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大日乃光






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2020年01月01日大日乃光第2261号
先人の築いた輝かしい日本を未来の子孫に引き継ぐために

令和二年の新年、明けましておめでとうございます。全国の信者の皆さん、輝かしい新年をお迎えでしょうか?
 
先ずは、皆さんご心配頂いているかと思いますので私の病状を報告致します。昨年は抗癌剤治療を年末まで続けて四回受けました。抗癌剤治療は一回につき大体二十日間位安静にしますが、私には二十日間は不要ではないかと思える程、何の支障もなく辛くもなく、食欲が少し落ちる程度でしたから、お医者さんや看護師さん達もびっくりされています。
 
そして一番指標となる数値が初めは一万一千というとても高い値でしたが、今では三百五十位とほぼ正常値に落ち着いております。
 
入院中に色んな人が心配しているという話を聞き、先輩や同級生、色んな方に電話をかけました。すると皆さん異口同音に「いつもあなたの事を祈ってますよ」と言って頂いて、先輩、後輩、友人達と色んな方の祈りを受けている事をしみじみと有難く感じております。
 
ただ入院中はあまり運動が出来ませんから足腰がすっかり弱りました。減った体重は、全部落ちた筋肉の分だと思います。何とか体力を回復しなければと思っている昨今です。
 
将来の皇室の行く末を憂う
 

さて昨年御即位なされた天皇陛下は大嘗祭を終えられた後、神武天皇陵はじめ歴代天皇の御陵に、無事に皇位を継承出来ましたとご挨拶にお参りされました。皇位継承の儀式が全て無事に終り、各国からの来賓や沢山の方が見守る中で無事に継承された事は非常に有難い事であるとしみじみ思っております。
 
特に即位礼正殿の儀では突然雨が止み、日が射して虹までかかるという非常に奇跡的な事が起り、これは凄い事だと多くの方が思われたように感じています。
 
今回は先の天皇陛下が在位中に譲位なさり、皇太子殿下が即位されるという特例法を、政府が新たに作って対応したわけです。その中に、この継承が終わり次第、皇位継承の安定化を目指す議論を始めるべし。ついては女性宮家、女系天皇などについても検討すべしという一文が付記されています。
 
そんな中でテレビのバラエティ番組などを見ると、専門家でもなく皇室の歴史を殆ど知らない人達が勝手な事を喋ったり、女性天皇、女系天皇を認めるべきか?というアンケートで、具体的に言えば愛子様に次を継いでもらいたいという意見に七割が賛成という状況だそうです。
 
実は蓮華院の属する真言律宗の総本山西大寺を創建されたのは、称徳天皇という女性天皇でした。この方のお父様が東大寺を創建された聖武天皇です。西大寺は称徳天皇勅願の寺で、平城宮を中心にして東に東大寺、西に西大寺が建立されて現在に至っております。
 
あまり良い話ではないのですが、その頃、道鏡という僧侶を称徳天皇が寵愛されて、ひょっとすると道鏡が皇位に就くかもしれないという危機的状況になりました。そこで和気清麻呂を宇佐八幡宮に派遣しました。清麻呂は宇佐八幡宮で真剣にお参りをして御宣託を受けます。その結果は「天皇には必ず皇族を立てなさい」という内容だったのです。こうしてなんとか事が納まったという過去の歴史があります。
 
歴代で八人の女性天皇が即位されましたが、全て例外なく、その後ご自分の子供を生んでおられません。亡き夫(天皇)の後を継いで未亡人で通されたか、娘の頃に即位されて、そのまま次に引き継ぐまでは結婚されない。今、それと同じように、愛子様に生涯独身を強いるような事が言えるでしょうか?
 
またもう少し話を広げて、秋篠宮家の眞子様が小室圭さんと結婚された上で、皇族にとどまられたとします。そして小室さんとの間に出来たお子が天皇の位を継ぐ事になる(女系天皇)としたらどう思いますか?ちょっとそれは違うんじゃないかと思いませんか?この機会に皇室とはどういう存在だったのか?過去の歴史で少しずつ、しっかり学んで頂きたいと思います。
 
ひとかたならぬ萬世一系の重み
 

これまでの百二十六代に亘る天皇陛下の内、父親の代を遡れば神武天皇に繋がらない人は一人もおられないのです。また、民間出身で皇族になった男性も一人もいません。逆に民間から皇室に入られた女性は私達の知る限り、今、三人おられます。上皇后陛下、皇后陛下、そして紀子様。このお三方が皇室に入られた民間の女性です。
 
今の男女平等の時代に、なぜ女性天皇では駄目なのか?という意見もありますが、皇室はこれまで二千六百年に亘って必死で男系(父系)継承を守り通してきた歴史があるのです。
過去から連綿と繋いで来た大事な天皇陛下の御代替りを、私達の現代の感覚や感情だけで「まぁいいんじゃない、愛子様で」等と軽率に考えないで頂きたいと思います。
 
最も古い例で言えば、第二十五代の武烈天皇の時にも皇継危機が訪れたそうです。武烈天皇は後継ぎのないまま、十八才で崩御されたのです。そこで全国を探し回り、当時越前(福井県)を治めていた人物が、何と五世も遡って応神天皇の血筋を男系で引いていると判明し、皇位を継がれました。それが継体天皇です。
 
それから江戸時代にも一回、同じような危機があったそうです。その時は世襲親王家が四つ創出されていて、その中から即位されました。明治以降はさらに天皇陛下に男系で繋がる血筋を持つ十一宮家が制定されました。
 
しかし十一宮家は先の敗戦の結果、GHQの命令で廃止されました。日本人が合意の下に、法的手続きを経て廃止したのではありません。外国人(GHQ)の命令で廃止させられたのですが、その後も宮家を復活させようとする動きはありませんでした。これを元に戻す事は、そんなにおかしな事なのか、ちょっとお考え頂きたいと思います。
 
戦後、意気消沈する国民に御心を砕かれた昭和天皇
 

戦後、教育に関する事、家庭の在り方に関する事、それから国の防衛に関する事など国家のとても大事な事柄を、昭和二十年から六年半の間にアメリカの意のままに変えられて、憲法も作って与えられ、そのまま一言一句、未だに何も変えていないのです。これは本当に情けない事だと思いませんか?
 
先般、中曽根元総理が亡くなりました。中曽根さんは「戦後政治の総決算」と言われましたが、本来、もっと大事な事を幾つもなすべきであったと思います。
 
その志を引き継ぐ安倍政権の政策が全部正しいとは言いませんが、枝葉末節な事柄で国家の背骨を揺るがすよりも、もっと他に真剣に議論しければならない大事な事があると思います。
 
その中の一つとして私達は戦後、民主主義国家になったと思っていますが、この事一つとっても、実は日本人の多くが勘違いしています。戦前は悪い国だった。戦後アメリカのおかげで良い国になったと。
 
それに対して昭和天皇は、昭和二十一年の正月のお言葉の中で、明治天皇の五箇条の御誓文を敢えて提示されました。
 
五箇条の御誓文にはまず最初に、「廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スベシ」と書いてあります。これはまさに民主主義の原理そのものです。全ての事を話し合いで決めて行きなさい、独裁的に決めてはいけませんという事が第一条に書いてある。日本は戦前から、それどころかずっと昔から既に民主的な国家であったと。
 
昭和天皇は日本人の誇りを取り戻すために、第一にこの事を仰られたのです。しかしこのお言葉もマスコミによって、実際にはどこにもそういう文言が入っていないにも関わらず、国民には〝人間宣言〟として紹介されてしまいました。
 
苦難の末、人類史に刻まれた先人達の輝かしい偉業
 
そこで民主主義という言葉に対して佛教的な立場、日本の歴史と伝統を踏まえる立場で言いますと、ここからが一番大事な所です。
 
過去の先人の思いを汲み、未来の子供達に良い国を引き継ごうとする温かい眼差しと、時代を繋ぐ人間としての責任感。そういう覚悟を私達一人一人がしっかり持つべきではないかと思います。
 
特に思うのは、過去の先人の歴史に対して泥を塗るような行為です。戦後、全て日本が悪かったと思わせて、日本人の魂を抜き去る為に、日本をさげすむように〝真実はこうだった〟という番組がNHKから連日流されました。これはGHQによって、明らかに日本人に罪悪感を植え付け、骨抜きにする意図でなされた事なのです。そして、将来日本から皇室をなくそうと、十一宮家を廃絶させたのです。
 
そのGHQの最高司令官で東京裁判を主導して日本を裁いたマッカーサー自身が、朝鮮戦争当時、アメリカで最も権威ある上院軍事・外交合同委員会で、一言で言えば「かつて日本が戦争をした原因は専ら防衛の為であった」と、こう証言しています。この事は全てのマスコミが伝えていませんので、この事を知っている人は殆どいません。(詳しくは小堀桂一郎著 講談社学術文庫『東京裁判 日本の弁明』をお読み下さい)
 
日本の戦争は侵略戦争ではなく、防衛戦争だったのです。何回も書きますが、日本は大変理不尽な戦いを強いられたわけです。その中でも特に私の父の世代、もう一つ上の世代の人達は大変苦しい戦いを強いられました。
 
しかし一時的に欧米に勝った日本の姿を目の当たりにしたインドネシアやフィリピン、ベトナムやカンボジアなどアジアの人々に、本気で戦えば勝てるという自信と勇気を与えました。
 
そして戦後、アジアには沢山の独立国が生まれました。繰り返しますが、これはかつて日本が世界の歴史に果たした大変な偉業なのです。世界に人種平等、民族自決の理念が定着するきっかけを作ったのは、まさに日本の先人達なのです。
 
それに対し、今まさにチベット人やウイグル人を抑圧している中国は、時代に逆行して植民地支配を強行し、現代に於ても民族の自治独立を認めない前近代的な国であると言わざるを得ません。
 
令和の時代を切り開く心構え
 
これからが、令和に入ってやっと本当の一年目と言えるのかも知れません。そういった意味で、私達は令和の時代をこれから生きて行く上で、守るべきものと変えるべき事の両方をきちんと見極めて検討すべきではないかと、私達一人一人がそういう心掛けで勉強しなければいけないと思います。
 
かつて世界的な歴史学者アーノルド・J・トインビーは「歴史を失くした民族は亡びる」と言いました。歴史を学び先人の思いを感じ取り、その中で未来に向かってどういう日本を受け渡すべきなのか。そういう事を新年にあたってそれぞれが各人で、各家庭で考えて頂けたら有難いと思います。合掌




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