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2018年02月20日大日乃光第2200号 貫主権大僧正様御親教
運勢の変わり目に「三密」を実践しよう 

例年になく寒い日が続いております。皆さんインフルエンザに負けないよう、お元気でお過ごし下さい。
 
「恵方巻き」の風習を通して「節分」の意味を問い直す
 
さて先日の節分について、近年は「コンビニ文化」の一つと言うべき「恵方巻き」が流行っています。そもそもこれは関西で始まった風習で、九州には全くなかったものです。コンビニは全国一律ですから、関西の文化が全国に広まっているわけです。
 
「恵方巻き」はそもそもどういう意味だったのでしょうか?節分は四季それぞれの最初の日〔立春・立夏・立秋・立冬〕の前日ですから、本来は年に四回あるのですが、中でも立春の前日のいわゆる節分が一番大きな運気の変わり目になるのです。
 
ですから正確に言えば二月三日までに生まれた人の干支は本当は戌年ではなく、一つ前の酉年に当たるのです。この事は一般にはあまり知られていません。普通は干支は元旦から変わると思われていますが、正しくは運勢の一番大きな変わり目の節分を境に変わるのです。
 
「一年の計は元旦にあり」と申しますが、この運気の変わり目の節分に当たり、もう一度心の在り方や生活の在り方を見つめ直してみようという、私達にとって「一年の計」を考える二度目の機会になるという事です。
 
「恵方巻き」の「恵方」とは運勢学的に幸いな事が起きる方角を示しています。今年は「丙」(ひのえ)の方角で、真南から少しだけ(十五度)東(左)です。
 
そもそもこれは佛教由来ではありません。これは古代中国の「易」や運勢学が元で、佛教が後から取り入れたものです。運勢学はその当時は今で言う科学でした。
 
運勢を開くための方法や、具体的なやり方を説く色々な理論が起こりました。例えば良く当たると言われる「四柱推命」は年月日、時間の四つを組み合わせてその人の運勢を占います。
 
「恵方巻き」に話を戻します。新しい運勢の初めに恵方を向いて太巻寿司を丸々一本食べるわけですから大きく口を開けるでしょう。そしてわっはっはっと笑う。「笑う門には福来たる」と、そういう事が関西では一種の縁起担ぎだったのです。
 
縁起を担いで幸せになれれば非常に結構な事で、要するにこの事を通じて気持を明るく切り変えようという訳です。しかしその時だけ大口を開けて笑うというのでは本当はダメなのです。普段からなるべく笑い声を絶やさないようにする事の方がはるかに意味があります。
 
真言宗の「三密」を生かした三つの良き生活習慣の実践
 
真言宗の一番大事な考え方は、一過性の心の状態だけで行動するのではなくて、まず笑顔を沢山作って、身体全体で喜びを表す「身密」と、次に言葉で喜びや感動の言葉を言い表す「口密」、そして人に対して何かをしてあげる方向に気持ちを持って行く、相手や周囲に心優しく接していく「意密」の「三密」に表されています。
 
『大日乃光』ではこの「三密」を生かして、毎年正月に「朝から家族で挨拶を交わしましょう」「履き物を揃えましょう」「ご飯を食べる時、いただきますを言いましょう」の三つの良き生活習慣をお伝えしています。
 
朝から笑顔で気持ち良く「おはよう!」と挨拶を交わし合い、最後に相手の事を心から思いやる。ただし心の中でいくら思っていても、動作が無く言葉もなければ人は分かりません。
 
その昔、私は先代から「お前の言う事は分かりにくい」と言われました。今でも少し残っていますが、かつて私は言語障害者で、おまけに早口でした。
 
先代は「人が何を思っているか、なかなか分からんが、話している内容と、どんな顔で話しているかで相手はその人を判断している。心を変える事は簡単には出来ないが、表情や動作、そして話し方とその内容は変えられる。まず話し方を修練しなさい」と言われました。その後、話し方を変える事で私の人生は少しずつ変わって行きました。
 
今現在ニコニコしている人は、大体日頃から笑顔を絶やさない人です。いつもしかめっ面している人は、今日も顔が輝いていない。女性はお化粧をします。お化粧は外面ですがとても大事な事です。外面を良くする事で自信がつきます。鏡を見て笑顔になるのもとても大事です。
 
表情によるメッセージはすぐ伝わります。ですから体の発するメッセージが、人に対して優しく明るい動作になっているか?最近笑ってないと思う人は、鏡を見ながらにっこり笑ってみて下さい。
 
そして次に、周りの人に優しい言葉をかけているか?時には奥さんに心を込めて「愛しているよ」「いつもありがとう」と言ってみる。奥さんから「口先ばっかりじゃないの!」と言われても、言わないより言った方が良い。
 
それに対して奥さんも「ありがとう」と言った方が絶対良い。温かい言葉のキャッチボールをお互いに交わし合う。そういう事を家庭の中から始めるしかないのです
 
次第に希薄になる人間関係にもう一度心の交流を取り戻そう
 
宗教誌を色々拝読する中で、先代の時代からずっと購読している『六大新報』という機関誌があります。その社説によれば、近年、日本各地で檀家さんが減り、そして僧侶も減りつつあるとあります。日本全体でそうなんですが、地方は特にお寺の存続が保てなくなりつつある。二ヶ寺、三ヶ寺のお寺を兼務する場合が急激に増えているという危機感が説かれています。
 
もう一つ、葬儀のあり方が変わってきて、お墓に対する感覚も変わりつつあります。今は新しくお墓を造るよりも、「墓じまい」をする人の方が多いのだそうです。石材業者さんは「墓じまい」の方で忙しいと。そしてお葬式も小さい家族、核家族による家族葬が徐々に増えています。
 
そして様々な機会に皆で助け合うという習慣がなくなりつつあります。地域の人々の集まりも次第になくなってきています。その結果、何が起きているかと言えば、隣同士が何をしているか全くわからないという都会と同じような人間関係になってきているのです。
 
この地元築地でも婦人会がなくなり、青年団もなくなりました。それから蓮華院も加盟している釈迦堂組合、関白塔組合、乙宮さん組合の三つは古くからの信仰的な繋がりでもあるのですが、各家庭で高齢化が進み、もうやめようかという話になってきています。
 
しかし、そういう具合に進んで行った先にどのような社会が残るでしょう?この流れのままで良いのでしょうか?そんな中で一番大事な夫婦関係、親子関係、そして隣近所の人間関係の基本を足元から見つめ直してみましょうという事です。
 
そのために必要な事が、先の「身・口・意」の「三密」の実践です。たとえ心が伴わなくても笑顔で言葉を発していれば、次第に明るく前向きな気持ちになって行きます。そのうちに徐々に心がこもって来るのです。極論すれば、その延長線上に世界の平和もあるわけです。この両者は一見遠く隔たるように見えますが、実は直結していると思うのです。
 
家族関係の再生を土台にもう一度「慈悲行」に取り組もう
 
三十八年近く取り組んできた認定NPO法人れんげ国際ボランティア会(ARTIC=アルティック)の活動は、皆さん方が一ヶ月の内の一食か二食を抜いて(寺内では八日と二十日に実施)ほんの少しだけひもじい思いをしてその分を募金しようという「一食布施」や、同じアジアの同じ佛教徒に対する「同胞援助」などの募金活動で支えて頂いてきました。
 
たとえ僅かでも、募金をされる時の気持ちというのは非常に温かく、とても尊いものです。
それを支える仕組みは何かと言えば、家庭における家族の笑顔、言葉のやり取り、そしてそれに心を込めていくというこの三つです。
 
それがだれにでも出来る「身・口・意」の「三密」の修行です。これを家庭の中でもう一度、運勢が変わる節分のこの時期に改めて、明るい言葉での挨拶や相手を思いやる行為、さらにそれらに真心を込めることから始めましょう。これをまず自分から始めたら、相手も必ず少しずつ変わって行きます。
 
ぜひ家庭の中からもう一度、夫婦や親子の間で思いやりと愛情に溢れた家族関係を築くという決意をして実践して頂いたら有り難いと思います。合掌




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