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2009年4月21日第446号
幸福ニュース

【 『納棺夫日記』(青木新門著)】

    アカデミー外国映画賞をとった『おくりびと』を見て感動しま した。泣きながら見ました。そこで、その原作である青木新門氏 の書かれた『納棺夫日記』(文春文庫)を買い求めて読みました ので、印象に残った所を皆様に紹介させて頂きたいと思います。 映画も原作も素晴らしい内容ですので、是非どちらか一つは見ら れることをお勧めします。

1)納棺夫に徹したら周囲の見方が変わってきた。

 服装を整え、礼儀礼節にも心がけ、自信を持って堂々と真摯な 態度で納棺をするように努めた。心が変われば行動が変わるので ある。

2)「ケガレ」と「ハレ」が日本人の思想の原型

 この二つの言葉こそ。古代社会から今日まで、どのような思想 や異文化がこの島国に流入して来ても、決して滅びる事なく、日 本民族の心の深層部に巣くって脈々と生き続けて来た。それはあ たかも、生物の染色体にインプットされた遺伝子情報にも似た確 かさで、連綿と我々に受け継がれている。

3)生死一如の考え方

 西洋の思想は生か死であって、「生死」という捉え方はない。 その点、東洋の思想、特に仏教は、生死を一体としてとらえてき た。生と死の関係を、みぞれの中の雨と雪の関係のようにとらえ るなら、「生死一如」=「みぞれ」であって、雨と雪と分けると みぞれでなくなるという捉え方である。

4)生と死

 死を忌むべき悪として捉え、生に絶対の価値を置く今日の不幸 は、誰もが必ず死ぬという事実の前で、絶望的な矛盾に直面する ことである。視点の移動をしないで、「生」にだけ立脚して、い くら「死」のことを思い巡らしても、それは生の延長思考でしか ない。視点の移動があって、初めて思いやりが生まれる。

5)諸行無常

 生にのみ価値を置く今日の我々は、自分だけは変わらないとす る我執のため、無常という言葉も死後に近い状態になっている。

6)青白いぶよぶよとした死体

 高度成長と共に、枯れ枝のような死体は見られなくなっていっ た。最近はとみに、ぶよぶよとした青白い死体が多くなった。こ れは、食べられなくなっても点滴で栄養が補給される為、極端に やせ細った状態にならないからである。

7)孤独な死

 死に直面した時、周りを取り巻いているのは、生命維持装置で あり、延命思想の医師団であり、生に執着する親族たちである。 冷たい機器の中で、一人ぼっちで死と対峙するようにセットされ る。死について思う事も、誰かにアドバイスを受けることもなく、 死を迎えることになる。

8)頑張る

 ガンの末期患者が「がんばって」と言われる度に苦痛の表情を しているので、痛み止めの注射をした後、「私も後から旅立ちま すから」と言ったら、その患者は初めてにっこり笑って、その後 顔相まで変わったという話をある医師の方がされた。

9)死者は美しい

 毎日毎日、死者ばかり見ていると、死者は静かで美しく見えて くる。それに反して、死を恐れ、恐る恐る覗き込む生者たちの醜 悪さばかりが気になるようになってきた。驚き、恐れ、悲しみ、 憂い、怒り、などが錯綜するどろどろとした生者の視線が、湯灌 をしていると背中に感じられるのである。

10)死にスタンスを置く

 如来や菩薩の眼からすれば、善人悪人などあろうはずもなく、 ただ自我中心の悲しい人間と弱肉強食の生の世界があるだけかも しれない。釈迦や親鸞は生死を越えた所から言葉を発している。 それは、善悪や生死を越えた第三のところで、生と死や善と悪な どが双方とも見えるところでなければならない。

11)ひかり

 あらゆる宗教の教祖に共通することは、その生涯のある時点に おいて、「ひかり」との出会いがあることである。この光に出会 うと、生への執着がなくなり、死への恐怖もなくなり、安らかな 清らかな気持ちになり、すべてを許す心になり、あらゆるものへ の感謝の気持ちがあふれ出る状態となる。全存在をありのままに 認める光である。

12)振動宇宙説

 ニュートリノにわずかでも質量があれば、宇宙の膨張はいつか は止まり、やがて収縮へ向かう振動宇宙説が正しいことになり、 宇宙膨張説は誤りとなる。すると、この宇宙は始まりも終わりも ない生成と消滅を繰り返すだけとなり、創造主の出番がなくなっ てしまう。

13)現場の知

 今日のあらゆる分野で最も必要な事は、現場の知ではないだろ うか。死に直面した人の前では、仏典の解釈や安っぽい善意など、 何の役にも立たない。末期患者が最も安心するのは、何らかの方 法で死を克服した人が、患者の側にいることである。

14)正岡子規の生かされて生きる喜び

「悟りといふ事はいかなる場合にも平気で死ぬる事かと思って居 たのは間違いで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて 居る事であった。」

【坂村真民詩集】

『 静かな愛 』

もしもこれが

奇跡と言えるなら

奇跡と言おう

悶絶するような

苦しみの果てに

わたしを蘇(よみがえ)らせた

あの光を

あの静かな

愛の光を

【仏語集】

仏の化身はあらゆる世界に満ち満ちているけれども、信心をもつ 者だけが、それを拝み見ることができる。(観無量寿経)

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