1999年4月1日第61号
幸福ニュース

【 生きがいの本質 】

(The Worth of Living  私たちは、なぜ生きているのか)
(飯田史彦著  PHP研究所)

「生きがいの創造」「生きがいのマネジメント」に続く著者の生きがいシリーズの集大成ともいえる書です。著者によれば、「これは宗教ではなく、あくまで一つの仮説であり、人生のひとつの杖として、自分なりに工夫してお使い下されば結構です」ということですが、非常に重要な一つの考え方であり、受け入れる人にとっては、癒し、力をあたえてくれる本だと思います。ぜひ一度お読みください。

仏教でいう四苦八苦の解決法を、現代の最先端の科学的研究により、別の側面から実証しているように思われます。21世紀の半ばには、人間の魂や、あの世のことも、もっと科学的に明らかになっているのではないかとも考えさせられる書物です。

個人的には、「祈りの力」に関する実証的研究が面白く、また、一般の人も使える内容でした。

『人生は思い通りにならないからこそ価値がある』

 1.人生で思い通りにならない代表的なこと三つ
A.死ぬということ
B.病気になったり身体に障害(ハンディキャップ)を持つということ
C.人間関係のトラブルで苦悩するということ

 2.私たちは、なぜ生まれてくるのか・・・それは、生まれてこなければ経験できない貴重な学びの機会があるからこそ生まれてくるのであり、その機会、つまり「死」や「病気」や「人間関係」などの「思い通りにならないこと」を通じて学ぶことこそが人間として生きる目的・意義・意味なのだと言えるでしょう。

 3.被験者たちが「光」と表現する意識体である私たちは、生まれる前には、ある程度の個性を持ちながらも、ひとつの大きな光としてつながっている状態のようです。そして、自分自身で、次の人生という問題集を計画し、生まれる前の記憶や人生設計の記憶は、生まれる瞬間に自分自身で消して(正確に言うと、潜在意識の中に閉じ込めたうえでフタをして)から生まれてきます。

(『華厳経』には、我心と仏心と衆生心の三心が本来平等であるという「三心平等」の考えがあり、真言宗の「三昧耶戎」では、行者と仏と衆生の三者が本来平等であるといっています。)

 4.「修業」とは、「ありがたい試練」という意味であって、単なる苦痛ではないのです。「身体を持つからこそ経験できる試練」があるのと同時に、「身体を持つからこそ味わえる楽しみ」もある。

 5.次の人生で夫婦となる二人が、生まれる前に相談して、わざわざ子供を持たない人生を計画する場合もある。子供を持たないからこそ、子育てのしがらみから、時間的・身体的に解放されるため、世のため人のために果たすべき「今回の人生の使命」を遂行しやすくなることがあります。「子供を持たないのも、また順調のうちであり、予定通りである。自分達は、どのような使命を果たすために、子供を持たない人生を計画したのだろうか。」

 6.ソウルメイトのことは、「そで振り合うも他生の縁」という奥深い格言で表現されている。(多少の縁ではありません)今回の人生で関係のある人々は、過去や未来の人生でも関係のある人々で、今後も何度も出会っていくのだから、大切にしなければなりません。

 7.ソウルメイトである私たちは、お互いに助け合い、協力しあい、そして愛し合うことで成長していくものなんだと、ギブアンドテイクではなく、愛することこそがすべてなんだと、やっとわかりました。

 8.目の前にいるその人は、ただ偶然にいるわけでは」ないということ、よほどの理由があって、時空を超えた劇的な再会を果たしているのだということ・・・このことを理解するだけで、人間関係がずいぶん奥深いものになり、「その人がいま、予定通りにそこに存在してくれている」という事実が、ただそれだけで、いかにありがたい現象であるかということに気付くのです。

 9.人間にとって、失恋するということほど、大きな成長の機会はありません。「いまの恋人や妻や夫の良さがわかるのも、これまで自分を振ってくださった方々のおかげである」と確信することができたならば、その感謝の気持ちこそが、心の傷を癒してくれるのです。その「感謝が傷を癒す」という不思議な体験を味わうことが、失恋というつらい修行課題が持つ、最終目的なのです。

10.離婚した相手だとしても、離婚は学びのプログラムですから、その相手をいつまでも恨んだりしてはいけません。たとえいまは別れていても、かっては人生の一時期をともに生きた「戦友」であり、今後の人生でも深い関わりが生じてくるはずです。だからこそ、「人生の一時期、あなたとの関係を通じておおいに成長させていただきました」と感謝しながら生きることが必要なのです。

11.浮気はいけません。自分の分身でもあるソウルメイトを裏切ることは、自分で自分の身体にナイフを突き刺すような行為であるため、何らかの形で、必ずその代償を支払うことになるからです。特に男性にとっては、男として生きることを選んだ人生で与えられる大きな修行課題が、「性欲をコントロールする」という難題です。

12.過去の過ちに気付いた人は、今後はその過ちを取り戻すべく、善いことをしてください。人生は「敗者復活制」によって計画されています。

13.「人生は自分自身で計画したものだ」という大前提に立つことが、大きなブレイクスルー(価値観の転換による現状突破)をもたらしてくれます。「世の中、悩むことや思い通りにいかないことも含めて、予定通りに順調であり、無駄なものは何一つないのです」

14.「許すこと」の大切さは、どんなに強調しても強調しすぎることはありません。

15.今、どうしても相手を許せない人は、どうぞ、思いきり、怒ったり、恨んだり、憎んだりしてみてください。ただし、その感情を、実際に相手本人にぶつけてはなりません。しかも、いつかその人を許すために、いまは思いきり怒り、恨み、憎むのだという目的を、決して忘れないで下さい。諺にも、「罪を憎んで人を憎まず」とあります。108の煩悩のうち一番気をつけなければいけないものは、瞋(じん:恨み)の毒です。自分を破滅させます。

16.いま、自分がどうしても怒ったり、恨んだり、憎んだりするのは、あくまでも、「そのような感情を通じて学ぶ」という自分が計画したプログラムの一部なのです。したがって、そのような感情を抱く相手は、「自分に対して、そのような感情を与えてくれる役割を果たしてくれている存在・俳優」にすぎないことになります。

17.実際に、退行催眠の実証例を分析すると、自分に対してトラブルを起こしてくる相手は、過去の人生で自分の方が相手を裏切ったり傷つけたりしていたため、今回は入れ替わって自分が代償を払っているという事例が大半です。言いかえれば、相手には本当の罪はなく、相手を恨むということは、実は、過去の自分自身に対して、怒ったり恨んだり憎んだりしていることになります。

18.自分が嫌いでたまらなかったけれど、本を読んで、何だ、自分で計画した人生だったのかと思った瞬間、自分が好きになった。自分を許し、自分の性格をありのまま受け入れ、致命的な失敗をしない範囲内で、その性格の長所短所をのびのびと発揮させてやることが望ましい。

19.死という現象を通じて学ぶ。 A.自分の死を通じて自分が学ぶ。B.自分の死を通じて、人々(特に家族)に学んでもらう。C.家族や知人などの死を通じて自分が学ぶ。

20.まわりの人々に大いに感謝しながら死んでいく。

21.「来世でまた必ず会える」と「人生は自分自身で計画した問題集である」という大前提さえ認めることができれば、意識はどんどん未来を向き始め、身近な人の死のショックから早く立ち直ることができる。

22.「人間は意識体(俗にいう魂)として永遠の存在であり、死は終わりではなく、次の人生の始まりであること、また必ず家族たちと再会できること、そして人生は自分自身で計画したものである。」ことを受け入れられると、「死への恐怖が少なくなる」人が多い。

23.死生観、人生観、家族観を変えることが、貴重な「生きがいの源泉」になる。
A.死生観(死は終局ではなく、新たな人生の始まりであると考えること)
B.人生観(人生とは、さまざまな価値ある困難を通じて自分を磨き成長する修行の場であると考えること)
C.家族観(夫婦、親子、兄弟姉妹などは、今後の人生でもやはり身近に生まれ変わって助け合う永遠のソウルメイトであり、また必ず何度でも再会できると考えること)

24.病気は悪いものというだけでなく、自分を成長させてくれるものでもある。

25.この地球という研修センターで、人間として生きるうえで最高の試練、もっとも難度の高い試験問題は何かといえば、それは、「入っていく身体そのものに試練を与えること」であり、重い病気や障害を持って生きるということです。

26.重い病気や障害というハンディキャップをお持ちの方々は、まさに人間を卒業するまぎわの、卒業試験を受け、卒業論文を書いていらっしゃるような、素晴らしい方々なのです。私たちは、大いなる尊敬の念を抱きながら、重い病気や障害をお持ちの方々に接してさしあげねばなりません。なぜなら、そのような方々は、いわば人生の大先輩であり、「自分自身の未来の姿」だからです。

27.気功体操の指導員のお話
「気」は誰でも持っています。しかし、そのエネルギー体の質と量はさまざまです。私が担当している生徒さんたちを見る限り、炎の大きさ・温かさは、「心の解放度」に比例するのではないかと思うのです。とにかく、病気や障害を持っている人たちの気はすごいです。身体が自由にならない分、省エネの仕方、創造力、発想の転換などの工夫が、とても上手です。生きていく上で必要なことを身体が知っているからでしょう。身体を自由に使える人の方がそうした能力はかえって乏しいのです。

28.人間としての最高段階

A 身体は自分の一部にすぎないと認識し、「本当の自分とは、身体以上の何かである」と理解している。身体や精神に生じている問題や自分の状況を、より客観的に判断することができ、目前の現実のつらさや悲しさに、必要以上にとらわれない。

B 過去の価値観や無用のプライドにとらわれていた自分に気づき、新しい価値観を見出して生きはじめている。外見や他人からの評価、金銭、物財、地位、名誉などの外在的基準(自分の外にある基準)よりも、自分が持つ価値を最大限に発揮して生きぬき、生まれてきた便命を果たしたいという内在的基準(自分自身で納得できるかどうかという基準)に、比重が置かれている。

C 自分の悩みや弱さについて、他人とこだわりなく話し合える。他人を外見や地位などによって差別しないで、どのような相手でも分けへだてなく受け入れることができる。

D いまを生きることの価値に目覚め、日々を大切に生きている。思い通りにならないことも、それはそれで意味や価値のあるものだとして受けとめ、自分に対しても他人に対しても、かけがえのない固有の存在価値を認めている。

このような状態で人生を生きぬくことができるようになれば、修行の場である人生を、充分に活用することができることでしょう。

29.自分の使命は何かという問題を考える際には、、「自分がいま持っている価値は何だろうか。」「これまでの自分の経験や知識や人脈を生かせば、何ができるだろうか。」と考えてみればよい。

30.いかなる神仏も根っこの部分はつながっている。そして、そのつながっている根っこの部分では、私たち人間のひとりひとりも、みな同じようにつながっているにちがいありません。だからこそ、私たちの誰もが、心の中心では神仏とつながっており、私たちは、神仏の一部を構成しているのではないでしょうか。

31.信念は力なり。人は自分を「癒す力」を持っている。

32.「自分は必ず、この試練を乗り越えることができる」という強い信念と希望を抱くことによって、本当に「心の奥に組み込まれている問題解決プログラム」(病気でいう心の治癒力)が働きだして、試練をつらいと思う気持ちが軽くなったり(病気でいう痛みの軽減)、試練を解決する方法が見つかったり(病気でいう治癒)するのです。

33.祈りには力がある。

A.祈ってもらった患者たちの方が、祈ってもらわなかった患者たちに比べて、病気の進行が明らかに遅かった。距離は祈りの効果を妨げない。(元カリフォルニア大学心臓学教授ランドルフ・ビルドの実験)

B.スピンドリフトの研究結果

辛いときほど、祈りの効果はたかまる。
祈りの効果は、祈りの量に比例する。
祈りの経験の長い人の方が経験の少ない人よりも大きな効果を生む。(困った時の神頼みではダメ。)
祈る人が祈りの対象を明確に意識しながら祈るほど、祈りの効果が高まる。
最善の状態になることを祈りさえすればよい。
祈りの力は「人類や地球や宇宙全体にとって正しいこと」のために効果を発揮する。
ただ、「私をお導きください」「あの人をお導きください」と祈ればよい。広く長い眼で見て最良の結果がもたらされることでしょう。

お釈迦様も{人生は苦である(苦とは、思い通りにならないという意味です)}とおっしゃられています。けれども、内観でもそうですが、状況は同じなのに、考え方が変わると癒され、元気がわき、人生が楽しくなってきます。自分の見かた・受け止め方・感じ方が変わると周囲も変わり、状況は同じなのにいつしかよくなっていきます。不思議なものです。この本はそういう本です。

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