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2021年10月02日大日乃光第2318号
「ご先祖様の正しい歴史を学び信仰生活をより深めよう」

「ご先祖様の正しい歴史を学び信仰生活をより深めよう」


 
信者の為の毎朝の御祈祷が闘病生活の一番の支え
 
皆さん、今日はようこそお参りなさいました。通常の御縁日に、皆さんにお目にかかるのは久しぶりになります。
 
現在、月に一回病院に検査に通っています。行く度に病気の数値がぐんと下がり、かつては全身の骨に転移していた癌細胞も、今では殆ど無い状態になりました。薬も一時期からすると四分の一程度で済んでいます。
 
これも毎日の御宝号の念誦と、全国の信者さん達の為の毎朝の御祈祷のお陰です。
そして皆さん方のお尋ねにちゃんとお答えする使命。それが闘病生活の中で一番の励みになりました。信者さん方にお力添えと言うか、後押しして頂いたようでもありました。
 
大病の中で、真剣に皇円大菩薩様にお尋ねして来た日々の積み重ねが、私自身にとっても大きな大きな支えになっていると、今改めて実感しています。
 
そういった意味で、信者の皆さん方にこれ以上ご心配をかけないように、一日も早く元気にならんといかんなーと思っている所です。
 
大国から国を守り抜いた明治時代
 
さて今日、九月十三日は何の日でしょうか?
今日は明治天皇ご崩御の際に殉死された日露戦争の英雄、乃木将軍の命日でもあります。そこで改めて、明治の人達の気骨と言うか気概について考えてみました。
 
世界全体が帝国主義に覆われる中で、ロシアの脅威は今日言われている中国の比ではありませんでした。当時の日本に比べ、ロシア陸軍は十倍以上、海軍力も三倍近い大差がありました。にも関わらず、やむにやまれず開戦に踏み切った。
 
その時、明治天皇は、
 四方の海 
  みなはらからと思ふ世に
   など波風のたちさわぐらむ
という御製歌を詠まれました。
「世界の国々はみな仲間であり兄弟であるはずなのに、どうして波風が立ち騒ぐのだろうか」という悲嘆を表されたということです。
 
しかし明治の人達は、何と開戦前から終戦工作を進めていて、仲裁国との交渉を始めていたのです。日本の独立、安泰、名誉、そして日本の未来を守るための明治の人達の取り組み、冷静沈着な深謀遠慮。現代と比較すると、改めてその素晴らしさに感銘を受けます。
 
昭和天皇も米英との開戦か否かを決める御前会議で、異例にもこの御製歌を引用されたという事です。
 
そして大東亜戦争末期に敗色が濃くなると、首脳部ではソ連に仲裁を頼む思惑でした。ところがソ連自体が八月十五日に満州、南樺太や北方領土を侵略しました。それらの地域では逃げ遅れた人々がたいへん悲惨な目に遭いました。
 
このような事態を常に誰よりも憂い、祈りを捧げて来られたご存在が、まさに歴代の天皇陛下なのです。
 
女性天皇の歴史的な役割とは
 
しかし天皇陛下については、女性天皇と女系天皇の違いもよく知らない、分からないと言われる方がまだまだたくさん居られます。
 
仮に愛子内親王様が即位されると、これは男系の女性天皇という事になります。歴史上、男系の女性天皇は八人居られます。
 
ところがもし愛子様が皇族以外の方とご結婚されてお子様が生まれ、その子が皇位を継がれたら、歴史上存在した事の無い女系天皇になり、二千六百年の皇統がそこで断絶する事になります。
 
歴史的に三回、一度臣籍降下された男系子孫が皇族に復帰して、男系の皇族女性と結婚されて、皇位を継承された事がありました。それはたいへんな尽力で、神武天皇に繋がる男系の血筋が何とか守られて来たのです。
 
中でも古墳時代の継体天皇は、先帝が後嗣を残されないまま崩御されたので、五世も血筋を遡り、越前(今の福井県付近)から皇位に迎えられました。
 
また蓮華院の属する真言律宗の総本山、西大寺を発願された方は、称徳天皇という奈良時代の女性天皇でした。この方は東大寺を発願し、奈良の大佛を造立された聖武天皇の皇女に当たります。しかし生涯独身を通されたため、天武天皇以来の嫡流が途切れました。
 
次の光仁天皇は傍系の男性皇族(現在の皇室からは嫡流)でしたが、妃の称徳天皇の異母姉(聖武天皇の皇女)と共に即位されました。
 
女性天皇は他にも七人居られますが、全員男系の女性天皇で、独身で即位され、譲位(退位)後も独身を通されました。
 
これは既に即位された女性天皇が皇族以外の有力者と結婚したり、その子孫が皇位を継ぐと皇統が断絶するばかりでなく、秩序が崩壊し、次々に大乱を招き、国の根底が覆る大変な事態を引き起こすからです。
 
ですから女性天皇は歴史上、あくまで男性天皇から男性天皇への中継ぎのような役割りを果たして来られたのです。
 
歴史から断絶された戦後教育
 
こういう歴史的な事実は、残念ながら自ら学ぶ気を起こさなければ分かりません。学校教育では教えず、マスコミも伝えないからです。ある意味、大部分の人が知らなくても当然と言えば当然なのです。
 
敗戦後のGHQによる占領政策の一つ、公職追放令により、戦前からの東大の学長や高名な教授達は全員辞めさせられました。その代わりに共産主義者や無政府主義者が着任しました。彼らが戦後の学会や教育界を掌握し、弟子達に引き継がれて今に至っています。マスコミでも全く同じ事態が起きました。
 
学校で、祖父母やご先祖様を大切に思い、感謝する素直な感情を一方的に否定するような教育を受けた子供達が、果たして健全に育つでしょうか?生き生きとした、溌剌とした精神状態で生きて行けるでしょうか?
 
前の世代に対する感謝や敬意を持たない歴史を子供達に教えることは、あってはならない事です。これは犯罪的な教育です。それが残念ながら現在も続いています。
そんな中で、国の根幹を揺るがしかねない皇位継承問題が近視眼的に論じられ、マスコミも無責任な論調で大衆を煽っています。
 
心に楔を穿たれた、先代の思い
 
私自身も小中学校では国歌の事、日章旗(国旗)の事、そして天皇陛下の事を教わっていません。その後、物心ついて、どうもおかしいなと思うようになり、まだ独身の頃、あるきっかけで戦後教育の枷から抜け出す事が出来ました。
 
それは先代真如大僧正様から、
「もし自分が命を投げ出して敵に少しでも損害を与える事で、この故郷や両親や家族が戦禍に遭うまでの時間を一日でも延ばせたら、生きた意味がある。死んで行く意味がある」
と、特攻隊に志願された時のお気持ちを直に聞かされた時です。
 
宗教は平和な世の中にあって、人々の心の平穏、そして一人びとりの幸せを願い、祈ります。そのために様々な教えがあり、実践があり、日々のお参りがあり、こうして私の法話があり、皆さんがお参りされています。
 
しかし国家が危機に瀕した時には、個人の幸せや日々の平穏な暮らしは吹っ飛びます。
現に先代は二十才で大学の学業を中断されて、先の思いを胸に特攻隊に志願された。その頃の多くの若者達は、同じような思いで自らの命を捨てる覚悟を決め、陸に海に空に若い命を捧げられたのです。そういう時代もあったのです。
 
私はまだ十五、六才でしたが、このお話を聞いた時の衝撃たるや大変なものでした。魂に大きな楔を打ち込まれた様な感じでした。
 
先代の知己が繋いだ縁
 
その後も何度か小さな転機がありましたが、最も大きかったのは、平成五年に『月光の夏』という映画を作られた、大牟田出身で放送作家の毛利恒之さんにお会いした事がきっかけでした。
 
その方の友人に、先代の知り合いで、後に先代の遺稿集『龍神の説法』を出版して頂いた、鎌倉出版の清水憲二社長がおられました。清水さんには『宗教と現代』という佛教系の月刊誌で、蓮華院の特集号を出して頂いた事もありました。また、清水さんは坂村真民先生とのご縁を繋いで頂いた方です。
 
その毛利さんが『月光の夏』を映画化するために募金活動を進めていた所、清水社長が「蓮華院の川原さんがいる」と紹介されたそうです。
 
先代が遷化された後でしたが、清水さんから電話がかかってきたのです。
「川原さん、今自分の知り合いに特攻兵士に関する脚本を書いて、映画化しようとしている人がいるんです。今知覧に行っていると思います。その帰りに是非あなたの所を訪問したいと言っておりますが、如何ですか?」
 
私は「どうぞお越し下さい」と伝え、毛利さんに初めてお会いしました。
平成五年の春彼岸前の事でした。
 
歴史の心眼を刮目された大恩人
 
それからどんな応援が出来るかを考え、特攻兵士の供養塔を作る事にしました。今、霊園(蓮華院御廟)の地蔵堂の隣に建つ母子像が、その供養塔です。その碑文を書いて下さいと頼まれ、一所懸命考えて書きました。
 
先代亡き後、私の相談相手は先代の同級生で、歴史学者でもある故田邉哲夫先生でした。
田邉先生には、蓮華院の考古学的な発掘調査でもご尽力頂きました。千二百年前の瓦がこの境内から出土しました。最後の仕事は五重塔址の十メートル四方の基壇状遺構の発掘調査でした。また文献調査でも皇円大菩薩様を研究して頂いた大恩人です。
 
その田邉先生に碑文の原案を見て頂きました。その中に「この様に人間性を踏みにじる作戦によって命を落とした多くの兵士の方々…」という文言が入っていたんです。すると、
「英照君、君らの年代から、あなた達は人間性を踏みにじられた可哀そうな人達だったなんて言われたくないぞ!あなたの親父もそう思うはずだ!こんな事を息子達の世代から言われたくないぞ!もう一回歴史を見直してみろ!
 
歴史というのは後から書くものだが、書いたり思ったりする時には、その当時の時代の景色、時代の風、その時々の人々の思いに寄り添って書かなければいけないんだ!また読まなければいけないんだ!それが歴史を学ぶという事なんだ。
 
後の人間が勝手に判断して、あれこれ断じるのはおこがましい。
人間性を踏みにじられた可哀そうな人達などと書かれては、特攻兵士の誰も喜ばない!やり直せ!」と言われました。ショックでした。配慮が足りなかったと思い、もう一回書き直しました。その後どう書き直したかは、霊園の碑文をぜひご自分の目で読んで確かめて下さい。(※注)
 
歴史を学び、信仰を深めよう
 
本誌が皆さんのお手元に届く頃には自由民主党の総裁選が既に終わり、国家の舵取りをする人が決まっている筈です。
 
新しいリーダーが、今の日本の危機をどう防ぎ、より良い社会をいかに築くのか。そして良き日本の伝統をいかに未来に引き継ぐのか。これから見守って行きたいと思います。
 
我が国を愛し、我が国の歴史を尊敬し、そして未来に引き継いで行く。これは自分の信仰をしっかり深め、子や孫達に伝えて行く、その大切さと同じ事です。
 
日々の生活の中でほんの一時だけでも、国を導かれた先人達の涙ぐましい努力や、国を守るために尊い命を捧げられたご先祖様方のご苦労を思い出し、感謝して、ぜひご先祖様に負けないような気持で、日々精進して行きたいと念じております。
合 掌

※遠方にお住まいで、コロナ禍によりお参りの不自由な信者の皆様のために、蓮華院御廟の戦没者供養塔の碑文を、蓮華院御廟公式ホームページの「お知らせ」にて特別に公開いたします。(https://rengein-gobyo.jp/news/    クリック下さい

*貫主大僧正様が全身全霊を込められた畢竟の碑文をぜひお読みください。




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