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2023年11月27日大日乃光第2387号
十一月三日を「明治の日」に!先祖の栄光の歴史を顕彰しよう

十一月三日を「明治の日」に!先祖の栄光の歴史を顕彰しよう
 
今日は奥之院開創法要にお参り頂きまして、誠に有難うございます。

今、皆さん達と共にお祈りした祈りの力は、足し算ではなく掛け算なのであります。ですから皆さんがお一人加わる事で、祈りの力が倍になるのです。

どうかそのお気持ちで、午後からの柴燈大護摩祈祷にも、真剣にお参りして頂きたいと存じております。
 
十一月三日の本来の意味
 
さて今日、十一月三日は何の日でしょう?
ほとんどの方は「文化の日」と答えると思いますが、そもそも「文化の日」とは一体何をする日なんでしょうか。

「文化の日」には、皇居で天皇陛下が文化勲章を親授されます。けれども、十一月三日を戦前、昭和初期には何と呼んでいたか、この中にもご存知の方はおられると思います。

それは明治天皇の御誕生日であった事から当時の国定教科書では「明治節」と教わり、小学校でも祝賀式が催されていました。また、今は今上陛下の御誕生日の二月二十三日を「天皇誕生日」と呼びますが、戦前は「天長節」と呼んでいたのです。
 
「明治の日」に込める意義
 
ところで最近、国会議員の一部や識者の間から、この十一月三日を「明治の日」に改称しようという動きが有るそうです。この「明治の日」と言った時、そこにはどんな意味が籠められているのでしょうか。

明治の御代に入り、二百六十年の鎖国政策を改め、欧米列強から植民地にされるという大変な危機感の中で、必死の思いで西洋の技術を導入して富国強兵に努め、教育制度や法律等、様々な文物を必死に学び吸収しました。

当時の多くの指導者は、江戸時代に教育を受けた士族達、即ちサムライでありました。そういう人達が「このままでは日本は危ない」と、必死の思いで西洋の文化、文明を取り入れたのです。
 
神佛分離令は明治政府の過ち
 
ここでアーノルド・J・トインビーという著名なイギリスの歴史学者の言葉を引用すると、「歴史と文化を喪失した民族は亡びる」という恐ろしい響きの言葉があります。実は明治時代にも一つの大きな歴史と文化の断絶となる出来事がありました。

日本が近代的な統一国家として諸外国と対等になるためには、天皇陛下を精神的な強い支柱とする必要があると考えられたのです。

それまでの神佛習合という日本独特のアイデンティティから佛教的な要素を排除する事、また佛教が天皇中心と並立してはいけないとなって、「神佛分離令」が発出されたのです。

日本は古来、神道と佛教とがさながら夫婦のように手を携え合ってきたわけです。それを明治政府が、国家を一つにまとめるために、言わば強制離婚させたわけです。その結果として、天皇陛下を中心に日本は大変な発展を遂げました。

しかしその後の歴史の推移を考えた時に、「歴史と文化を喪失した民族は亡びる」という先のトインビーの警句には戦慄すら覚えます。先人が築いて来られた道を否定したり蔑ろにする事は、その民族のエネルギーの元を絶つ事にも等しいという事なのです。

昭和初期にかけて、日本の先人達は已むに已まれぬ経緯から先の大戦に至り、敗れた事によって明治以来の流れが一度断ち切られました。「天長節」が無くなったのもその一環で、戦後GHQの政策によるものです。

そして学校では「日本人は悪い民族だった」「世界に迷惑をかけた」「侵略者だった」などという風説が未だに教えられ続けています。これを先人達が知られたらどんなに悲しまれる事でしょう。そして先のトインビーの警句から見ても、後世に大きな禍根を残す事になるのではないでしょうか。
 
敵将を敬服させた昭和天皇
 
日本における天皇陛下のご存在というものを最も象徴的に表す出来事があります。敗戦直後、昭和天皇がマッカーサーと初めて会見された時、「全ての責任は私にある。私はどうなっても構わない」と、まず最初に仰られた時です。

その言葉を聞いて、アメリカ本国のみならず、戦争犯罪人として天皇を起訴すべきという国際世論の渦中にも関わらず、死を全く厭わない責任感や、明らかに天皇に帰すべきではない責任をも全て引き受けようとされたその勇気に満ちた態度に、マッカーサーは骨の髄まで魂を揺り動かされたという事です。それ以降、マッカーサーは昭和天皇を「陛下」と敬称で呼ぶようになったという事です。

このような昭和天皇のお気持ちを、天皇陛下は平成、令和と確実に受け継がれています。過去の歴代の天皇陛下もそのように尊いご精神で、国民の平安の為にずっと祈り続けて来られたのです。天皇陛下を戴く日本は、何と有難く、幸せな国ではありませんか。
 
先祖の歴史を顕彰する意義
 
この様に歴史を紐解いて、その時代その時代で奮闘された先人達の思いを、私達はしっかり受け止めて、これからの生き方に活かさなくてはなりません。

例えば皆さん一人びとりが自分の両親や祖父母の事に置き換えてみてください。私もこの瞬間、父や母、祖父や祖母、開山上人様、先代真如大僧正様を肩の後ろに感じながら話しております。

その集約として日本全体を見た時に、過去の先人達がどういった歩みをなされて来たのかを忘れてはいけないという事です。もちろん全てが全て正しかったとは言えないかも知れませんが、厳しい当時の世界の現実に、必死の思いで船出した先人達の真剣な思いというものを、我々は子孫としてしっかり受け継がねばならないと思います。

そういった意味で、日本人の意識の中に先人の素晴らしかった事を思い起こさせるために、十一月三日を「明治の日」とする事には大変意味があると思います。
 
今の苦難もいつかは晴れる
 
今は世界的に大変な危機の時代であります。けれども、私はいつもこう考えています。今日は良い天気ですが、雨がしとしと降る梅雨の時期であっても、その雲の遙か上には煌々と輝くお日様があります。雲を抜けるといつもその先には必ずお日様がある。今、苦難の中に在っても、努力を続ければ必ずその先には明るい未来が待っています。

こういう事を、私達大人が子や孫達に背中で見せていく必要があると思います。このように、私は絶対楽観主義者です。決して悲観する事はありません。もちろん細心の注意を払い、様々な苦難に対する準備は必要です。それをしなくて良いという訳ではありませんが、最終的には楽観しかありません。
 
日本の明るい未来を信じよう
 
こんな世界一古い歴史を持つ日本国民が、今世界中から大変高い評価を得ています。日本への旅行は非常に素晴らしい。日本人の清潔さや公徳心、そして互いに譲り合う謙虚さなど。日本料理も素晴らしい。色んな意味で日本の文化や国民生活、日本社会そのものが世界から高い評価を受けているのは事実です。

そしてもう一つ喜ばしい事があります。日本が八十年前に苦難の道を辿ったのは、専らエネルギー危機が原因でした。しかし私は五年十年先には、日本はエネルギー大国になる可能性があるのではないかと感じています。今はネット社会のお陰で、そういう明るい情報を知る事が出来ます。

ぜひ皆さん達も、これから先の未来に向けて希望になる様な明るい情報をもっともっと取り入れながら、私達親や祖父母の世代が子や孫達に率先して、前向きに明るく生きて頂きたいと思います。

どうか皆さん、今日を境に日本の素晴らしい歴史、家族の素晴らしい所、あなた達自身の長所を誇りに思い、子や孫達に伝えて行って下さい。逆に短所ばかりを子供達に言い続けると子供がのびのび育つ筈がありません。必ずいじけてしまいます。これを国レベルでやっていきたいのです。
 
戦後世界を形作った事に矜持を
 
日本という国が無ければ、今頃はアジア・アフリカ地域に独立国はありません。日本の戦前・戦中の苦難の歴史がなければ、世界は未だにアパルトヘイトのままで、オリンピックをしても二十数ヶ国しか参加出来ないでしょう。それが東京オリンピックまでの戦後二十年の間に急激に参加国が増えました。

この様にかつて我々の先祖が果たした役割が、世界の歴史に大きな一歩として刻まれている。その自覚をそれぞれが持って頂きたい。特にリーダーの方々には、何卒宜しくお願い致します。そしてぜひ十一月三日が「明治の日」になるように、皆で応援したいと思っております。
 
家庭生活の中から始まる文化
 
ここで真の文化とは何かを、もう一度考えたいと思います。

家族が一緒に食事をする事。その時、「頂きます」「ご馳走様」と口に出し、食事そのものに感謝をする事。

佛壇や神棚にお参りする事。それを家庭の中で子や孫に後ろ姿で伝える事、これが全ての原点ではないかと思います。

私達日本人の生活習慣を支え、日本人として形作っていくのは家庭です。家庭における良き生活習慣や伝統を通して家族が互いに助け合ったり、両親や祖父母、そして年長者を尊重する所から本当の文化が始まるのではないでしょうか。
 
過去から未来への繋がりを自覚
 
そういった中で最も大切な事は、常に私達の背後にあるご先祖様に向き合い、大事にするという気持ちです。

私達は、普段一緒に生きる家族や、仲間達との社会的な横の繋がりの中で生きています。また私達には、父母、祖父母や親族を亡くした時に、その人の良い所を見いだし、それを自分の中に活かし、何とか引き継ごうと努力する気持ちがあります。それと同時にご先祖様に対する感謝の気持ち、その過酷な過去の歴史に対する温かい眼差しが必要だと思います。

過去の歴史への温かい眼差しを持っている人であれば、子孫に対して何を残すべきなのかを考え、過去から未来に縦に繋がる命の流れの中で、過去の良い所を次の世代に残そうと努力します。

それを支えるのがご先祖様を大切にする思いと、過去に対する感謝の気持ち、先人に対する共感です。それが供養をする時の大切な心持ちです。
 
地域の偉人を顕彰する意義
 
現在は過去の偉人を取り上げたり、地域の偉人を子供達に教え伝える事をあまりやっていません。自分の両親や祖父母の中に偉人がいたら、おそらくそういう人は心の中にプライドを持って生きられると思います。

私達自身がそういう事に関心を持ち、せめて自分のご先祖様の事を知り、感謝するという事も必要です。またそういう姿を子や孫にしっかりと伝えて行くという事が、この国をもう一度しっかりした国にする上で、とても大事な役割だと思います。そんな中で、信仰の役割というのはとても大きいのです。
 
御誕生の地の蓮華院で結ぶ皇円大菩薩様との心の繋がり
 
皇円大菩薩様もこの地にお生まれになり、実在された歴史上の偉人のお一人です。私達は皇円大菩薩様とこの地を通じて、開山上人様を通じて繋がっているのです。その意識を信仰の中に活かして頂きたいと思います。

今、世界は寛容さをなくし、そして余裕を持って人々に温かく接する気持ち、そういったものが極度に減退していると思います。

そういう時代だからこそ、私達は反省・感謝・奉仕の三信条を胸に抱きながら、ご先祖様を大切に、家族の気持ちを一つにして頂きたいと切に念じております。合掌




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