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大日乃光






大日乃光

2016年12月17日大日乃光2162号
「あるがままに--------幸せへの近道」

大肯定
 
これまでの三十年間で約三千名の方々が、蓮華院で心理療法内観を受けられました。その九割以上の方々に明確な効果があり、明るくさっぱりした顔で帰られます。そういう方々を見続けた結果、悩み解消の共通点がある程度見えてきました。

悩み解決の最短の近道は、現状をあるがままに観て、あるがままに受け入れるという事です。物事を全面的に受け入れられれば、つまり、大肯定ができれば、全ての悩みは三秒で解決できます。ビートルズの有名な歌にある様に「Let it be」 あるがままに、です。

しかし、人はなかなか大肯定できません。本当に「NO」と言わなければならないのは、健康や道徳や法律上悪い事だけです。あとは、出来る範囲でいったんはYESと受け入れてみましょう。合わなかったら捨てるだけの事です。

早朝から雀や鳩などが境内で餌を探しながら散歩しています。鳥達は、過去を憂いたり未来に不安を抱いたりすることはありません。ところが、人間は悩みを自分勝手に作り出すという特徴があります。「自分の考えと違う」、「自分の思うとおりにならない」、「これは問題だ」、「あの人は許せない」と、怒りが沸き起こり、それが続くと憎しみや争いに発展します。

最初は小さかった行き違いが段々抜き差しならなくなり、大げんかで修復不可能、断絶状態ということになる場合もあります。

ダライ・ラマ法王猊下は、「怒った時はどうしますか?」という質問に対して、「放っておきます。そうすると怒りの炎はいつしか消えてしまいます」とお答えになられます。ところが、我々凡人は放っておけば消えるボヤを、「これは許せない」「あの人は問題だ」と、大きな団扇であおいで、大火事にし、自分自身が大やけどを負ってしまいます。

般若心経の「空(くう)」は色々な意味を含んでいますが、「無執着」ととるのが、解りやすいと思います。これを薬師寺の亡くなられた高田好胤先生はこう意訳しておられます。「こだわりすぎるな。かたよりすぎるな。とらわれすぎるな。とらわれないということにすら、とらわれすぎるな。宇宙のように広い大きな心、水のように柔らかい心を持って、毎日生きていきましょう。これ『空』の心なり。」
皆様も空の心と大肯定で生活すると幸せに近づけるのではないでしょうか。
 
貪瞋痴の三毒
 
もうすぐ大晦日の除夜の鐘が撞かれます。今年も数千人の方々が奥之院の大梵鐘「飛龍の鐘」を撞いて、煩悩を清め、新年を迎えられるでしょう。

百八ある煩悩の内、わずか三つ、ないし、五つだけに気を付けて下さい。貪瞋痴の三毒です。「貪りすぎ」と「憎しみ」と「迷いの心」です。これに「慢心」と「妬み」を加えて、五毒とも言います。

瞋恚という憎しみや恨みや怒りが、最も人を不幸にします。怨みの念はブーメランみたいに自分に跳ね返ってきて、自分自身を不幸にしてしまいます。相手は何ともありません。あまりに憎みすぎると、自分自身の心や体を壊してしまいます。

こういうマイナスエネルギーは赦すという事によって手放して下さい。重たい荷物を負ぶっていると、遠くまで軽やかに行けません。人生は短距離競争ではなくマラソンです。赦すということによって、重たい荷物を下ろし、人生を楽しく歩んで下さい。心の中で、憎い人を「誰々を赦します」と一回宣言するだけで結構です。あとは放っておくと時間が解決します。

そして、皇円大菩薩様とご先祖様に感謝した後、この憎い人にも「誰々さんありがとうございます」と心の中で唱えて下さい。毎日一回か二回で結構です。これを四年以上続けると面白い事が起こります。

怒りや憎しみは我々が勝手に作り出したもので、本来ないものだから置いていくことが出来ます。皇円大菩薩様に今までの怒りや憎しみや恨みや辛さや悲しみや苦しみ、全てをお預けしましょう。そして、新しいあなたの人生の再出発のスタートを切って下さい。ご縁日や準ご縁日にお参りされる方は、感謝の祈りと共に、仏様に憎しみや悲しみをお預け下さい。そして、感謝と喜びと笑顔を持ってお帰り下さい。そうすれば家庭や職場が極楽浄土に近づく事でしょう。

不幸だと感じている人の特徴は、「自分は被害者だ」という被害者意識を持っている事です。この被害者意識がある限りは幸福になれません。何故なら、自分の幸福の決定権を他者や環境に委ねているからです。本来、自分の心が幸福かどうかを決めるのです。心配する事の九割は起こりません。実際の危険より、自分が作り出した想像上の恐怖や心配で体の調子を悪くしているケースも多いのです。

ではどうすればいいのか。それは感謝することではないでしょうか。それも、『ちかいの詞』にあるように「すべてに感謝」です。全ての人、全ての物、全ての出来事に感謝できる心です。太陽、地球、空気、雨即ち水、食べ物、衣類、家、電気、車、お風呂、トイレ、電話、自分の体等々、全てのものに感謝するのです。百パーセント完璧に出来なくてもかまいません。しかし、感謝できる範囲が広がってくると、日々幸せと感じることが増えてくることでしょう。幸せを感じ取る力を感謝の心で強く大きくしていきましょう。
 
幸福眼鏡
 
本来、起こった出来事は中立で、無色透明です。プラスマイナスゼロです。しかし、我々人間は、心という刷毛で色々な色を塗っています。好きだ、嫌いだ、善だ、悪だ、問題だ、問題でない、等々―――。これは、単に脳の中での認識の問題にすぎないのです。

傘屋と晴れ着屋という話があります。ある所におばあさんがいました。息子さんが二人いて、傘屋と晴れ着屋をやっていました。おばあさんの家の前を通ると、いつもめそめそ泣いていました。
「おばあちゃん、どうしたんですか?」と聞くと、「今日は晴れているから、傘屋の次男が傘が売れなくて困っているだろうと心配で泣いているのです。」

別な日に通りかかると、おばあさんはまた泣いていました。「今日はどうしたんですか?」と男の人が聞くと、「今日は雨が降っているので、長男の晴れ着屋が商売あがったりで困っているだろうと心配して泣いているのです」とおばあさんは答えました。

それを聞いた男の人は、「おばあちゃん、これからはこう考えたらいいのではないですか。晴れた日は晴れ着屋が儲かり、雨の日は傘屋が儲かると」それからは、おばあさんは毎日笑顔で暮らしたそうです。
要するに、「ものは考えよう」なのです。受け止め方を変えるだけで未来が変わります。

それから、人と比較しない事も大事です。比較すると不幸になります。上司、同僚、部下、兄弟親戚、隣近所の人々、皆それぞれ個性があり、いい所や得意な事を持っています。人は一ついい所があればそれでいいのです。自分の長所を生かして生きていきましょう。

視力検査のCの文字があります。Cの文字は埋まっている部分が多いのに、我々はつい、欠けている方を見がちです。そうではなく、まだ、自分に残されているものに意識を向けたり、数えたりしましょう。自分の欠点ではなく、長所に目を向けましょう。全ては受け止め方次第、生かし方次第です。物事をいい方へ受け止め、いい方へ生かしていくような幸福眼鏡をかけると、皆幸せになれるのです。
 
今日一日を生きる
 
過去は変えられません。過去は過去でベストだったと考え、引きずらない、忘れましょう。未来は来るかどうか、定かではありません。今現在の過ぎ行く一秒一秒ほど確かなものはありません。ですから、「今を生きる」ことです。仕事、掃除、食事、トイレ、勉強、遊び等々、目の前の事に集中して、一日一日を生きましょう。お釈迦様も「物事はなるようにしかならない。心配しないで、今日一日を生きなさい。」と仰っておられます。

全ては受け止め方次第、生かし方次第です。如何なる逆境にあっても感謝できる心境を持てる事が幸せへの道です。来年は、「ありがとうございます」を一回でも多く言う年にしたいものです。

ご先祖様の数は三十二代さかのぼると地球の全人口を超えます。ご先祖様のお陰で私達は今存在しているわけですから。ご先祖様に感謝しましょう。天地はじめ、全ての物、全ての人、全ての出来事のお陰で、今日まで生きてこられた訳です。全てに感謝すると同時に、特に御本尊様とご先祖様に毎朝毎晩感謝の祈りを捧げましょう。その先に幸せが待っているのではないでしょうか。合掌


TEDx動画『3つの質問で幸福になる!』(日本語、16分半)(クリック下さい)

The Way to Happiness by Three Questions | Shinko Ohyama | TEDxKumamotoshi





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