非常に実りのある７日間だった。そもそも僕が内観を受けた理 由は、心の病の神経症に子供の頃色々あって、正確には覚えてい ないが、４〜６才の頃に神経症になってしまった。今現在は２８ 才だから、かれこれ約２０年間もこの病気で苦しんでいる。

　かなり以前から蓮華院にご縁があって、内観を勧められていた のですが、心理状態が不安定で内観になかなか踏み切れず、やっ と今回参加させていただきました。

　内観は始めは母からでした。内観は（1）していただいたこと、 （2）して返したこと、（3）ご迷惑かけたこと、の三つを探して いくのですが、僕は初めての内観で右も左もわからず、初日から 早くも壁にぶちあたってしまい、ブラックホールに落ちてしまい ました。

　僕は、母からしていただいた事はたくさんあり、それは無償の 愛であること、でも、考えてみれば、それは無償の愛であり、僕 の存在自体が迷惑なんじゃないかと　考え込んでしまいました。

　そこで、面接の先生にお尋ねした所、「宇宙的にみれば、いい も悪いもなく、全部中立で、プラス・マイナス・ゼロであって、 幸福も不幸もみんな心というメガネを通して感じているわけだか ら、心のメガネの色を変えて、いい方へ受けとめて、人生をより 楽しい人生になるようにするといいのでは。」と言われました。

　それを聞いた時に、目からうろこが落ちると同時に、天と地と がひっくり返るような衝撃が体中をかけめぐり、大変感動しまし た。そうか、そうだったのかと、僕の人生を変える、一生心に残 る言葉でした。

　それから、心のメガネの色を変えて母の内観をしますと、して いただいた事と迷惑かけた事は非常に多いのに対し、して返した 事が驚くほど少ないのに非常に驚きでした。

　今までして返したと思った事が、実はしていただいた事と知り、 非常に反省し、かつ感謝しました。迷惑も思ったより多く、反省 しました。

　次に父の内観をした所、母の時と同じく、気づかされることば かりでした。２人の内観が終わった後、２回目の内観にはいりま した。そしたら、さらに驚くべき事実がわかりました。

　なんと、父母にして返した事と思っていたのが実はさらに減り まして、そのほとんどが、していただいた事に変わりまして、こ の事実を素直に受け止められ、すごく反省かつ感謝致しますと、 長年父母に対して持っていた不平不満が全部なくなり、心のしこ りが全てなくなりました。僕は心がすごく軽くなり、すっーと致 しました。

　さらに父に対しての時養育費を計算しました所、約3,440万円 かかっていたことに対してありがたいと思うと同時に、３人の兄 弟がいますので、３人でざっと１億円以上かかっていることに対 して、父とそれを支え続けている母に対して大感動、大感謝致し ました。

　その後、兄に対しての内観を始めました。初めに僕が小さい頃 色々あって神経症になったと申し上げましたが、実を言うと原因 は兄による虐待でした。

　その後すぐおさまりましたが、この事が原因で神経症になり、 その後父母に対する不平不満でさらに悪くなりましたが、内観に よって父と母への心のしこりは完全にとれ、後は兄だけでした。

　兄を内観してみますと、僕達親子は僕が小さい時に引越ししま した。僕はこの時から寂しくて泣き虫になり、しょっちゅう泣い ていました。それで兄は気にさわって僕を殴りました。

　このことを内観の先生に言いますと、「兄さんも引越しして寂 しかったんじゃないかな？見知らぬ土地に引っ越してきて、誰も 友達もいなくて、言葉の問題もあって、寂しかったんじゃないか な？僕も転勤が多かったから分かるけど、それで泣かれたんじゃ、 よけいに悲しくなるよ。それで君を殴ったんじゃないかな？」と 言われました。

　その時に、「確かにそうだ。それに兄も小さい頃いじめられて いたとか言っていたので、よけい寂しかったんだな」と思いまし た。

　虐待を受けて心の病になったのは、もとはと言えば、僕が泣い て兄に迷惑をかけていたことに気付いた時、はっとして、「すべ て僕が悪いんだ。兄さんごめんなさい。」と思った時、すーっと 心がすっきりしました。

　この後も兄の内観をしていくと、父母と同様にしていただいた 事、迷惑をかけた事は非常に多いのに対して、して返した事がや はり少なかったです。

　僕はこの内観をさせていただいて、長年父母兄に対して不平不 満をいだいていたのが全てなくなり、すごく反省し、感謝いたし ました。そのほか、弟と甥と内観して非常に感謝いたしました。 これも内観のお蔭です。本当にありがとうございました。

　恨みはもとより恨みによって静まるものではなく、恨みを忘れ ることによってのみ静まる。教団ばかりでなく、世間の生活にお いても、このことはまた同様である。（パーリ、律蔵大品）