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2018年09月07日大日乃光第2218号
秋のお彼岸を前に先祖供養の意味を説く

齢を重ねて深まり行く、父母祖先への感謝の思い
 
いよいよ九月に入りました。今年一年の三分の二が過ぎた事になります。この時期は八月盆と秋彼岸の中ほどになりますので、今回は先祖供養の意味と、その功徳についてお伝えします。
 
そもそも「供養」という言葉は、「供えて養う」または「養う事を供える」と書きます。では一体何を供え、何を養うのでしょうか?
 
お供えするものは真心と、それに伴う品物でしょうか。そして養うものは何でしょうか?
自分の生きる意味? 生の充実? 生まれて来て良かったという思い? 優しい心? 幸福? 愛情生活? 健康? 財産? 学力? …
 
人は生きている間に様々な願いを持ちます。その願いは年齢を重ねるに従って、叶えられないものになって行く事が多々あります。それは、若い時に抱いた夢が、歳を重ねるに従って色褪せたものになっていくのに似ています。
 
これとは逆に、年齢を重ねるに従って深く広くなっていくのが、父母やご先祖様への感謝の心ではないでしょうか?
 
六年前に還暦を過ぎた私は、子供の頃より青年時代、さらには壮年時代の方が、より父母への思いが深まりました。そして父母を亡くしてからは格段に、父母への感謝の心を強く抱くようになりました。
 
今の私にとって、さらには私の子供達、孫達にとっては、私の父母は既にご先祖様になっています。そして私と妻が数十年後にこの世から去ると、今の孫やひ孫達からは、私達夫婦はご先祖様になる訳です。
 
この様に考えてみれば、「供養」とは「真心と、その思いでお供えしたもので、自分の父母を、先祖を大切にする心を養う」ということになりそうです。ここまでは一般的な供養の意味合いです。
 
氷山の一角に過ぎない顕在意識
 
初めて当山での先祖供養を始める方に、「特別指導」(面接しての個別指導)をする時によくお伝えしている事を、ここで少しお伝えしてみましょう。一般的な供養から、少し踏み込んだ説明です。
 
氷を水に浮かべたら、一割ほどが水面から上に出ます。いわゆる「氷山の一角」とは、氷山全体からすると約一割しか水上に現れず、その九割が水面下に隠れているからそう言い表すのでしょう。
 
この九対一または十対一の原理は、私達の脳の働きについても言われています。脳全体の約十パーセントしか、私達は使っていないのだそうです。残りの九十パーセントが一体何をしているのか?どんな働きをしているのかは、未だに充分には分かっていないそうです。この十パーセントしか使っていない脳を十一パーセントでも使っている人は、天才的な頭脳と言われます。
 
ここからは推測ですが、この十パーセントが私達の表面の意識としての顕在意識(けんざいいしき)に相当し、そして残りの九十パーセントが潜在意識(せんざいいしき)なのではないかと思います。
 
脳の働きという側面とは別に、人は日常生活のほとんどを「顕在意識」で判断していると思われていますが、本当は日頃はっきりと意識していない無意識の意識とも言える「潜在意識」が決定的な役割を果たしていると思われます。
 
佛教の心理学とも言える「唯識学派」では、過去の全ての記憶は、この潜在意識(佛教用語では「阿頼耶識」)の中に記録されていると言われます。その意味では顕在意識を一とすれば、潜在意識は九から十ぐらいの影響力を持っていると思われるのです。
 
ですから、表面的な意識の顕在意識で「今日からお酒をやめる!!」と決めても、過去の飲酒の思い出や、お酒を飲んで友人との友情を深めたなどの、しっかりとした記憶が潜在意識とその人の肉体に残っている限り、なかなか禁酒が出来ないのも、こんな九対一の関係が大きく影響しているのではないかと思われます。
 
先祖供養は潜在意識の浄化
 
ここまではある程度、科学的に根拠のあるお話です。ここからは私の修行体験や、先代、先々代から伝え聞いてきた事を交えてお話し致します。
 
水面下の氷のように私達を支えて、日頃は何をしているか分からない九十パーセントもの脳の働きを、ご先祖様の存在、そしてそこからの働きかけと考えてみて下さい。
 
長年、当山の先祖追善護摩供養をお願いして信仰して来られた方は、水面下の氷がきれいな結晶となって、水上に現れている十パーセントをしっかりと支えているような状態なのです。そして、その人の生活や心の安定を、ご先祖様がしっかりと支えて頂いている状態と言えるのです。この様な状態の人は、何体(何人)もの良き「守護霊」に護って頂いているようなものなのです。
 
もっと信仰が深まり、修行を積みますと、皇円大菩薩様ご自身に守護霊の様な働きをして頂いている状態になります。そうすると何事も思い通りに事が運び、佛様に導かれて幸福で健康な日々を送る事が出来るのです。
 
これとは逆に、先祖供養が充分に出来ていない人は、守護霊となるべきご先祖様が「背後霊」のようになるとでも言うのでしょうか、何となく「運が悪い」「道が開けない」「家庭内がいつもゴタゴタしている」などといった状態から抜け出せないことになりやすいのです。
 
ですから運勢を開く「開運」の意味でも、この様な方々には月決めで、人によっては十日間から十五日間、または二十日間から三十日間というように、毎月決めた日からの先祖追善護摩供養をされる事をお勧めしています。
 
お彼岸供養でご先祖様との〝もやい直し〟
 
先日も、大願を成就されたある方が、お礼参りに来られました。この方は大きな決断をする前の半年間、この先祖追善供養を一日も欠かさず続けられました。そのお蔭で大きな願いが成就したのです。そして特別指導の時、大変喜んで報告して下さいました。
 
こんな時は、私も他人事とは思えず、一緒に喜び合います。また別のある方は、三年間の月参りと先祖供養のお陰で長年苦しんだ病気が全快し、人生を大きく開かれました。
 
この様に申しましても、人によっては、この月決めの先祖供養を始めてからしばらくは、逆にそれ以前よりもさらに運気が下がったり、調子が悪くなる人が、稀におられます。
 
これはその方のご先祖様方が、それまではその人に供養を全く期待していなかった所に、改めて供養を始められたので、ご先祖様方が一気にその方を頼って来られるので、一時的に良くない事が起きたり、悩みが深まってしまうからなのです。
 
しかしそれを過ぎれば、飛行機が雲を突き抜けて雲一つ無い空に出るように、平安で満ち足りた生活に変わった方々がたくさんおられます。
 
先祖供養を続けていても、不都合な事も起ります。しかし、その不都合な状態にある方は、当山の「反省」「感謝」「奉仕」の三信条を日々の生活の中で実践して下さい。その中で、様々な苦難をぜひ乗り越えて行って頂きたいものです。
 
これまであまり先祖供養をしておられない方は、この秋彼岸をきっかけに先祖供養を始められる事をお勧め致します。必ずや人生への向き合い方に変化が現れる事でしょう。 合掌




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