私が蓮華院の内観にご縁がありましたのは、主人の一言でした。 「一週間蓮華院へ内観療法へ行っておいで。家の事は心配しなく て大丈夫だから。」

　私は金銭問題をひんぱんに引き起こし、主人に大変な迷惑をか けておりまして、「何か心の奥に問題があるのではないか、自分 の事を恨んで、わざと迷惑をかけているのではないか。」と、主 人なりに悩み、申し込みをしてくれていました。私は素直に受け止める事が出来ず、仕方なしに来たと言った何とも情けない状態でした。

　内観初日こちらに着きまして、出迎えて下さった先生方を見て 一遍に不安な気持ちが消えました。先生方の笑顔、静かな環境、 とにかく一週間こちらで頑張ってやってみようと決意しました。

　さっそく部屋に入り屏風の中に座りました。先生が「母に対す る小学生の頃を調べてみましょう。」とおっしゃり、考えてみる のですが、全く集中出来ませんでした。また、じーっとしていると眠くなり、「１週間も続くのだろうか。一つでも得て帰れるものがあるだろうか。」と、不安が頭を よぎりました。

　何とか内観を一日、２日と続けていると、不思議なもので体も 慣れ、三日目の夜位からは、かなり集中して内観をさせて頂くこ とが出来て、色々な気付きが出て来ました。朝のお参りや夕方の お参りもリフレッシュになりましたし、すばらしい体験でした。

　まずは、母の内観から始まったのですが、小さい頃から現在ま でを振り返り、愛情をいっぱい注いで育てて下さったと感謝の気 持ちでいっぱいになりました。どんな時も温かく見守って下さり、 自分の事は二の次で、家族の為に動いて下さいました。

　母にお返しした事を考えましたが、してもらうだけで何もして 差し上げた事が思い出せず、何とも親不孝で、心配を掛けるだけ の自分勝手な人間だったと気付きました。実家は遠く離れており ますが、時には電話連絡を入れ、元気な声を届けてあげたいと思 います。

　父にたいしての内観は、非常にスムーズに進めることが出来ま した。父は、私が４０才の時に不慮の事故で亡くなりました。内 観を通し、私は父が亡くなる最後の最後まで心配を掛けていたと 思いました。

　亡くなる前日の夜、実家を訪問した際に、いつもは帰る時見送 りをしてくれた事などありませんでしたが、その日は車の所まで 来て、「しっかりと今後は頑張れよ」と声を掛けてくれ、亡くな る直前も、仕事の昼休みに電話があり、「本当に頑張れよ」と言 って下さいました。虫の知らせでしたでしょうか、最後の最後まで、こんな私を想 って心配してくれていたんだなと、涙が止まりませんでした。

　恩返しもしないままの状態になり、もう少し早く内観にご縁が あり、気付きが出来ていたならばと、ただただ父に申し訳ない気 持ちで一杯になりました。

　主人に対する内観では、１回目の時は、してもらった事も、し て返した事も、迷惑を掛けた事も、何も想い浮かばない状態が続 き、考えていると悲しくなり、久しぶりに沢山泣きました。面接 のとき、先生が「無理をしなくて良いですよ」と優しく声を掛け て下さいました。

　とにかく主人には、結婚してから迷惑の掛け通しでした。あま りにもひどい私の心を自分で認めるのが嫌になり、何も考えられ ない状態になっていたと思います。

　内観も日にちが進み、５〜６日目になるとすごく集中出来て、 時間が足りないくらいでした。母・父・主人に対しての２度目の 内観は、屏風の中で色々な気付きを得ました。

　特に主人には、最初、「こんな人と結婚したから、自分は不幸 だ」と罰当たりな事を考えていました。しかし、子連れの自分を 選んでわざわざ結婚して下さったのです。もし、主人がいなかっ たら、私も子供ももっともっと悲惨な状態になっていたでしょう。

　全ては、自分に責任があることに気付きました。今回の内観修 行は、私が変われる第一歩！！素晴らしい体験でした。今後は、 主人に心を合わせ、家庭愛和を心がけていきたいと思います。

　今回お世話になりました先生方、本当にありがとうございまし た。そして三度の食事もとってもおいしかったです。本当に感謝 しています。