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2019年08月28日大日乃光第2250号
子ども達に希望の光を感じた「一休さん修行会」

蓮華院誕生寺奥之院  副院代  川原光照
 
令和元年初めての一休さん修行会は、八月一日から四日にかけて、第七十一回目が執り行われました。今年も約一ヶ月前にはキャンセル待ちが出るほどの大盛況となり、最終的に五十二人の子ども達を受け入れました。
 
火を囲み友情を誓ったキャンプファイヤー
 
去年と違う所はレクレーションの内容です。いつもはやや遊び要素の強い肝試しを行っていますが、今年はキャンプファイヤーをしました。
 
私も小学校の頃、少年自然の家でやった思い出はあるのですが、焚き火みたいに火を燃やしてその周りで歌を歌ったという記憶しかなく、キャンプファイヤーはただのレクレーションと、今回やるまでは思っていました。しかし、キャンプファイヤーはちゃんとした「儀式」なのです。
 
火は昔から人間に偉大さや怖さをイメージさせてきました。そんな火を子どもたちにしっかりと分かってもらうためにやるのです。
 
儀式は最初、火の神が出てきて火の偉大さや怖さ、そして佛様の「智慧」の象徴だという事を説明し、その火に各班の誓い(友情の火など)を立てさせます。誓いを立てたら火の神から各班のトーチに火を分け、みんなで点火をします。
 
そしてここからは厳かな儀式から遊びの要素が強くなります。歌や踊り、ゲームなどで楽しくみんなと盛り上がり、親睦を深めて行きます。最後は、最初に火の神様と誓った事を胸に刻み、今後の目標を誓い、終わります。
 
このように、少しお寺流のキャンプファイヤーになっていると思いますが、その意義は神佛への崇拝、火を囲んで共に自然を感じ、仲間と親睦を深めるという意義のある儀式でした。
 
分かち合う心を実践した国際協力の話
 

アルティック(ARTIC=認定NPO法人れんげ国際ボランティア会)の久家事務局長の話は、国際ボランティアの話でした。今年一番印象に残っているのが、この講義です。
 
この時に話された中で、日本で食べられるご飯の内、捨てている量は一人当たり年間六十キログラムあるそうです(小さな子供を入れた平均)。一方で、世界にはまったく食べることのできない人が全人口の十分の一ぐらいいるという話で、今回の一休さん修行会に参加した子ども達の人数に換算して、五人ぐらいが前に出されました。
 
そしてここでおいしそうなジュースが出され、他の四十七人にはジュースが配られました。この時にジュースがまだ余っているのですが、この五人にはあげません。
 
ここで先生が、「世界にはこんな理不尽にしいたげられている人達が沢山います。みなさんならどうしますか?」と疑問を投げかけられました。
 
すると子ども達は「自分のジュースを分けてあげます」などと、いろんな所から声が出ました。私は、子ども達が「ジュースを分けてあげます」と声に出して言っても、どうせジュースは余っているので、最終的に先生が貰ってない五人にも分けてあげると高を括って、実際に自分のジュースを分け与える行為までは行かないだろうと予想していました。
 
しかし、大半の子ども達が次々に、自分の少ないジュースから少しずつ、その五人に分け与えました。
 
人間というのは、声に出して言う所までは簡単にできます。ですが実際にその言葉通りに行動を起こすのはとても大変な事です。その行動を起こせる子ども達が沢山いたという事に深い感銘を覚えました。
 
元来、人間というものはあれも欲しい、これも欲しいと「貪り」の心が育っていくものだと思います。しかし今回の子ども達を見ていると、世界で苦しんでいる人が少しでも減っていくのではないかと希望の光が見える気がしました。
 
今回の一休さん修行会では、先生である私達大人も成長させられる修行会になりました。合掌




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