2011年06月29日第518号
内観と大震災
第34回日本内観学会大会が、6月24日(金)〜26日(日)に、埼玉県越谷市にある文教大学越谷キャンパスで開催されました。
最終日に公開特別講演として、国際コミュニオン学会名誉会長の鈴木秀子女史が、内観と黙想と被災地支援に関して、心に残る非常に感動的なお話をされましたので、皆様にご紹介させて頂きたいと思います。
特別講演「内観と大震災」聖心女子大教授 鈴木秀子女史

(文学博士、日本近代文学が専門。ゲシュタルトセラピーや性格分析にも通じ、文学療法の開発者でもある。国際コミュニオン学会名誉会長)
聖心会会員でもあり、年1回10日間の沈黙の行を終えたばかり。臨死体験者でもある。
去年、瞑想の森内観研修所で内観を体験した。黙想と内観の根底は同じである。周りの人や物を通じて神の愛は感じられる。
生きにくいと感じている人は内観を受けると良い。生きるのが楽になる。
あと、講演は東日本大震災への支援で被災地に入り、被災者との交流を通して感じた事についての内容となったが非常に素晴らしかった。
3月11日は大学関係者で自宅へ帰れない人への対応から始まった。海外の友人からも多くのEメールをもらい、被災地で助け合う日本人の素晴らしさを賞賛したものが多かった。(このような時、外国ではよく暴動や略奪が起こる。)
被災者の多くの人から聞いた言葉は、「命があるだけでもありがたい。生きているだけで幸せ。感謝のみです。今まで何と贅沢な生活をしていた事か。」という事です。
また、「過去の事や先の事を考えてもしょうがない。今に集中する。自分にできる小さな手伝いをする。すると、まわりの人が皆いい人に思える。」と言った被災者もいました。
宮城と岩手は天災。天災は人を謙虚にし、人の良い面を輝かす。福島は人災。人災は人の醜い本性をあらわにする。
安全圏にいる間は、人間なかなか生き方を変えられない。余命3ヶ月などと言われた時や今度のような時に、人間生き方が変わる。
ある市長は、「自分の命令で、避難誘導にあたった消防団員の方々が命を落とし、孤児が生まれた。これだけは悔やまれてならない。この子達が大学へ入るまで、私は支え続けます。」と言われたそうです。
人間すべてがギリギリの状態を体験すると、命があることに感謝する。命が輝きだす。
大震災は日本人に意識改革の時である事を教えている。こういう経験をした日本人は、これから世界の精神的なリーダーにもなれる。
愛とは許すこと。生かされている、今ここにあるということの尊さ。周りの人々の助け。それらがありがたいと思えたときに大きな転換が起こる。感謝。許し。そして小さな人助けへとつながっていく。
幸せは他の人と共に築き上げていくもの。
誰かが黙ってあなたの存在を受け入れ、黙って一緒に生きてくれる人がいれば、人は絶望しない。他人を恨まない。内観の面接者は同伴者である。被災者も同じ対応を必要としている。
内観をする時、座る屏風の中には何もない。これは被災者と同じである。内観であらゆるものによって生かされていることに気付くと、感謝が生まれ、許すことが出来る。
一つに通じている人は全てに通ずる見本のように、内観とキリスト教の黙想と被災者の関連性について感動的なお話を1時間半、聴衆の注意をそらすことなくされました。深い静かな感動が残りました
坂村真民詩集
朝に夕に
守られている
ありがたさよ
生かされている
うれしさよ
朝に夕に
手を合わせよう
感謝のまことを
ささげよう
仏語集
恨みはもとより恨みによって静まるものではなく、恨みを忘れることによってのみ静まる。(パーリ、相応部)
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