2026年03月23日大日乃光第2443号
三月十四日密葬儀での法嗣ご挨拶文
貫主光祐権大僧正様 三月十四日密葬儀での法嗣 ご挨拶より
最期まで祈願祈祷に専心なされた一点の曇りなき立派なご遷化
発病から六年七ヶ月の軌跡 信者の皆さん、縁あってご会葬頂きました皆様、本日は、誠に有難うございました。蓮華院誕生寺貫主、川原英照大僧正は見事なご遷化でありました。
令和元年七月三十日、前立腺癌を宣告され、「これはもう、後一週間で命がない」と医師から告げられました。 まことに質の悪い前立腺癌でした。 ところがちょうど癌について新しい治験が確立され、新しいお薬が投与されると、大学病院の先生方が「こんなに効果が上がるとは!これは奇跡的です」と、本当にびっくりされていました。
それから令和八年三月十二日まで、二千四百十七日間、六年七ヶ月余りの闘病生活でございました。 一時は医師から「今は癌の数値がゼロですが、無くなったわけではありませんよ」と釘を刺される程に回復しておられました。
令和六年の奥之院大祭では、愛する二人の孫を従弟子として従え、柴燈護摩道場や五重御堂への参道を自らの脚でしっかり行道されたほどでした。 祈願祈祷に捧げられた日々 それから一年後の去年の奥之院大祭を前に、本人は「導師を務める」と宣言されて、「歩いて五重塔まで行く」と、その日の朝には仰られました。 ところが奥之院に上って準備を進めておられる内に具合が難しくなられて、私が代理を務める形で大祭は無事に成満致しました。
十一月中旬頃には癌の転移が分かり、十二月十五日から二十七日まで入院されましたが、年末には退院してお寺のご自宅に戻って来られていました。 以後は通院治療を受けながら、毎朝、信者さん方のための朝のお参りに一時間半ほどかけられ、そして信者さん方の祈願祈祷を連日続けておられました。
一点の曇りなき見事なご遷化
一昨日の午前中、「光祐を呼べ!啓照を呼べ!光照を呼べ!皆呼べ!!」と言われて、ああしろ、こうしろと…、「しっかり拝めよ」とか「広い目を持てよ」などと、ご指示をされました。 そして「今日の痛みは昨日までと違うから救急車を呼んでくれ!病院に行く」と。 二時間ほど色んな指示を出されていましたが、病院に着くともう話が出来ませんでした。 そして二十四時間で見事な大往生を遂げられました。 誠に天晴なご遷化、さすが川原英照大僧正!!と、私は心の底からそう思いました。
お清めとなった龍神様の驟雨
皆さんは、昨日(十三日)の雨の事は憶えておられますか? 蓮華院では昨日の昼一時頃、「麗らかな春先に、こんなに暴風雨が吹き荒れるなんて…」と、季節外れの驟雨に皆驚いておりました。 蓮華院の御本尊様は龍に身を変じて、七百六十年間苦難のご修行をなされたお方です。ですから「龍神さまが来られましたね」と、寺内ではそう口々に申しておりました。 四十九日が終わると「満中陰」と言って、浄土に赴くと言われております。ですから昨日の雨は龍神様がお迎えに来られたのではなく、お清めに来られたと思っています。 この十三日の熊本の天気を日本気象協会などで調べてみると、降水の記録は無く、それこそ龍神様の通り雨のような、よほど局所的な風雨だったという事のようでした。
英照大僧正は非常にアイデアが豊富で天真爛漫、また行動力もあって、色んな事を楽しみながら行って参りました。 ここで満中陰になる四十九日を計算すると何月何日になるか、数えてみました。 すると何と四月二十九日の昭和の日の祝日となり、南大門春まつりの日に当たります。 これは、ご自身が一番好きだった賑やかな日に満中陰となるよう、ご遷化なされたものと思っております。
七年前に秘印を伝授
それからもう一つ不思議な話があります。 最初に癌が発見されて、医師から「あと一週間か十日」と告げられたその時、「光祐、この秘印を授けよう」と言われて、皇円大菩薩様の秘印を授けられました。 皆さん、仏像を拝観すると、仏様の手が色んな形に組んでありますね。密教では印契と言って、手を色んな形に組みます。 そんな中に、皇円大菩薩様の秘密の印というのがあるのです。五本の指に「地・水・火・風・空」が配されて、地と火と、こうして空と空をこうして、指から出るエネルギー、オーラが色んな形になるのです。
一週間前に二度目の伝授
それがご遷化の一週間程前に、「光祐、啓照、光照、集まりなさい」と、再びお呼びがかかりました。 そこで「皇円大菩薩様の秘印を授ける」と言われ、私は「七年前にもう授かっています」と答えました。 すると「まだ続きがあるのだ。初重の最初の秘印と、二重の秘印。次のもっと大切な秘印があるのだよ」と、皇円大菩薩様の二つ目の秘印を伝授されました。
ですから最初に危なかった時は、医師には宣告されましたが、本人はまだ死ぬ時ではないと確信されていたのだと思います。 ですから、七年前には二つ目の秘印をまだ伝授されなかったのでした。 口伝で伝わり行く仏教の法脈 この話を私のお寺仲間の人に話したところ、「これも一子相伝の一つということですから、そういう形になりますね」と言われました。 僧侶の間では、師僧が入寂される時に弟子を枕元に招き寄せ、秘密を授ける。口伝として伝授して行く。そういう世界なのです。
ですから英照大僧正様は、一回目の時には、自分はまだ死なないと思っておられた。 ところが今回は逝く日の近い事をご自身で悟られて、最後の秘印を授けて下さったのだと思っております。
浄行を継承する決意と覚悟
英照大僧正様の悲願でもあった蓮華院の中興は、皆様方のお陰様で、五重塔と多宝塔が並び建ち、立派に整いました。 蓮華院はこれからも続いて行きます。続かせます。 ここで蓮華院誕生寺の教え、皇円大菩薩信仰を乗り物に喩えて申し上げれば、これからもご本尊皇円大菩薩様をはじめ、開山上人様、真如大僧正様に、新たに英照大僧正様を加えた、言わば四つの車輪によって、その御霊力はますます揺るぎなく安定し、皆様を乗せて前に進んで行くものと確信致します。 これから先も蓮華院は安泰であります。
どうぞ信者の皆様、ご関係の皆様も、これまで以上に親しくお付き合い頂きたく存じ上げます。これからも皆様方のご支援ご助力の程、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
本日は誠に有難うございました。合掌

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