1997年8月24日第4号
幸福ニュース
坂村真民詩集


                  「二度とない人生だから」

                    二度とない人生だから
                    一輪の花にも
                    無限の愛を、そそいでゆこう
                    一羽の鳥の声にも
                    無心の耳を
                    かたむけてゆこう

                    二度とない人生だから
                    一匹のこおろぎでも
                    ふみころさないように
                    こころしてゆこう
                    どんなにか
                    よろこぶことだろう

                    二度とない人生だから
                    一ぺんでも多く
                    便りをしよう
                    返事は必らず
                    書くことにしよう

                    二度とない人生だから
                    まず一番身近な者たちに
                    できるだけのことをしよう
                    貧しいけれど
                    こころ豊かに接してゆこう

                    二度とない人生だから
                    つゆくさのつゆにも
                    めぐりあいのふしぎを思い
                    足をとどめてみつめてゆこう

                    二度とない人生だから
                    のぼる日しずむ日
                    まるい月かけてゆく月
                    四季それぞれの
                    星々の光にふれて
                    わがこころを
                    あらいきよめてゆこう

                    二度とない人生だから
                    戦争のない世の
                    実現に努力し
                    そういう詩を
                    一篇でも多く
                    作ってゆこう
                    わたしが死んだら
                    あとをついでくれる
                    若い人たちのために
                    この大願を
                    書きつヾけてゆこう



                    「こころのあじ」           
                   (病いに臥しける日つくる)

                     かえりみる
                     やよいうづきのたびに
                     いともうれしかりしは
                     みたりのひと
                     みたりとも
                     こころをこめ
                     こころづくしの
                     おむすびを
                     われにおせよと
                     たまいしことぞ

                     ひとりは
                     えちぜんの
                     ちいさきてらの
                     とつぎていまだ
                     まもなきひと
                     だんとのさざげし
                     ふくいのこめの
                     ましろきを

                     ひとりは
                     みかわのさとの
                     そのなもゆかし
                     りょうふうしゃなる
                     よきひとのつま
                     たくはつなされし
                     そのこめを

                     もひとりは
                     みやこにすむ
                     わがおとうとの
                     よめにして
                     はいきゅうものの
                     まずしきをわびて
                     のりにてまきしを

                     ああ
                     よきひとよ
                     きよきこころを
                     たびびとのわれに
                     ねもごろに
                     かくもつつみて
                     たびしむすびや

                     ひのもとの
                     とおいおやより
                     にぎりきたりし
                     ありがたき
                     これのむすぴや

                     まごころの
                     まろまろと
                     つたわりきたり
                     ころころと
                     ころがりきたり
                     むすばれし
                     くしきえにしに
                     あたたかきものの
                     こみあげきたり
                     いまにわすれじ
                     そのみこころのあじ                    

『めぐりあいのふしぎに てをあわせよう』 真民

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

*あなたも メールマガジン「幸福ニュース」を購読しませんか。費用は、無料です。 下記に登録するだけで、E-MAILで毎月3回自動配信されます。

メールマガジン「幸福ニュース」登録

電子メールアドレス(半角):
メールマガジン「幸福ニュース」解除

電子メールアドレス(半角):

幸福ニュース・トップページ