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2022年04月16日大日乃光第2336号
先祖供養と蓮華院の教え

八百五十四年大祭に向けて
 
来たる六月十三日、蓮華院の信仰上最も大切な行事である六月大祭を、今年も通常の御縁日の日程で執り行います。
 
大祭の前行として、十二日の「功徳行」を昨年から再開しておりますが、今年は十四時開始の日程で厳修致します。
 
十三日には十時からお参りを致します。『般若心経』七巻をお唱えし、僧侶衆で『理趣経』等を唱え、その間に貫主大僧正様に護摩を焚いて頂きます。そして貫主大僧正様に御法話して頂く形で執行致します。
 
委細は下記お知らせ欄をご覧ください。令和四年の六月大祭は以上の様に執り行いますので、宜しくお願い致します。
 
今回は準教師の伊藤祐真先生が、三月の御縁日で前座としてお話しされた内容を寄稿頂きましたので、以下に掲載致します。
 
伊藤先生は本誌に『古写真に見る蓮華院百年史』を連載中ですが、昨年十一月から十二月にかけて、アルティック(認定NPO法人れんげ国際ボランティア会)のスタッフとしてインドに出張され、引き続きご多忙のため、しばらく休載されています。近日中に『百年史』は再開致しますので、暫くお待ち下さい。
 
開山上人様にお会いできた思い出
 
それは私が二十五歳のときでした。アメリカ留学のために、出発の前日にお寺に挨拶のお参りに行ったときでした。私は開山上人様(是信大僧正様)に、生涯でただ一度、直接対面してお話できたのです。
 
お寺に着くと寺務所で、「せっかく来たのだから、是信大僧正様にご挨拶していきなさい」と思いがけなく案内されて、貫主堂でご挨拶しました。
 
法要のときに本堂で御法話を聞くことはありましたが、対面でお会いするのは初めてでした。開山上人様は神通力をもつ偉大な霊能者でしたので、いい加減なことを言おうものなら見透かされて即一喝されそうで、とても緊張しました。
 
「これからアメリカに一年間留学してきます。よろしくお願いします」それだけ言うと、あとは何も話すことができません。開山上人様は一言二言話されただけで、時間にしてほんの二、三分でした。最後に「これを持っていきなさい」と、餞別をくださいました。思いがけないことに感激しましたが、元々、信者さんには非常にお優しい方でもありました。
 
全国布教をなさった開山上人様
 
あと七年で蓮華院は中興百年を迎えます。この百年の記録を残すため、現在私は『蓮華院百年史』の編纂をしており、お寺の古い機関誌の記事を読みながら、今は昭和三十年代の後半のところを調べています。古い記録を調べていると、開山上人様の言動や活動についての面白く、興味深い様々な話を読むことができ、それらの記事をもとに本稿を書いています。
 
開山上人様は昭和三十四年から三十七年までの四年間、毎月の約半分をかけて、全国各地に出張して布教をする、という大変な仕事をしておられました。六十三歳から六十六歳までの頃で、年齢的にもかなり過酷な全国布教でした。
 
蓮華院には現在でも全国各地に信者さんがおられるのは、そのときの全国布教で信者になられた方が多かったからです。これで蓮華院は全国的に知られるお寺になったのです。
 
まず第一に先祖供養を
 
開山上人様は、例えば「『般若心経』とは何か?」というような佛教の教義的なお話は、殆どされませんでした。開山上人様は教義云々よりも、修行による実際の神通力一筋の方でした。
 
いくら本を読んで密教を勉強しても、現実に不幸災難の人を目の前にして救うことができなければ、僧侶となった意味がないではないか、というのが信条だったからです。
 
開山上人様の御法話は、いかに信仰をしたらいいか、という非常に具体的な話ばかりでした。御本尊様からの功徳と自らの修行で得られた霊能に基づき、実生活に則した比喩を交えながら、解りやすく諭すように話されました。
 
ご実家が農家でしたので、以下のように稲作にたとえたお話も、録音テープや新聞の記事として残っています。
 
「稲を植えても、肥料もやらない、草取りもしないなら、いい米は獲れない。農薬を散布して害虫がつかないようにするのは大事だが、まずは肥料をやって栄養のある土を作ってやるのが稲作のまず大事な基本です。そうすれば稲株は大きくなるし、穂はたわわに実るし、大きな収穫が望めます。
 
それなのに肥料代を惜しんで土を肥やさないなら、豊かな収穫は望めません。この肥料をやって良い土を作ることに相当するのが先祖供養です。
 
先祖供養を怠って、開運祈願や病気平癒ばかりお願いするのは、肥料をやらずに害虫駆除や実を大きくする薬ばかり散布するのと同じことです」
 
このように、蓮華院の信仰では「先祖供養がまず第一」と言われていました。先祖供養をはじめ開運厄除、病気平癒など、様々の祈願がありますが、特に先祖供養が大事なのです。
 
なぜ先祖供養が大事か
 
開山上人様が、なぜ先祖供養が大事と言われるかというと、私達の幸不幸は、先祖の因縁に起因するからです。
 
信者さんから様々な病気や災厄などについてお尋ねがあると、開山上人様は、過去百五十年ぐらいまで遡って、数にして四十から五十名の、その家のご先祖様の様子を観想しておられたそうです。
 
人間は死ぬと成佛するといいますが、成佛とは「縁覚界」以上の世界に行くということです。死後の世界には、上から佛陀、菩薩、縁覚、声聞の四つの世界があり、その下は地獄や餓鬼など「六道」の世界になります。
 
縁覚界まで行けば、そこから迷い出て現世の人間に霊障(サワリ)して、病気や災厄をなすことはありません。「声聞界」まで行けば一応成佛ということになりますが、完全な成佛ではないので、生前の人生の中で功徳の不充分な人や悪事を行なった人は苦しくなり、この世に魂が舞い戻って供養を求めて、子孫に霊障をなし、それが病気など様々な問題を引き起こすのです。
 
先祖供養がまず大事だという理由は、ここにあるのです。したがって、常々先祖供養を行ない、日頃から先祖が迷わないようにしておくことが大事なのです。
 
前述した全国布教の受付記録を調べると、初対面の人が、自分や家族の病気や災難についてお尋ねをすると、即座にそれがどのようなご先祖様の霊障かを答えられて、何日間の供養をすればその問題が解決されるかを即答されています。他人の霊障や、霊障のない単なる病気もありますが、多くはご先祖様の霊障からです。
 
切実なお尋ねに自信をもって答えておられ、そして御祈祷によってその問題を現実に解決されているのです。したがって先祖供養の大事さは、開山上人様が自らの御祈祷力で人々を救われた実際の経験に基づいているのです。
 
作本さんの先祖供養
 
準教師の作本全真さんは、現役時代は福岡県内のある市役所に勤務された方ですが、三十数年前、私と一緒に得度して準教師になられました。私が彼を尊敬するのは、先祖供養の祈願を毎日欠かさずお願いされていることです。
 
作本さんは「我が家のご先祖様には悪い人もいるだろうから、私が供養をしないと子孫に災いするのです。これは私の使命としてやらねばならないのです」と言われます。
 
そのお陰により市役所では出世され、また数年前に医師に見放された難病から元気に回復されて、その後も変わらず毎月三回のご縁日にお参りされています。
 
私の小腸癌
 
二年ぐらい前に、今の貫主英照大僧正様から、私も作本さんと同じように毎日の先祖供養を勧められました。しかし私も年金生活者ですので踏ん切りがつかず、そのままになっていました。
 
ところが昨年五月、私は小腸癌になり、一部切除の手術をうけました。手術がうまくいき今は元気ですが、お腹の中に癌細胞があり、抗癌剤治療を続けています。術後、主治医に「あとどれぐらいの命ですか」と聞くと、「あと一年ですね」とあっさり答えられました。
 
それで私も、毎日の先祖供養をお願いすることにしました。人間、どうせいつかは死ぬわけで、死んだら先祖供養もできない、供養は子孫のためにも私の功徳を積むことにもなる、と覚悟を決めたのです。
 
主治医から言われた死期まであと一ヶ月ですが、まだそのような兆候を全く感じないのは、先祖供養と病気全快護摩祈祷のお陰に違いありません。
 
ちなみに貫主大僧正様ご自身も、ご自分で祈願料を払い、川原家の先祖供養を毎日なさっています。つまり自分で人に勧めることは、まず自分もせねばと率先垂範しておられるのです。
 
祈願をお願いできることに感謝
 
昔の録音テープによると、開山上人様は「惜しんで供養や祈願をしたらだめだ」とも言われています。たとえ話ですが、「客人に酒を勧めるのに、『どうぞ酒でも飲んで行ってください。本当は自分で飲むつもりだったけれど、あなたが飲んで下さい』などとちょっとでも惜しむ気持ちで言われると、途端に飲む気がしなくなり酔いも醒める。祈願料を惜しむとご先祖様でも、あるいは他の人でも同じ気持ちになる」と仰っておられました。
 
祈願料がどれほどの負担になるかは、各人や各家庭で違います。一座五日間で五千円の祈願料にかなり負担を感じる人もいれば、三万円出してもそれほど負担に思わない人もいるかも知れません。
 
ですから「長者の万燈より貧者の一燈」という佛教説話があるように、まず一心さが大切で、それぞれの経済状態で判断されることです。
 
信仰とお金の関係は微妙です。貫主大僧正様も、毎日の先祖供養を誰にでも勧めておられるわけではありません。
 
誰にとってもお金は大事です。大事なことは「これは御本尊様にお願いするんだ」と一旦決めたら、あとは惜しむ気持ちは捨てる、と割りきることです。
 
継承される絶大なる功徳力
 
開山上人様が仰っておられましたが、蓮華院の信仰では、信者さんが御利益を頂かなければならない、つまり願いは叶わなければならないのです。私自身も必ず願いは実現するという思いで、一所懸命信仰をしています。
 
佛教の最終目標は「佛(ブッダ)つまり悟った人」の言葉どおり「悟りを開く」ことで、悟りを求めない佛教はあり得ません。そのためにも、まず目の前の問題を解決する、即ち願いを叶えて頂かれることが大切です。
 
それを機に、皇円大菩薩様の大慈大悲の御心に適う生き方を目指し、悟りを開くよう努力して行かねばなりません。
 
皇円大菩薩様は衆生済度の御誓願を立てられて、桜ヶ池で七百六十年の龍神修行をなされました。その功徳力は開山上人様に授けられ、真如大僧正様、さらに現貫主英照大僧正様へと確実に受け継がれております。
 
信者の皆さん、蓮華院の信仰に精進致しましょう。合掌
 




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