2002年8月6日第167号
幸福ニュース

【 自己とは何か 】

 皆さん、幸せですか。幸せになりたいという人は、大勢いらっしゃると思います。でも幸せになる方法はご存じですか。幸せって何でしょう。お金があったら幸せですか? 車があったら幸せですか? 恋人がいたら幸せですか? 仕事があったら幸せですか?

 私自身にも、こんな経験があります。学生の頃、バイト代が入りお金がある時は心にゆとりを感じ、それを使い終わると虚しさや不安が残る。彼女が出来た時は幸せを感じ、付き合いが長くなり喧嘩が多くなった時は自分の不幸を呪う。また、バイト先でやりがいや居心地のよさを感じると、その仕事を天職だと思い、嫌いな先輩等ができるとバイトに行くのも嫌になる。

 ここで問題となるのは、自分自身の価値観です。自分の目標・自分の願望・自分の領域、自分の自分の自分の・・・・・・・・。

 そこで自分=自己とは何か。普段、私達は自分を中心として生きています。言いかえれば自分を中心に置いて、周りの人間関係を築いています。言わば、自己天動説という見方・生き方です。

 例えば、嫌いな人(仮にAさん)の事を思ってみて下さい。なぜそのAさんが嫌いなのか。その理由として、悪口・嫌味を言ってくる。考えがあわない。行動やしぐさが気に入らないといったたものがあげられるでしょう。でもここで考えなければならないのは、これらの事は、「自分に対して、自分にとって」というところです。他の人の中には、そのAさんに対して好意を抱く人もいるかもしれません。

 この考え方・物事の見方が、自分を幸せにしたり、不幸にしたりするのではないでしょうか。

 数年前からよく聞く言葉に、+(プラス)思考というものがあります。この嫌いなAさんに対して、視点を変えて、+(プラス)思考でみてみましょう。なぜAさんは悪口や嫌味をいってくるのか。Aさんの言葉を悪口だと思わず、良い助言だと決めつけて、その言葉を飲み込んでみる。するとその悪口や嫌味の中に、自分の欠点や短所といった部分が含まれていることに気づかされます。

 普通、人は他人から悪く思われたくありません。Aさんは、その危険をおかしてまで、私に仏様の代わりに忠告して下さったわけです。その事に気づくと、Aさんに対して好意が生まれてきます。これが+(プラス)思考です。

 一般的に悩んでいる人や、病気の方は、こだわりを持っている事が多いようです。競馬で、馬が目隠しをつけられて、視野が狭くなった状態に似ています。でも、そのこだわりをなくせと言っても、自分では簡単にできませんね。ですから、誰か信頼できる人に相談したり、カウンセリングや内観を受けるわけです。そうして、やっと心の奥底に染み付いている、自分を不幸にしている考え(煩悩)を流し去ることができるのです。

 その心の垢が小さくなったり、なくなると、人生が楽しくなってきます。環境が変わったわけではありません。自分のものの見方・考え方・受け止め方が変わったのです。外国に行くと、日本のことがかえってよくわかるようなものです。視点を変えると物事の新しい面に気づき、さらに理解が深まるのと似ています。

 それから、仏教でよく言われる「空」とは、直訳すると「無執着」ということです。正確に言うと「無執着にすら執着しない無執着」です。わかりやすく言うと、「とらわれすぎなさんなよ。こだわりすぎなさんなよ。かたよりすぎなさんなよ。とらわれないということにすら、とらわれすぎなさんなよ。宇宙のようにとてつもなく広く大きな心、水のように柔らかい心を持って、毎日生きていきましょう。」というのが、般若心経のメインテーマです。

 また、『パーリ、一切漏経』には、「ものの見方を正しくして、その原因と結果とをよくわきまえる。すべての苦しみのもとは、心の中の煩悩であるから、その煩悩がなくなれば、苦しみのない境地が現われることを正しく知るのである。見方を誤るから、我(が)という考えや、原因結果の法則を無視する考えが起こり、この間違った考えにとらわれて煩脳を起こし、迷い苦しむようになる。」とあります。

 まことに自分の心ほど自分を楽しましたり、苦しめたりするものはないのです。お寺で毎月行っている内観も、普段の自分の考え方を+(プラス)思考に変える効果があります。

 自分中心の世界を探すのではなく、180度観る角度を変えて、周囲の人々の中にある自分の姿を探す。そこには自分が知らないもう一つの自分の姿があり、その姿を見つけることによって、自分の欠点や甘さを頭でなく心で認識できる。するとその欠点を直そうという衝動が起こる。あるいは、ありのままで生かされている自分を知る。また、当たり前が実は有難いことだということが心の奥底で解る。それら全体が一種の+(プラス)思考とも言えます。

 幸せになる近道。それは周りの人々を幸せにする事です。周りが幸せを感じるということは、自分の存在が周囲にとって役立っている存在であること。周りの人々にそういう風に思われるようになれば、だれでも幸せを感じることが出来ると思います。それには先ず、自分の考えと行動を変えることから始まります。皆様も、夏期休暇は非日常に心身を置いて、日頃忘れていた自分を取り戻すのに使ってみてはいかがでしょうか。是非一度、内観をやって自己を見つめ、幸せ探しをしてみてください。合掌

【坂村真民詩集】

《除く》

長い航海を終えた

大きな船にくっついている

海藻や貝がらを

ドック入りさせて

取り除いているのを見て思った

われわれも長い人生航路で

いらぬものが一ぱい

体にくっついて

どうにもならなくなっている

これを取り除くことが大切だ

不動明王のあの剣で

ごしごし削り取って頂こう

そして軽々とした体になり

また新しい出発をしよう

【仏語集】

 執着があれば、それに酔わされて、ものの姿をよく見ることができない。執着を離れると、ものの姿をよく知ることができる。だから、執着を離れた心に、ものはかえって生きてくる。悲しみがあれば喜びがあり、喜びがあれば悲しみがある。悲しみも喜びも超え、善も悪も超え、初めてとらわれがなくなる。(法句経)

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第165号 クリスチャンの内観

第163号 母と弟と私

第161号 働きがいのある人生

第159号 内観研修を終えて

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