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2021年06月29日大日乃光第2309号
八百五十三年大祭を機に日本人の誇りを取り戻そう

八百五十三年大祭を機に日本人の誇りを取り戻そう

三十年ぶりのお参りに感動
 
皆さんこんにちは。今日は六月大祭にしては雨も降らず、有難い事でした。このコロナ禍の中をお参り頂きまして、お一人お一人に心より篤く御礼申し上げます。
 
さて、今朝は嬉しい事がありました。何と三十年ぶりのお参りと仰られる九十四才の女性の方に先程お会いしました。
 
お話をうかがうと、今日はどうしてもお参りに行かなければと、何か啓示を受けられてお参りされたご様子でした。そのお年でお参りに行くと言えば絶対家族から反対されて止められるでしょうから、「一人で行ってくるけどちゃんとお薬も持って行くから心配しなくていいよ」と置き手紙を残して、はるばる関東からこっそり家を出て来られたそうです。
 
高齢の方が家族に置き手紙を残して一人で黙って家を出て来られる事は、信仰のない一般的なご家庭であれば、ましてこのコロナ禍の中ではとても容認できる事ではありません。
 
しかしこの方の、「私には来年はないし、今回がもう最後」と言われるご本人の言葉に篤い篤い信心の情念を感じ、この方のお参りを導かれ、お寺に無事に送り届けて頂いた皇円大菩薩様の深甚なる御加護と、何よりもこの方を信じるご家族との心の絆を嬉しくも思い、深く感動した次第であります。
 
この方とのお話で特に印象深かったのは、四十二年前の奥之院の落慶の時に功徳行を修された事です。お名前は尾野ユウニョさんと仰います。カタカナでユウニョ。ちょっと変わったお名前ですが、インドネシアの華僑の方で日本に帰化されました。
 
どういう経緯で日本に住むようになられたかを尋ねると、日本人と結婚して、ご主人が日本に帰る時に一緒に来日しましたと。日本語が難しくて覚えるのに苦労したと、色々苦労話をうかがいました。
 
開山上人様が関東布教に巡錫された時、ご主人が難病で苦しんでおられて、そのご縁で関東の布教所にみえるようになって、それからずっと信仰を続けておられます。
 
予言が的中した〝空の神兵〟
 
ところでこの方はインドネシアのご出身ですが、インドネシアと言えば、七十六年前までオランダの植民地でした。三百四十年もの長い間、虐げられた国でありました。
 
十二世紀前半に東ジャワのクディリ王国にジョヨボヨという王がいて、古代インドの民族叙事詩『マハーバーラタ』をジャワ風に翻案させ、『バラタユダ』という文学作品を作りました。ところがその内容は王による不思議な予言に満ちていて、影絵芝居にも仕立てられ、民衆の間に広まりました。
 
その中に、「わが王国はどこからか現れる白い人々に乗っ取られるであろう。彼らは魔法の杖を持ち、離れた距離から人を殺すことができる。白い人々の支配は長く続くが、やがて北方の白い衣をつけた黄色い人々が白い人々を追い出し、この地を支配した後に〝ラトゥ・アディル=正義の神〟の支配する祝福される治世がくる」という件があったそうです。
 
実際に大東亜戦争中の昭和十七年一月と二月に日本兵が白い落下傘で空からインドネシアに降り立ちました。まさに予言通りに神の使いが来てくれたと、現地の人々は大喜びしたそうです。そして瞬く間にオランダ軍を駆逐し、長い植民地支配から解放しました。
 
日本軍の目的は油田をはじめ資源地帯を確保する事でしたが、仁将と呼ばれた今村均中将の元、スカルノやハッタなど現地の独立運動家の意を汲み、インドネシアとしての独立を念頭に置いた軍政が布かれました。日本の指導により役所を始め様々な組織を作り、インドネシア人を現地官吏に登用し、インドネシア語の公用化を徹底し、雇用も創出しました。
 
先のユウニョさん達は、日本のお陰で祖国が独立に向っているという頃に青春時代を過ごされたわけです。
 
独立の礎となった元日本兵達
 
この話にはまだ続きがあります。残念ながら日本は戦争に敗れ、現地で武装解除された軍人さん達は祖国日本に復員されました。インドネシアでも全ての武器を渡した日本兵は故郷に帰った事になっています。
 
ところが何と約二千人の日本兵が、いずれ必ずオランダがインドネシアの再植民地化を企てて、イギリスと一緒に攻め込むに違いないという事で、有志として独立戦争に参加するために現地に留まられたのです。
 
日本はインドネシア人指揮官が自ら率いる義勇軍(ペタ)を組織し、軍事教育をしていました。その成果もあって、その人達が先頭に立ち、四年半の過酷な戦いを経て遂に独立を勝ち取ったわけです。その中には教官として教え子達に請われ、戦火に身を投じた元日本兵も数多く居られました。
 
結局、インドネシア独立の大儀に身を投じ、独立戦争に参加した元日本兵の内、約四百人が戦死し、その内の三十二名が各地区の英雄墓地に手厚く祀られているそうです。
 
今から二十六年前の平成七年にインドネシアで独立五十周年の式典が催された時、残留の元日本兵六十九名は一等席に招待され、感謝状が贈られ、スハルト大統領が自ら官邸に招いてお礼を述べられたという事です。
 
その後もインドネシア政府から叙勲や恩給など、手厚い謝意を表されたということです。この事は皆さん是非憶えておいて下さい。同じような経緯が、インドネシアだけではなく、ベトナムやミャンマーでもありました。
 
日本と縁の深いビルマ建国の父
 

今ミャンマーは大変困難な情勢になっていますが、去る五月十三日、アルティック(認定NPO法人れんげ国際ボランティア会)の二人の優秀な若手スタッフがミャンマーへと旅立った事は既にお伝えしました。彼らは五月二十八日から現地で学校建設のために平野君のお手伝いを頑張ってくれています。
 
ミャンマーではアウンサンスーチーさんが拘束・軟禁されていますが、この方はビルマの独立運動を指導し、その達成を目前にして三十二歳の若さで暗殺された「ビルマ建国の父」ことアウンサン将軍の長女に当ります。
 
アウンサン将軍は今でもミャンマーでは国民的英雄です。私が現地に赴き田舎町で食事をした時に、アウンサン将軍の写真がちゃんと掲げてあるのを見た事があります。
 
この若きアウンサンを指導したのが日本の軍部でした。アウンサンの目的はイギリスからの完全独立でしたが、インパール作戦後に日本の敗色が濃くなると、イギリスは戦後の独立を条件にビルマ国民軍を率いるアウンサンを懐柔し、連合国軍に協力させました。
 
戦後、イギリスが約束を反故にしてビルマを再び植民地にすると、アウンサンは再び反英独立に立ち上がり、その尊い犠牲を経てビルマ(ミャンマー)は独立を勝ち取りました。
 
こういう事はアジアの他の地域でもありました。日本のご先祖様達の尊い犠牲がきっかけとなってアジアの国々が次々と独立を果たしたのです。これは紛れもない事実です。
 
この事を三人の娘がまだ小学生だった頃に話したら、三人とも何と涙汲みながら聴いてくれました。皆さんの子供や孫達にも、家庭教育としてきちっと伝えて頂きたいと思います。
 
世界が称賛した先祖伝来の日本人の感性
 
このように先の戦争中、日本は武力だけで他国を抑圧してきたわけではなく、また仔細に見ると決して日本だけが一方的に悪かったとは言えない事も、益々明らかになって来ています。こういう歴史を知っていたら、世界の中で極端に低いと言われている若い世代の「自己肯定感」も変ると思います。
 
今の学校教育では、全ての教科書で日本が悪かったという表現が多過ぎるので、自己肯定感が保てないのも仕方ない事かもしれません。そういった意味では可哀そうな事とも思います。
 
せめて我々の世代、また次の世代が歴史や民族に対する誇りをもたなければ、この国に元気が出て来ないと思います。
 
例えばお父さんがぐーたらでお酒ばかり呑んでいる。お母さんは怠けてご飯も作ってくれない。そんな家庭でいつも嘆いているような子供が、元気一杯に育ったり、人の役に立つように生きて行けるでしょうか?
 
このように思えば、やはり両親は仲睦まじく、お父さんは働き者でお母さんもよく家族のお世話をしてくれるような家庭でありたい。
 
私は三人の娘夫婦を見て、それぞれによく頑張ってくれていると嬉しく思っている所ですが、世の中には中々そううまくいかない人達が増えてきつつあるのではないかと…。
 
それでも私達は、例えば十年前の東日本大震災の時の事を思い出して、胸を張って未来へと進まなければなりません。
 
あの時外国からは、アメリカのハリケーンの被災地で起きたように、トモダチ作戦で食料や物資を運んで来たヘリに被災した人々が殺到し、奪い合う様子が世界中に報道されるのではないかと予想されていました。
 
ところが映像には日本の被災者達が全く物資を奪い合う事なく、きちんと列に並んで分け合っている姿が映し出されました。
 
そこには、我が身の悲惨を顧みず、「もううちの分はこれで十分です、他所で困っている人達の所に行ってあげて下さい」と言われる様な人達ばかりでした。その姿を見て世界中が驚嘆しました。日本というのは何て国だ!と。
 
この美しい出来事は、一朝一夕に出来るものではありません。また教育によって簡単に変われるものでもありません。日本人がずっと培ってきたお互いに助け合う気持ち、和の心です。
 
ご先祖様達が紡いで来て下さった様々な良き伝統、良き文化、良き生活習慣、良き思いやりの心の賜物であり精華であります。
 
日本人は自然にまとまってお互いに励まし合い、「困った時はお互い様」と言いながら、特に災害が起きると余計その絆の力が発揮されるのです。
 
そういった記憶を時には私達自身が振り返り、自分達の中に息づくご先祖様の思いや願いを感じ取り、しっかりと子や孫達に後ろ姿で伝えて行って頂きたいと切に願っております。(続)




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