2010年09月28日第490号
うつ病

以前、心理学の本か何かで、「内観は是非一度した方が良い」と読んでいて、ずっと気にかかっていました。
今回ようやく1週間という時間が出来、今後の自分のために、自分自身を今一度見つめなおし、今後より力強く生きていくきっかけをつかみたく、不安を抱えながら伺いました。
最初の一日目と二日目、母に対する内観をしておりました。最初、まったくといっていい程に、小学校から中学時代の記憶が思い出せず、あせる気持ちでいっぱいでした。
私は記憶喪失ではないかと思うほどでしたが、二日目の晩、迷惑をおかけした事を調べている時、25才で自分が仕事に悩み、仕事のミスが増え、出勤するのが苦しく、仕事を辞めようかと思い悩みました。
そして、母に「うつ病の疑いがあるから、心療内科についてきて欲しい。」と、やっとの思いで打ち明けました。母はひどく動揺した様子で、「そんな心の病気だなんて、言わないで。きっとちょっと疲れてるだけで、すぐ治るよ。」と言っただけでした。
私は、その時母に言いにくかったけれど、どうにも苦しくて心細く、助けを求めて言ったのに、つきはなされた気がして、「親は頼れないし、頼りにしてはいけない。私のことより、娘 がうつ病という心の病気だという事を恥じているのだ。世間体 の方が大切なんだ。」と勝手に思い込み、ショックを受けました。
その後、自分で病院を探し、治療に通い、半年ほどで再び働けるようになるまで回復しましたが、無意識のうちに、「親には頼れない。」という思いで、親を憎んでいたことに初めて気 がつきました。
今回内観でその事を思い出した時、つらく涙が出ましたが、「相手の気持ちはどうだったのかを考えてみるんだ。」と思い、母の立場になって観てみました。
すると、「娘もようやく就職し、一人立ちし、一人暮らしも始めて、自立して、安心したと思っていたのに、うつ病になったなんて、信じたくない。きっと何かの間違いに違いない。」とひどく悲しく、動揺している母がいました。
「あなたは考えすぎてナイーブだから、そう思っているだけで、すぐに良くなる。」と私にも自分にも言い聞かせながら、ショックで言葉も返せないでいる母が見えました。
「きっとあの時、母は心の準備もなく、娘から悲しくショッキングな告白をされて、母も苦しく辛かったのだ。自分が余裕がなく、親の気持ちを考えることも出来ず、突き放されたと誤解していたのだ。」と気付きました。
すると、今まで母に対して抱いていた憎しみや不信感が、大量の涙と一緒に流れていったのを感じました。
そして、それと同時に、母がその後も、「最近は、体は大丈夫?無理してはだめだよ。」と優しい言葉をかけてくれていたことなどの記憶をすっかり忘れていたことに気がつき、驚きました。
あの時以降、私の誤解で、母に対して、何故か理由も解らずイライラしたり、横暴な態度をとっていたことに気付き、本当に申し訳なく、すまないと思いました。
その後は、2回目の内観も少し深まり、幼い頃のきゃっきゃっと笑いながら母と遊ぶ自分の姿を調べる事ができ、胸を温かいものがこみ上げてきました。「ああ、私は愛されていたんだ。」という思いと、自分の孤独感が薄れていくのを感じました。
父に対する内観では、父は忙しく、あまり一緒に遊んだ覚えがなかったのですが、調べていくうちに、一緒にお風呂に入った事、山で栗拾いをしたことなど思い出されました。口数の少ない父であったが、私の為に一生懸命働いてくれていたんだと、改めて感謝しました。
反抗期に父に冷たい態度をとったことなども思い出されて、私は良い娘のつもりでいたけれど、ずいぶん自分勝手な所があったと反省しました。
そうなってくると、自分の記憶とはずいぶんと身勝手で、あいまいなものだったかと思うと、私が悲しんだり、ひどいことを言われたという記憶も、実は勘違いや思い違いで、苦手に思った人や、疎遠になった人もいるかも知れないことに気付きました。
そして、今後、そう思って相手の立場で観る事が出来たなら、 人間関係に悩みやすく、悲観的な私も、もっと楽に生きていけるのではないかという一筋の光を見た気がしました。
長年培われたマイナス思考の自分が、すぐに生まれ変わるこ とはできなくても、自分の心がけで変われるという自信が持てると、何だかワクワクと嬉しい気持ちになりました。
大変良い経験になりました。伺えて、内観させていただけて、とても良かったです。
坂村真民詩集
咲いているのに
ちゃんと咲いているのに
念じても花は咲かないと言って
さわぎかなしんでいるのは
首がなくなったと言って
わめき走っているのと同じだ
仏語集
在家の愛欲の生活の中にあっても、愛着に縛られないようにしなければならない。(パーリ、相応部)
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