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大日乃光






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2019年06月28日大日乃光第2244号
皇円大菩薩様の慈悲と智慧の光を反射すべく精進努力しよう

新しい御代に書き加えた願文
 
昨年五月十二日の八百五十年大祭での、大僧正叙任のお祝いに皆さんからお供え頂いた衲衣を、今こうして着けています。昨年の奥之院大祭でお披露目しましたが、今日は皆さん達に間近に見て頂きたいと思って着用してお参りしました。
 
さて、昨日は準教師の伊藤祐真さんが古い写真などをスライドで発表されて、かつての蓮華院の長い地道な苦難の歩みや、大東亜戦争を挟んで人々に寄り添って来られた、そういった歴史がいくぶん分ったかと思います。
 
この蓮華院の信仰の原点は、何と言っても皇円大菩薩様からの御霊告であります。
「我は今より七百六十年前遠州桜ヶ池に菩薩行の為龍神入定せし皇円なり 今心願成就せるを以て汝にその功徳を授く よって今より蓮華院を再興し衆生済度にあたれ」
その後の蓮華院の歩みを決定付けた御霊告を、開山上人様が受けられたわけです。
 
そして昨年の御入定八百五十年を機に中興への歩みが終わり、八百五十一年目がまさに令和元年と、人々の心も気持ちも、そして国家の運勢までも切り替わる新しい御代に入ったわけです。
 
そういう中にあって、私達は皇円大菩薩様のお恵みをただ頂くだけでいいのか…。これは私自身も含めてお弟子さん達、そして信者の皆さん達にお伝えしたい。是非こういう心持ちを持って頂きたい。そういう願いで、先程の法要の願文を改めて書き直しました。
 
特に大きく違う所は後半の部分です。
「皇円大菩薩様の慈悲と智慧の光を少しでも反射し、より良き光を放つべく精進努力せん事を誓う事こそ、御本尊皇円大菩薩様のお恵みに報いる最も優れた道に他ならず」
と、これが願文の新しく書き直した部分です。
 
蓮華院信仰のこれからの課題
 
その願文を唱えて『般若心経』に差し掛かった時、「川まつり」のために皆さんが持ち寄られた川の水に錫杖加持をして法座に戻ると、偶然そこに日の光がぱっと差したのです。その時まさに、皇円大菩薩様が皆様方に光を注がれているという事を、具体的な実感を伴って感じる事が出来ました。
この皇円大菩薩様の慈悲と智慧の光を受けながら、その光を少しでも反射しなければ、と決意致しました。
 
私達に見える全ての物は光を反射しています。光を受けるだけでなく、反射しなければ何も見えません。これは物理的な法則です。それと同じように、大乗佛教に基づく智慧と慈悲の光を、私達一人一人がそれぞれの職場や家庭で反射する事によって、私達はお互いを認め合い助け合う事が出来るのです。
 
本人が知ろうと知るまいと、私達は佛様の光に照らされています。しかし心の目が開いていなければ光を受けている事に気づけません。皆さん達は、皇円大菩薩様から降り注ぐ光、慈悲、そういったものを実感されているからこそ、今こうしてここにおられるわけです。
 
そういった意味で例えて言えば、皆さん方は信仰上は小中学生や高校生でもなく、一人一人が大学生をも越えた大学院生なのです。大学院生は先生から教えを学ぶだけではなく、新しい学問の世界を自ら研究して開いていく立場なのです。
 
自分は今まで佛様から光を頂いてきた。これからはそれをどうやって周囲に反射するかを考える段階なのです。一人一人が自分の職場や家庭、それぞれの持ち場で佛様の光を反射する事が出来るか出来ないか、それがこれからの蓮華院の信仰の最も大切な所だと私は思っています。
 
苦しみの中で煌めく一灯に
 
皆さんの中には「自分には荷が重い」とか、「自分は光を受けるのが精いっぱいです」と思われる人がおられるかもしれませんが、佛様の光を反射するにはどうしたらよいのでしょうか?
 
人は皆、様々な悩みや苦しみを持っています。悩みも苦しみも全くない人が、佛様の光を反射する事が出来るでしょうか?例えば病気で後一ヶ月しか生きられない。そういう人達は周りから助けて頂くだけなのでしょうか?
 
今、私は癌の人を四十人位、毎朝拝んでいます。先日も「昨日亡くなりました。とても安心した顔で、『有難う、有難う』と言いながら息を引き取りました。私達にとっては菩薩様のようでした」という連絡を受けました。
 
末期癌で苦しまれながらも、佛様の様なお顔と言われるように、最期には子や孫達に大きなものを残して行かれたわけです。これこそまさに、佛様の光を反射する生き方ではなかったかと思います。
 
他にも事業で失敗して失意のどん底にいる人がおられます。また今現在、家庭内の事情で悩み苦しみ、「うちの娘は何とかならないか」とか「うちの孫がしっかりしないか」などと悩んでいる人がおられるかも知れません。
 
そういう人は、まず自分自身の生き方を少し変えてみて下さい。少しずつでも前に進みながら、そしてまだ出来ていない部分を一所懸命補って、その上で少しでも余力があれば菩薩様のように人に手を差し伸べてみて下さい。たとえ少しであっても、その一歩はゼロではないのです。
 
それぞれが自分の願いを叶えるために必死で頑張っている、その姿そのものが実は光を反射している姿なのです。苦しみの中にあるから、人の苦しみが分かるのです。もがき苦しんでいるからこそ、光を感じ取れるのです。光を反射するという事は、願い事を叶えるのと同じ事です。願い事が叶って行く時に、周りに光を反射しているのです。
 
運命を変える遺伝子のスイッチ
 
かつて何度かお話しした村上和雄先生という筑波大学の名誉教授が仰った事、そして本にも書いておられる事があります。人間には細胞が四、五十兆個ほどあるそうです。その全ての細胞に同じ遺伝子が入っていて、その人の状態を左右する様々なスイッチがあるのだそうです。
 
村上先生は、すでに科学雑誌で二十年近くも前に次の事を発表されています。糖尿病の人達だけを集めて漫才コンビの話を聞かせて笑ってもらい、採血します。それと通常の血液を比べて変化を検証します。すると笑った後には血糖値が下がるという事が、データとしてはっきり分かったそうです。つまり、人は笑う事によって血糖値を下げるスイッチが入るという事なのです。
 
一ヶ月程前にNHKスペシャル「人体Ⅱ遺伝子」という番組がありました。遺伝子のスイッチがオンやオフになる具体的な様子を、コンピュータグラフィックスを使って視覚的に説明していました。村上先生の話はこの事だったのかと私は納得しながら見ました。
 
そしてごく稀に、癌を抑制するスイッチをオンにする事に成功して、末期癌の人が奇跡的に治る事があるそうです。信者さんの中にも癌が治った方が何人もおられます。遺伝子には何千というスイッチがあり、癌を抑え込むスイッチ、或いは認知症を抑えるスイッチ、老化を抑えるスイッチ等があるそうです。これは遺伝子工学が発見した最新の知見です。
 
スイッチをオンにする六つの方法
 
ではどうすれば遺伝子のスイッチが入るのか?村上先生によれば、そのための条件がいくつかあるというのです。
 
先ず一番は、先程の糖尿病患者の実験のように、腹の底からワハハと、にっこりではなく全てを忘れて大笑いする事だそうです。
 
他にもいくつか、仮説として挙げておられます。
二つ目は「あー有難いな!」と深く感謝する事です。
 
三つ目は「わー朝日が綺麗だな!」とか、「今の映画は良かった!」などと深く感動する事。心を揺り動かされる感動です。今皆さんお一人お一人の顔を見て、私は大変感動しています。お参りして良かったと思っておられる輝くような顔がいっぱいで嬉しい限りです。有難い事です。
 
四つ目は深く深く反省する事。
私も三十代に「内観」をしました。終わった後、景色が変わって見える位に深い反省を経験しました。井戸を次第に深く掘り進めるように何回も繰り返し内観し、ある一線を超えると感動の水脈にぶち当たります。気持ちが溢れ、涙も溢れて止まらなくなる。この深い深い反省。宗教的にはこれを「懴悔」と言います。今生かして頂いて申し訳ないという位に深い反省。
 
それからこれは村上先生が高野山大学と共同で研究されているテーマですが、五つ目は心から強く願う事、いわゆるご祈祷です。祈るという行為が人の心や体にどういう影響を与えるのかを今研究されています。
 
最後に、周りの人に明るく接する事。自分に出来る事をしてあげるとか、何かを応援してあげるとか、周りの人に明るく「おはようございます。元気ですか」と声を掛ける事。
この六つを挙げられました。
 
人を幸せにする信仰の習慣
 
蓮華院の三信条「反省・感謝・奉仕」にこの中の三つは重なります。明るく接する事が「奉仕」に当たります。加えて心の底から笑う事、感動する事、心から強く願う事です。
 
ですから私達は日常的に、遺伝子が活性化するスイッチをオンにしてきたのです。今日も真剣に祈られて、おそらく皆さんのスイッチがしっかり入ったと思います。
 
しかし一度スイッチが入っても、そのままにするとオフになり、だめになるのです。そこでいつもスイッチがオンになるように習慣化するわけです。
 
朝起きたらお互いに「おはよう」と声を掛け合う。明るい声で相手の中におられる佛様の分身に合掌するような気持ち。また小さい子供達の中にある、悟りの種に水や光をあげるような気持ち。そういう気持ちでお互いに声を掛け合う。これを毎日実行するとスイッチが入ったままになるのです。
 
この様に、なぜ信仰によって幸せになれるのかは、信仰の中に遺伝子のスイッチをオンにする具体的なやり方があるからです。
 
例えば朝夕のお参りでの「三礼」がその一つです。額と両手両膝を畳につけて拝みます。これはまさに「懴悔」を表す姿勢です。身を低くして謙虚な姿、謙虚な心になって行きます。三度の食事で合掌して「いただきます」と「ごちそうさま」を言うのと合わせて一日に五回ずつくり返す習慣が、そのままスイッチを入れているわけです。
 
また一心に『般若心経』『光明真言』『御宝号』を唱えている時は心地良いもので、あっという間に時間が過ぎてしまいます。この時の脳波は恐らくシータ波とかアルファ波などの特殊な波形になっているのでしょう。脳の働きが安定して落ち着いてくる時、スイッチが入るに違いないと思います。
 
お参りの積み重ねが開運の秘訣
 

蓮華院の三信条、反省・感謝・奉仕に加えてなるべく笑い、感動し、笑顔で接する。これが一番簡単な佛様の光を反射する方法です。小さな積み重ねが積もり積もって、人生が変わって行くのです。
 
いつもいつもお日様は光っているわけではありません。時には雲の中で光が見えない時もあります。しかし、暗い時、悲しい時こそ身近な人、周りの人に笑顔で接する事がとても大事なのです。
 
昨日から長い時間、沢山の佛様の光を皆さんは受けられました。皆さん達の中の遺伝子のスイッチが確実に入っているはずです。そのスイッチがまた元のオフにならないように、日頃の積み重ねや努力を弛まず、しかし無理はせず淡々と続けて頂きたいと思います。
 
今日も皆さんは真剣に聴いて頂きました。本当に皆さんは信仰上の大学院生ばかりです。
出来れば最低一ヶ月位は今のお気持ちを保たれて、また次の御縁日、準御縁日にお参り頂けたら有難いと思います。合掌




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