことです。私は祖先の英知に感心しています。(続く)

今回は健康について、沖正弘先生のお考えを皆さまにご紹介しました。万人に向く健康法はありません。人によって正しい食事は違います。2〜3割ぐらい実行できればよろしいのではないかと思います。

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