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2024年06月08日大日乃光第2404号 貫主権大僧正様御親教
親を大切にする子供達の詩が、家族再生、民族再生の要となる 

神話を伝えない国は亡びる?
 
皆さん、今日もようこそお参りでした。
 
蓮華院信仰で最も大切な六月大祭まで、あと二十日ほどになりましたが、五月二十三日の今日は何の日でしょうか?今日は何と「ラブレターの日」だそうです(一同笑)。この男女の愛は全人類にとって共通の情念だと思います。対して、それぞれの民族に固有の情念から「神話」が生まれて来たと言えるでしょう。ところが日本では戦後、神話の伝承がすっかり途絶えてしまっています。
 
ここで有名な歴史学者、アーノルド・J・トインビーの言葉を思い出します。「神話をなくした民族は亡びる」と。もう少し詳しく言えば「神話を伝えない国は百年で亡びる」という事です。
 
戦後、日本が神話を伝えなくなって八十年近くになります。先のトインビーの箴言を日本に当てはめてみると、日本はあと二十年で滅びるという事になるのでしょうか?この重い言葉を謙虚に受けとめた上で、日本が亡びてしまうか否か…。それは政治家だけの責任ではなく、学校の先生の責任でもありません。それは私達次第、私達国民一人びとりがどう生きて行くのかに掛かっているのです。
 
先祖を大切にしない民族は亡びる
 
神話というものを現代風に言い換えれば、遠い先祖の物語という事にもなります。先程のトインビーの言葉を言いかえると、「先祖を大切にしない民族は百年で亡びる」と言う事も出来るのではないでしょうか。
 
もう十年以上も前からマスコミで「墓じまい」や「自然葬」といった風潮が国内でもてはやされています。コロナ禍により家族葬が普通になり、佛事ごと自体が少なくなりつつあるようです。今、日本人全体が先祖をないがしろにしたり、先祖の思い出を語らなくなりつつあるという、非常に危機的な状況にあると言えるでしょう。
 
先祖の事を思うとき、普通ならどういう感情を抱くでしょうか。歴史的に見れば、私の父や母の世代の、特に大正末頃に生まれた男性は七分の一以上が戦争で亡くなられています。あのたいへんな時代に、家族や大切な人が一日でも生き長らえる様に、或いは生まれ育ったふるさとを守りたいという純心な思いで尊い命を捧げられたのです。
 
私の父は実際、先の様な思いで特攻隊に志願しました。私の親や祖父母の世代では、まだ先祖と言うには近過ぎますが、私の孫の世代からみれば立派なご先祖様です。しかし先のその様な思いは、今の学校教育では少しも伝えられていないのです。このままで行けば、先のトインビーの箴言に従えば、日本国家そのものが滅亡に瀕する事になるやもしれません。
 
「こどもの詩コンクール」を家族再生のきっかけに
 
そういった状況を覆し得るのは、善き家庭教育しかありません。とりわけ今日からでも出来る事は、各家庭において、家族が一緒になって先祖の物語を再生して行く事です。
 
その一環として、もう三十五年前から蓮華院が中心となって『親を大切にする子供を育てる会』という会を作り、お父さんとお母さんに関する子供達の詩を募集して来ました。
 
一見、遠回りのように感じられるかもしれませんが、詩を書く事をきっかけに各家庭で子ども達にお父さんとお母さんをしっかり見つめてもらう。そうするとほとんど例外なく、自分を見守るお父さんお母さんの温かい眼差しや、有難さに子ども達が気付きます。
 
そうして出来た子供や孫達の詩を、親や祖父母の世代が読む事で、自分自身の親や、さらにその先のご先祖様への感謝の気持ちを新たにし、家族の物語を再生させる事へと繋がるのです。
 
この事を佛教的には「四恩の抜済」と言います。弘法大師様は人には「父母祖先の恩」、「国土国王の恩」、「一切三宝の恩」、「一切衆生の恩」という四つの恩があると説かれました。
その第一に「父母祖先の恩」を掲げておられたのです。
 
千二百年も前から、「父母祖先の恩」に報いる生き方が、人にとっていかに大事かと弘法大師様が仰られているのです。それを蓮華院で現代風に焼き直し、熊本朝日放送様に協力して頂きながら、「こどもの詩コンクール」を続けてきたわけです。
 
先祖供養は各家庭の扇の要
 
皆さん、今日お参りから帰ったら、お子さんやお孫さん達に、ぜひお父さんやお母さんをしっかり見つめて、詩を作るように伝えて下さい。蓮華院の先代、真如大僧正様が始められたこの運動こそ、国や民族の滅亡を防ぐ、その大切な一歩になるのです。
 
お父さん、お母さんを大事にする子供を育てる。その延長に先祖の恩を感じ、先祖を大事にする。その事で家族が再生し、神話を大切にする事に繋がって行くのです。日本では天皇陛下がまさに国の、そして国民の扇の要であられます。各家庭で言えば、ご先祖様が扇の要になります。それを感じる事が日本民族の未来の為に肝心な事なのです。
 
家族愛が人類社会の根幹
 
最近では世界からの日本に対する評価が高まっていますが、一方で日本の社会は劣化する一方です。それは密かに確実に起きている家庭の崩壊が原因です。
 
人類普遍の価値、それは家族の愛です。最初に男女間の愛から始まり、家族の愛、家庭の愛、親の愛、子供からの愛へと続きます。この家庭のまとまりが国家をも救う、最も根本的な大切な単位なのです。
 
普段は国とか大きなスケールでは考えなくても、家庭がまとまっている間は、日本は安泰です。ところが現代では三組に一組が離婚するという時代です。
 
子供の事を考えると夫婦円満、家庭円満というのが理想ですが、やむをえず離婚という選択肢を選んでしまう夫婦が三分の一もいるという、こういう状態に今なっている。
 
それに対し、個人としてまず思うべき事は、両親への、引いてはご先祖様への恩返しの気持ちです。先祖のおかげで自分がここにいる事への自覚と感謝を忘れているのです。両親への感謝に始まり、ご先祖様への感謝、日本社会の安定への感謝、隣近所の人達とのお互いの助け合いへの感謝等々。すべての根本は人間関係なのです。
 
感謝から始まる慈悲行の実践
 
今朝も目が覚めると朝の御祈祷の後に南無皇円大菩薩、南無皇円大菩薩…と八千遍唱えます。夕方になると一万二千遍唱えます。その最中は、有難い有難いと繰り返し言っているのと同じような感覚がして、感謝の気持ちがふつふつと湧いて来ます。
 
今ここで息をさせてもらってるのが有難い。毎朝信者さん達の為に御祈祷が出来るのが有難い。信者さん達から色んな「お尋ね」があるのが有難い。それにきちんとお答えできるのが有難い。ご飯の美味しさが有難い。料理してくれる人がいるのが有難い。この様に毎日色んな事に感謝しています。
 
感謝の心から、何とか恩返ししなくては、何かお返ししなくては…そう思って、その一つとしてこうして御法話をしているのです。
 
感謝からの恩返し。それがそのまま人類普遍の愛に繋がると私は思います。恩返しの心が広がっている時。その心の内は神佛の愛、神佛の御慈悲に非常に近いと思います。
 
いわゆる男女間の愛をも遥かに超えた深い愛。命への愛です。感謝と愛はコインの裏表のようなものではないかと思います。ですから私たちは一回でも多く「有難う」と口に出して言い、一つ一つの出来事に感謝をしましょう。
 
そして何か困った人がいたら少しでもお助けしましょう。それを日々の生活の中で実践しましょう。これは佛教的に言えば慈悲の心です。向上心を智慧とすれば、思いやりは慈悲です。智慧と慈悲は父と母の愛のように表裏一体なのです。
 
日々の御宝号念誦の最初と最後に、「今日も一日よろしくお願いします」「今日も一日頑張ります」とお参りしましょう。「自分に出来る事は精一杯させて頂きます」「ご恩の何分の一でもお返しさせて頂きます」と誓いましょう。
 
そういった思いが、「どうか私をお守り下さい」「お力をお貸し下さい」という祈りに繋がって行くのです。
 
古来より日本人に刻まれた人類普遍の倫理道徳
 
この先、たとえ日本から国際的な政治力が失われ、経済力が落ちてしまっても、その時こそ、日本人の元来持って来たお互いに助け合う精神性が真価を発揮するでしょう。
 
その根本には、遥か太古からこの日本列島で培われた先祖の営みがあります。近年世界的に注目されている縄文時代は、一万数千年の長きに亘り大きな戦いをした痕跡がほとんどないという、人類史上、他に類を見ない素晴らしい時代でした。
 
後世に砂漠という不毛の大地しか残して来なかった、いわゆる世界四大文明と異なり、縄文時代の遺跡はみな今日へと続く森の中にあって、自然と共生して来たのです。私達日本人は一万数千年以上前から、互いに助け合う生き方や自然との共生が、一人びとりの遺伝子にしっかり埋め込まれているのです。
 
様々な世界の未来学者達が、未来の地球を救うのは日本だ、日本人だと言う人までいるのです。そのために不可欠な条件が、私達の家庭内での家族の融和であり、歴史を大切にし、ご先祖様に感謝し、恩返しをする心です。これがまさに、未来の世界を救う、人類の普遍的な倫理観に繋がっているのです。
 
一篇でも多く、こどもの詩に応募しよう
 
話が少し飛躍しましたが、まずは皆さん達がそれぞれのご家庭で、子供達やお孫さん達に、「『お父さんとお母さんの詩を書くように伝えて下さいね!』と貫主様が盛んに仰られていましたよ」とぜひ伝えて下さい。
 
六月大祭で一人でも多く、信者の皆さん達の笑顔に再会出来る事を楽しみにしつつ、ぜひ一人でも多くの信者の皆さんのお子さんやお孫さんが、「お父さん」「お母さん」の詩を作り、応募して下さるよう切に念じております。合掌




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