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大日乃光

2025年08月08日大日乃光第2436号
災害で苦難にある人々のために少しでも深い祈りを捧げよう

災害で苦難にある人々のために少しでも深い祈りを捧げよう

人の心の傲りが天災を招く?

これを書いている七月上旬現在、鹿児島県の十島村(トカラ列島)近海で地震が群発し続けています。中でも震源地に近い悪石島や小宝島では、この猛暑の中を住民の島外避難が進められています。 宮崎県の新燃岳でも、先月末から断続的に、七年ぶりとなる噴火が続いています。

海外に目を転ずれば、アメリカ南部テキサス州で集中豪雨による大洪水が発生し、百人以上の犠牲者が出たという事です。

また七日には、インドネシアのレウォトビ火山で噴煙が二万メートルに達するほどの大規模な噴火が発生し、日本気象庁は一時、津波の発生を警戒したほどでした。

日本列島は、まだ蝉も鳴く前の六月下旬から既に体温を超える程の猛暑の中にあり、ヨーロッパでも熱波に見舞われて河川の水位低下が深刻な状況になっているという事です。

この様に厳しい自然の猛威を前に、私は度々思い返す事柄があります。 かつてエコロジーという言葉が初めて世間に広まった頃、「地球に優しく」という標語がよく使われたものでした。経済活動の是非や、工業製品の付加価値として、未だに「エコ」という略語を日々耳にします。

しかし「地球に優しく」と聞く度に、私はとても大きな違和感を抱いてきました。 今月十八日に「子供の詩のコンクール」の募集が終わりました。その募集の時に子供達に「親に優しく」などと言うでしょうか? 人類と地球はどちらが親で、どちらが子に当たるでしょうか?どちらが古く、どちらがどちらを養っているでしょうか? 答えは自ずと明らかです。

「地球に優しく」などと表現するのは、明らかに人類の傲りだと思います。 その傲りの結果が、何らかの形で現れていると考えるのは私だけではないでしょう。 地球環境の異変には、私達人類が地球の怒りを被り、警告を受けている状態にあるのではないかと考える人は少なくないと思います。

そういった中で、私達人間同士はますます助け合う世の中を作らなければならないと、強く強く思う次第であります。

苦難の人々に寄り添う祈りを

先の六月大祭では、準教師の伊藤祐真さんがアルティック(認定NPO法人れんげ国際ボランティア会)のスタッフとして、インドでの成果を発表してくれました。

これも人間同士が民族を越え、国境を越えて、苦難の中の人々に手を差し伸べ、寄り添い助け合う、そういう状況を作って行くための一つの方向性を求めての事であります。

度重なる自然災害に際しても、決して他人事とは思わずに、何か自分に出来る事は無いかと思いを巡らせ、行動に移すと共に、「どうか皆さんが平安でありますように」と心の底から祈りましょう。

それぞれの家庭の中から、地域から祈りを込めて下さい。 そして「どうか人々が少しでも苦難に遭いませんように」「どうか傷ましい死者が出ませんように」と、願いを込めて祈りを捧げて頂きたいと思います。

何かあった時に、地域が皆で助け合うためにも、普段から家庭の中でお互いに励まし合い助け合い、支え合う習慣が何と言っても大切です。

大宇宙の調和への祈りの詩碑

「大宇宙大和楽」 この言葉は坂村真民先生が八十一歳の時、宮崎県の高千穂神社と阿蘇の幣立神宮をお参りされた時に生み出された言葉です。

地球を含めた宇宙そのものに大きな調和がありますように、そして星同士が照らし合い影響し合い、良き調和がありますようにという祈りの込められた言葉です。 これは佛教的な世界観、密教的な世界観そのものを表す言葉と言う事もできます。

五十年程前、奥之院を建立中に、大雨の後で小岱山の一角にあった巨石が滑り落ち、林道を塞ぎました。数日後、開山上人様が道の脇に移されました。

その後、奥之院に大梵鐘を運び上げる前に、開山上人様が「試しにその石を運んでみよう」と仰られて、トレーラーで奥之院に運び、開山堂の傍らに置かれたのでした。

その後、その巨石は真民先生の言葉を刻むのに相応しいと思い、「大宇宙大和楽」と刻み、本院の五重塔の側に真民先生の第五百十番碑として建立したのです。  

「廻向文」に込める聖なる祈り

私達が自分の願いを熱心に、真剣に祈る時、それと同時に、心の中のどこかで自分達を支えて頂いているこの地球に、さらに広く大宇宙に「有難うございます」と、感謝の気持ちを持ち続ける事がとても大事だと思います。

その心構えをまさに象徴しているのが、法要の最後に唱えている「廻向文」です。 「願わくはこの功徳を以て普く一切に及ぼし、我等と衆生と皆ともに仏道を成ぜん」

皆さんが一所懸命お参りされた時、その功徳が、この地球上から宇宙に到るまで、自分以外の全ての生き物、動植物も含めて遍く一切衆生に及びますようにと、どうか私達を含めた一切衆生がこの「大宇宙大和楽」、即ち安楽の世界、調和の世界に到りますようにという願いが、この「廻向文」に込められているのです。

皆さんがご自宅でお参りされる時にも、必ずこの廻向文を唱えておられるはずです。 困った人がいたら、少しでも自分に出来る事はないかと考え、何かしてあげようという思いを持つ事が大切です。

そして自分自身が今日よりも明日、明日よりも明後日と、一歩でも二歩でも仏様や神様の御心に近づき、自分の心を綺麗にして行こうという意志が、この「仏道」という言葉に表されているのです。

昨今のように災害が続く時には、一人でも多くの方が「どうか災害が起きませんように」と真剣にお参りして頂きたいと思います。 その祈りに必ずや天地自然が感応して、少しでも良い方向に動き出す力になって行くと信じております。合掌




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