2005年11月26日第336号
幸福ニュース

【母を亡くした方の内観】(30才男性)

 初日から三日目あたりまでは、父と母の事について調べまして、両親に対し、いかに自分が甘えていたかを知りました。

 父は、幼い頃の私を仕事で忙しい中、九州各地へ旅行に連れて行っていただきました。他にも私がソフトボールをしたいと願えば、グローブやバット等、道具一式を買っていただき、練習を付き合ってくれました。

 父に対する内観で、私は父の時間を多く頂いていた事に気付きました。もちろん今までは「子供」という立場での物の見方しかしておらず、父の時間を私に注いでくれていた大きな愛情が存在していた事を知りました。

 母に対する内観は、一番多くの時間を共にしていた事もあり、数え切れない愛情に気付きました。

 まず第一に、私をこの世に生んでいただいた事。この事は今まで考え感謝した事など、一番ありませんでした。漠然の中での感謝ではなく、本当の心で今回「ありがとう」を言えました。

 二つ目に幼少から思い調べると、母は私の体をとても気遣ってくれていた事に気付きました。病気の時はもちろんの事、冬の防寒も、ケガの処置も、全て母は包み込むように私に接してくれていました。

 三つ目に、母は私の生活環境のサポートを蔭ながらしてくれていた事に気付きました。私がバスケットボール部のキャプテンをしていた頃、父兄の中心となり、私達チームの為に、参加費・用具・手引き等、当時私が練習や試合にだけ集中できていた意味が、今わかりました。

 学業の事でも、常に気にかけてくれて、必要ならばと教材を買ってもらったり、深夜勉強している時に夜食を作ってもらったり、今までの学業成績全てが、自分の努力だけで成立していない事に気付きました。

 大学の時には、毎月の仕送りと共に、米や食料を送ってもらい、初めての一人暮らしの私をいつも気にかけてもらっていました。生活全てにおけるサポートを、当時の私は自分の事だけしか考えておらず、その成果を自らの力だけとしかとらえてなかった事を恥ずかしく思いました。

 4日目からは、具体的に分かった費用を明確にして内観しました。数字に表してみると、教育にかかる費用はもちろんの事、生活費・雑費が22年間で考えもしなかった額になり、それを私が使ってきた事が信じられない思いでした。

 私が社会人となった今、一円、十円の重みを感じてはいたのですが、この大金を費やしてくれた両親に、今まで何の感謝もせずに、当たり前の感覚でいたことを恥ずかしく思います。

 私の母は5年前に亡くなりました。病床の母はとても弱っていて、当時の私は、その時とばかりに、今までの恩返しをベッドの横でして過ごしておりました。しかし、その当時に感じていた母の愛情・御恩は、今思うと、ほんのごく一部だった気がします。

 今回内観を体験させてもらい、あふれ出る愛情に気付いた今、その愛情を返す母がこの世にいないと思うと、とてもやるせない気持ちでいっぱいです。

・・・もうこの思いは繰り返したくない・・・・・

 父や兄姉、友人達に返しきれていない愛情は、まだまだ沢山あります。父にはこれから年齢と共に衰えてくる部分を私がサポートし、金銭面での支えにもなると誓います。

「まとめ」

 今回の内観で四つの事を学びました。

1.して頂いた事に対して、当たり前という受け取りを排除。相手の立場と心情を察する。

2.して返す事の大事さ。損得勘定では、本当の愛情を受けも与えもできない。

3.その場その時の感情ではなく、常に感謝の意を忘れない。

4.して頂いた事をしっかりと感じる感度を持つ。

 以上四つの事を受けとめ、明日からは新しい自分に生まれ変わります。今回貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。(終)

【坂村真民詩集】

《 昼の月 》

昼の月を見ると

母を思う

こちらが忘れていても

ちゃんと見守っていて下さる

母を思う

かすかであるがゆえに

かえって心にしみる

昼の月よ

【仏語集】

 広く施し、敬うべき人を敬い、仕えるべき人に仕え、深い慈悲の心をもって他人に向かわなければならない。利己的であったり、思うままにふるまうのは、道を行う人の行ではない。

 仏を信じない人は、自分の事だけを思いわずらうから、心が狭く小さく、いつもこせこせと焦るのである。しかし、仏を信ずる人は、背後の力、背後の大悲を信ずるから、自然に心が広く大きくなり、焦らない。(大般涅槃経)

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