2011年03月03日第506号
家族に助けられて

私はこれまで自分の事だけを考えて生きてきていた様です。自分の人生を自分がどう生きようと自分の勝手だと、そんな考えを持っていたと思います。
しかし、内観を始めてみると、私は決して一人で生きているわけではなく、家族や周りの方々によって生かされているという事に気付かされました。
まず母に対する内観をしました。それまで気にもとめてなかったのですが、母は仕事で忙しく、休みもあまりなかったと思います。けれども、毎朝学校に行く時間は必ず起こしてくれ、朝食も作ってくれていました。
また、休みの日には、いつもどこかへ遊びに連れて行ってくれ、それでも、仕事を休んでいた様な記憶はありませんでした。私は初めて母の苦労を知りました。
当時は、起こす時間や食事に対して文句ばかり言うのが、当たり前になってしまっていました。私は、母に対して心から不満を言う事はあっても、心から感謝の言葉を言った事は余り無いと分かり、驚きました。内観してい ると、母に対して大変申し訳ない事をしたと、だんだん感じてきました。
母には今現在もお世話になっているのに、私は何もお返しができていない。また、立派な人間にもなれていない事にも気付き、親不孝な事を今まで散々してきているにもかかわらず、私を一度として見捨てる事のなかった母に、私は心から感謝しました。
父に対しては、私はあまり父と過ごした記憶がありませんでした。仕事続きで家にあまり居る事がなかった為思い出しにくく、父の事を調べるのを止めてしまおうかと思ったほどです。けれども、母と遊んでもらった側に、やはり父がいました。はっきりとは思い出せずとも、父に育ててもらった事が解りました。
また、自分の養育費を計算していても、あんな大金が自然に入ってくるわけもありませんので、父は私達と過ごす時期を削って仕事をしていたのだと分かりました。父には大変お金のかかる大学に行かせて頂き、習い事の費用等のお世話にもなっていました。
最近では、私がTVドラマを作ると言った時も、一番に協力して頂き、いつも私の目標の手助けをしてもらっていました。私もその時は夢中になっていましたので、感謝するどころか、不満を言うばかりで、迷惑をかけてしまったと思います。私が神経症で悩んでいる時も相談に乗ってくれて、内観を勧めてくれたのも父でした。
祖父母についても内観しました。あまり考えた事はなかったのですが、夕食や身の周りの世話をしてくれたのは、祖母でした。私は祖母に対して感謝した事はありませんでした。いつも夕食は出来ていて、それが当たり前になっていました。いつもバランスを考えた食事を取っていたことを考えますと、病気がちな私の事も考えていたのかも知れません。
祖父にはよく怒られていました。父が留守の事が多かったため、父親代わりのような存在でした。私は小さい頃、祖父をあまりよく思っていませんでした。けれども、内観してみて、カメラの知識や、自分の好きな物を買ってもらったり、やはり私のために協力してくれたりして頂いていた事を思い出しました。私は祖父母には心配ばかりかけていたと思 います。
兄への内観には、一番驚いてしまいました。現在、兄とはあまり良い関係とは言えず、会っても挨拶する程度ですが、内観してみて、子供の時、私は兄から沢山お世話になっている事に気付きました。
小学校の時、兄は友達と通学せず、私と一緒に通学してくれていました。私の事を心配してくれていました。調べていくと、私の遊び相手はいつも兄で、私はよく兄になついていましたが、内観するまで忘れていました。
しかし、中学から高校までを内観しますと、さっぱりそんな記憶はなく、思い出せたのは、兄に敵意を出したり、文句ばかり言っている自分でした。当時の兄は多忙だったため遊んでもらえず、私はそれにすねているだけだった事に気付き、自分で情けなくなりました。
それが今でも続いている事を知り、つまらない事で兄との関係を壊してしまったと、涙が止まらなくなってしまいました。これからは、兄との関係を良くするため、兄に歩み寄ろうと思います。
友人に対しての内観では、私は常に周囲の人に支えられている事を知りました。私がTVドラマを作りたいと言った時から、友人は私の作る作品すべてに協力してくれました。少ない休みを利用して、出来る事全てをしてくれました。まさか友人にまで、これほど世話になっているとは予想外でし た。それから、私は今までの自分勝手な生き方を考え直しました。
内観は、自分の恥ずべき行為にも正面から向き合わなくてはいけないため、大変つらいものでした。しかし、同時に、忘れていた、考えもしなかった周囲の方々の思いやりを知ることができました。
私はこれからも内観を続け、生き方をもう一度考え直していこうと思います。相手に心から感謝できる様に、相手に心からお返しできる様に、そんな人生が送れたら素晴らしいだろうと、私は今考えています。
坂村真民詩集
すべて他のために
花を咲かせる草と
実をつける木とが
鳥に話しているのを
じっと聞いていました
わたしは酉年生まれなので
彼等の言葉はわかるのです
わたしは聞き終わった時
自分が恥ずかしくなりました
もっともっと他の人のために
この身を捧げねばならぬと
思ったのです
すべて他のために
それが彼等たちの
願いだったのです
仏語集
施しても施したという思いを起こさず、事をなしてもなしたという思いを起こさない。自慢もしない。ただそれが賢い事であり、正しい事だからするのである。それは、母親が一枚の着物を愛するわが子に与えても、与えたという心を起こさず、病む子を看護しても、看護したという思いを起こさないのと同じである。(百縁経)
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