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2022年12月31日大日乃光第2358号
混迷の世界情勢を乗り越えて家庭の中からこの国を再生しよう

混迷の世界情勢を乗り越えて家庭の中からこの国を再生しよう
 
全国の信者の皆さん、新年明けましておめでとうございます。
 
昨年はウクライナ戦争の勃発と、三年目のコロナで世界的な激動の一年でした。コロナの方は、もうインフルエンザと変わらないぐらいに弱毒化しているそうですので、そろそろ収束に向かうでしょうが、日本を取りまく安全保障環境の方は、益々混迷を極めています。
そんな中で、私達はこの現状にどう立ち向かえば良いのでしょうか?
 
先の大戦の終結以来、私達が幸いにも大きな戦禍に巻き込まれる事なく過ごして来られたのは、これまでの先人の方々の努力の賜物でありました。一方で長く続いた平和のお陰で、私達は有事への備えや平和を守る為の努力をほとんどして来なかったのではないでしょうか?
 
平和への意識に変革をもたらしたロシアによるウクライナ侵攻
 
今から百五十年前の明治時代の国是は、「富国強兵」でした。それは西欧列強による世界の植民地化がヒタヒタと、しかも確実に我が国に迫っている中での開国だったからです。今日では想像もつかないほど過酷な世界情勢の中への船出でありました。
 
もしあの頃に、現在の一部の市民運動の様に、「軍備が侵略を招く」などといった、現実を無視した言説が罷り通っていたら、当時の日本はひとたまりもなく侵略されて、そこに住む私達のご先祖様達も、そして現代に生きる私達も、日本人として生き続ける事は恐らく出来なかったでしょう。そういう意味で、先に「先人の方々の努力」と申し上げたのです。
 
昨年のロシアによる国際法を無視した侵略戦争を目の当たりにして、私達の中にはあれ以来、明らかに平和への意識が変わった人が急増しているようです。これまでは「備えをするから憂いが生まれる」「備え無くして憂いなし」と言われる人々が少なからずおられました。
 
しかし最近は、本来の「備えあれば憂いなし」の方向に考え方が変わった人が急激に増えてきていると思います。多くの専門家によれば、「防衛力を高めて、反撃能力が強まれば、侵略への抑止力が高まる」という意見が大勢を占めている様です。
 
私はこれに加えて、国民の多くがこの様な考え方に賛同し協力して、初めて国の安全が高まるのだと思います。
 
敢えて年頭に当たり、国家安泰への警鐘を鳴らす
 
新年早々に、少々不穏な話から始まりましたが、私は年頭だからこそ、敢えてこんな話から始めたのです。我が国は民主主義国家です。だからこそ多くの国民の意識が国防に向くように変わる事が大切なのです。
 
私達は年頭に当って、先祖伝来の国の永続と安寧を祈ります。そしてそれぞれの家族の安泰、更には私達一人一人の幸せを新年の初詣で真剣に祈られるはずです。ですから私は敢えて、この元旦号で国防について申し上げたのです。
 
私達は自分自身を大切に思っているからこそ、家族を大事に出来るのです。その上で、それぞれの故郷や今住んでいる地域を愛しているからこそ、祖国日本を愛し、大切に思う愛国心を持つ事ができるのです。しかし、戦後教育の問題点として、個人の幸せや家族の幸せと、国家の安全とが切り離されてしまいました。
 
例えば国際的な国防意識を調査したアンケートで、「国家が危機に瀕した時、あなたは国の為に自ら戦いますか?」という問いに対し、多くの国々では半数以上の国民が「国の為に戦う」と答え、ある国では八割の国民が「戦う」と答えたのに対し、我が国では十三パーセントの人しか「自ら戦う」と答えていません。
 
これはウクライナ戦争前のアンケートの結果ですが、この事をどう受け止めるべきでしょうか。七十七年の戦後教育と、マスコミによる反戦的な論説の結果、国家の危機に当り、ほとんどの国民が自ら戦う事を忌避するようになってしまったのでしょうか?
 
しかし、昨年二月のロシアによるウクライナ侵攻以来、私達の意識は大きく変わりました。
今、もう一度先の国防意識を調査すれば、その数値は大きく変わっているに違いないと思います。
 
苦渋の決断だった「非暴力」
 
佛教では伝統的に「非暴力」を説きます。ですからこの様な国防の話は、お寺ではほとんど話されないでしょう。例えばダライ・ラマ十四世法王猊下は「絶対非暴力」のお立場です。
そんな中で、現在のチベットでは、チベット佛教も、文化も伝統さえも弾圧され続け、チベットの人々は塗炭の苦しみを味わい続けています。
 
そんな中で、もし法王猊下が武力を肯定されていれば、更に果てしない悲劇が繰り返され、ついにはチベット人は、この世界から全て姿を消してしまったかもしれません。この様な現実の中で、ダライ・ラマ法王猊下は非暴力を説いておられるのです。
 
それはまた、先の大戦末期に昭和天皇が「このままでは日本民族が滅びかねない」と、断腸の思いで終戦を決断された事と似ているのかもしれません。
 
この国の真価を見つめ直そう
 
近年、SNSやユーチューブでは、「日本スゴイぞ」とか、「世界から絶賛される日本」などといった情報発信がたくさん見られる様になりました。
 
日本の立ち位置を客観的に考えてみると、まず世界一古くから続く国家である事。
世界最古の長編小説と呼ばれる『源氏物語』を、女性が生み出した国である事。
江戸時代には世界最先端のSDGs(持続可能な開発目標)を成し遂げていた事。
世界で最初に「人種差別撤廃提案」を国際会議で発信した国である事(第一次世界大戦後のパリ講和会議での提案)。
 
世界でも稀に見る安全な社会を実現している事(現在極東アジアは、不法な核保有国の脅威により、世界で最も危険な地域と化していますが)。
世界最古の企業は建設会社の金剛組で、創業千四百年もの歴史があります。他にも世界で最も老舗企業が多い国である事。
世界有数の技術立国である事。
現在は、アニメなどの文化への評価が世界から高く評価されている事。
 
などなど、多くの分野で歴史的にも世界に誇れる素晴らしい実績のある国が日本である事を知って、多くの人に誇りを持って頂きたいと思います。
 
そして、これらの世界一は、紛れもなく私達の御先祖様達の、弛まぬ努力と精進と団結によって生み出された結果以外の何ものでもありません。その子孫である現在の私達が自らの国家や民族を卑下してしまうのは、あまりにも不自然で不幸な事です。それは自分自身を愛する事が出来ない人は、真に他の人を愛する事が出来ないのと同じです。
 
御先祖様達の偉業を讃えよう
 
敢えて、人類史上における日本の素晴らしさをさらに一つ加えるとしたら、過去五百年間に及んだ列強諸国による世界の植民地支配に、明確にストップを掛け、人類平等、民族自決に向けて多大な力を発揮した事が挙げられます。
 
五百年前にコロンブスによってアメリカ大陸が発見されて以来、二十世紀初頭にかけて、アフリカ大陸、南北アメリカ、オーストラリア大陸、そして日本以外のアジアの殆どの地域で、被支配民族にとっては絶望的な植民地支配が完成しつつありました。
 
そんな中で、先に述べた明治時代の日本人の覚醒によって、世界は百年足らずの内に二百ヶ国近くの諸民族による独立国が存在する、現在の多様な姿になりました。
 
もし地球上に日本国と日本人が居なかったとすれば、現在の世界が一体どうなっていたかを想像してみて下さい。現在の世界は紛れもなく私達の先祖が成し遂げた、人類史的な大偉業なのであります。この事を私達はしっかりと自覚する事が大切です。
 
戦後、教育の中で過小評価されて来た私達日本人と祖国日本を、今一度正しく見つめ直し、それによって自信と誇りを取り戻すべきなのです。
 
こんな私達の素晴らしい国が、今や大変な危機的状況に直面しています。しかし、過去の私達の歴史を振り返ってみれば、間違いなく私達は再び覚醒するに違いないと確信しております。
 
前向きで肯定的な家風を育てよう
 
そこで皆さん方にお願いです。新たな年の初めに当たって、それぞれのご家族の中で、それぞれのご先祖様に対して、これまで私達日本人が育んで来た素晴らしい偉業を見つめ直して、それをじっくりと語り合って頂きたいのです。
 
それと同時に、過去の先人に対してだけでなく、「子は褒めて育てよ!」とよく言われる様に、皆さんの子や孫達の良き点や良き事柄を大いに褒めてあげて下さい。そして夫婦でも互いに良い点を褒め合い、感謝し合って下さい。また、それぞれの地域や故郷の素晴らしさを語り合って下さい。
 
その上で、我が国の素晴らしい点を、家族でお互いに語り合って下さい。この前向きで肯定的な心持ちを、新たな年に当たって家庭の気風に育てて頂きたいと切に願います。
 
それが今を生きる私達の、自分自身を、家庭を、地域を、そして国をも愛する思いを育んで行くに違いありません。
 
いま一つ加えれば、ほほ笑みと笑いに満ちた家庭を創って下さい。ほほ笑みと笑いは、前向きで明るい希望を生み出す元になるからです。
 
以上の事が日々の信仰生活の中にしっかりと位置付けされる時、明るい未来を開く大きな出発点となる事でしょう。
 
「初まいり」にお参りください
 
どうか皆さん達にとって、新たな年が明るく豊かで希望に満ちた年になりますように、御本尊、皇円大菩薩様と共に心からお祈り致しております。
 
そのためにも来たる一月十三日の「初まいり」には、一人でも多くのご家族や友人と共に本院に、そして奥之院にお参りされる事を、寺内の弟子・職員と共に、心よりお待ち致しております。
 
お一人でも多くの皆様と、「初まいり」でお目に掛かりたいと念じております。合掌




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