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大日乃光






大日乃光

2020年12月01日大日乃光第2291号
先祖供養が過去世を浄め、人々と地域社会の運勢を開く

真言密教の「三密」を実践しよう
 
皆さん今日は。奥之院大祭にようこそお参りでした。大変な時期に、皆さんそれぞれ色んな所で気を遣いながら、日々を過ごしておられる事と思います。
 
先程境内放送で、「皆さん、密にならないようにお参り下さい」「三つの密を避けるようにお願いします」と、新型コロナウイルス感染症対策の、いわゆる「三密」を避けて下さいと案内されました。
 
この「三密」という表現を耳にして、真言宗の僧侶としては、すぐに「身・口・意」の「三密」を連想しましたが、もちろん意味が全く違います。私はまさに今ここで、三密瑜伽の行法、三密の行法を修しました。人間の全ての行動、全ての行いは三つに集約されます。身体で行うか、言葉で行うか、心で行うか。この三つ、これしかないのです。
 
この三つの行いを総動員して、少しでも佛様に近づこう、悟りの道に近づこう、慈悲の心をもっと高めよう、智慧の光をもっと輝かせようとするのが三密の修業であり行法なのです。
具体的に言えば、今、皆さん合掌しましたが、この合掌こそ、まさに身体による行い、「身密」の一つなのです。
 
「右ほとけ左衆生と合わす手に、仲ぞゆかしき南無のひと声」と、右手を神様佛様の心として、左手を私達煩悩を持つ衆生に見たてます。合掌にはその両の手の平を合わせるという意味があります。そして合掌という行為は人に敬虔な心を起こさせます。また合掌した状態で喧嘩をする人はいません。
 
こうして体の動作の象徴である「印」を結ぶ。合掌も一つの印なのです。私は先程三十数種類の印を結びましたが、印はそれぞれに深い意味を持っていて、私達に様々な良き変化を起こさせるのです。
 
次が言葉による行い、「口密」。困った人がいたら、「大丈夫ですか?」「何かお助けすることはありませんか?」と声をかけます。これも慈悲の思い遣りの気持ちの現れです。自分自身を奮い立たせるための言葉もあります。皆さんにとって大切なその一つが御宝号です。
 
そして最後に心から思う事、「意密」。心を籠めて相手の事を思い、世の中の平穏を願い、そして言葉でお経を唱えたり、相手に思い遣りの声をあげる。
どうか皆さん達は、日常生活の中で密教で言う「三密」を意識して、これからお参りして下さい。もっともっと佛様が身近に感じられて、御利益も近づいてくるのであります。
 
最大の苦難をも人生の糧に
 
昨日、水泳の池江璃花子さんが人々に勇気を与えたという事で「第三回 服部真二賞」を受賞されました。その時のインタビューで、彼女は「大変な思いをしたけれど、今思えばあの苦悩の月日は、私の人生にとって大きな糧であると思います」と答えておられました。糧とは自分を育てるもの、自分を育むもの、自分を立派にしていくものです。
 
新型コロナウイルス感染症が世界に広がって、もう半年以上経ちました。世界では第二波が広がっているようですが、幸いな事に日本は神の国と言うか、神佛が守って下さっているお陰か、元々日本人が持っている生活習慣のお陰なのか、はたまた日本人が持っている遺伝子のお陰なのかは明確に分かりませんが、アメリカやヨーロッパの国々に比べると、百分の一以下の発症率、そして死亡者数であります。日本人も千人近くが亡くなられ、勿論ご遺族にとっては大変な事態であります。
 
しかし新型コロナで亡くなられた方の数は、毎年インフルエンザで亡くなられる一万人の十分の一以下と、本当に少ないのです。インフルエンザは毎年流行しますが、今年は何人亡くなった、何人罹ったと、こんなに大騒ぎはしません。日本の現状をみる限り、一つには日本のマスコミが騒ぎ過ぎです(しかし現在は第三波の急速な拡大で、状況が変わりつつあるようです)。
 
癌は大変な病ですが、有名人でもなければ殊更に騒がれる事はまずありません。池江さんの場合は東京オリンピックでの活躍が期待されていただけに、その不運をお気の毒な事と思っておりましたが、現代医学のお陰で何とか克服されました。しかしその半年後に私自身が癌に罹り、今この経験を自分の糧にしている所です。
 
必死のお参りが全ての原点
 
私の場合、癌が全身の骨に転移していましたから、入院して手術をしても治せないという事でした。今一番困っているのは、顎の骨に癌の影響が残っていて、口が充分に動かない事です。
 
そういう状態ですけれども、自分は日々、人々の為、信者さん達の為に祈っていて、「大丈夫。佛様に一心におすがりしなさい。自分でも真剣に拝みなさい」と、常々言って来た自分が、これでは良くないという事で、去年の八月一日から毎日一万遍、「南無皇円大菩薩、南無皇円大菩薩…」と御宝号を唱えているのです。
 
初めはベットから四十五度以上体を起こせず、横になったままずっと唱えていました。
それからしばらくして、もっとたくさん唱えようと、一日に三万遍唱え始めました。八月二十七日には一千万遍を超えました。
 
法然上人は「南無阿弥陀佛」を、毎日五万遍唱えておられたそうです。それを知っていたので、せめて一日に二万遍ずつ唱えようと決めて、今朝までに千百八十四万遍唱えました。
そのお陰で、私自身の信心が一段階グレードアップしました。
 
始めから一万遍は大変と思う方は、一日に百遍でも千遍でもいいから、まずお唱えしてみる事が大切です。自分が大きな苦難に遭遇している時、どうかお助け下さいと、合掌しながら必死でお参りする事です。この「必死」というのが、実は、この蓮華院における信仰の「肝」であり中心です。これが無ければ信仰の全てが成り立ちません。
 
全ての活動は地域へのご恩返し
 
全国の信者の方々が、今も熱心にお参りされています。私も一心に、毎朝お参り致します。
そのお陰で、この奥之院の伽藍が四十二年前に建立されたわけです。本院の五重塔は、真如大僧正様が発願されました。そして平成二十三年には南大門が再建されました。そして二年前には多宝塔が建立されました。
 
その都度佛像を造立し、今そこにお見えの、恐らく日本で三指に入る技量をお持ちの今村九十九大佛師のお陰で、素晴らしい大四天王を南大門に納め、五智如来を多宝塔に納めました。本院の皇円大菩薩様の御尊像も、新たに造り納めました。今は皇円大菩薩様が次に私に何を命じられるかと、楽しみに待っております。
 
また蓮華院は国際協力や、子供の詩のコンクールなどの社会教育活動を含め、地域に向けて様々な奉仕活動を行って参りました。奥之院や本院が存在する事も、この奥之院大祭そのものも、玉名市や熊本県にとっての大きな財産の一つになっていると思います。そういった意味での地域社会に対するご恩返しは、自分自身の両親に対する恩返しや、ご先祖様に対する恩返しと一直線に連なり、信仰の道にもピタッと繋がるのです。

 ご先祖様は自分自身の過去世でもあ

 
蓮華院では、信者の皆さんの殆どが先祖供養を祈願されています。最近、先祖供養とは、実は自分自身の過去世への追善供養でもあると思っています。ご先祖様は、実は過去世の自分自身と同じであるとも言えるのです。
 
蓮華院(本院)は、八百年程前に創建されました。八百年分のご先祖様を両親(二人)から祖父母(四人)、曾祖父母(八人)と数え続けて累計すると、三十二世代で約八十六億人という膨大な数になります。
 
私達の一人びとりがそういった膨大な方々をご先祖様に持つのです。そして、その一人一人の人生が、実は自分自身の過去世でもあると考え、前世の業(ごう)を浄めて行く。即ち追善供養をする。
 
過去は変わらないと言いますが、見方を変えれば、実は過去は私達の心構えで変えられるのです。そして先祖供養によって運勢が激変し、人生が開けた人々がたくさんおられます。
また、その積み重ねで発展していく地域と、中々発展しない地域があります。勿論リーダーの資質にもよりますが、人々の思いと行いによって、そういう事が起きています。
 
先祖供養が未来を開く
 
午後からは柴燈大護摩祈祷を修しますが、皆さん方は今日を機会に、今お伝えしたように、お参りする時に自分の背後に何億、何十億というご先祖様がおられると思って下さい。そのご先祖様方と共に自分は今お参りしていると思い、全ての方々の様々な悪しき行いから来る罪業、そういったものが一つ一つ消滅して行くようにお参りして下さい。そうする事によって、あなたの未来が開けて行くのです。こういう事をお伝えするお寺は、あまりないかもしれません。
 
奥之院大祭に初めて来られた方は、どうしてこんなに大きなお寺があるのだろう?と疑問に思われたかも知れませんが、この伽藍そのものが全て信仰の証であり、先祖供養の功徳の現れであるという事なのです。それではご一緒に、御宝号を大きな声でお唱えしましょう。
南無皇円大菩薩 南無開山大僧正 合掌




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