真言律宗　蓮華院誕生寺

2012年07月14日幸福ニュース第５５７号
義母

私が内観をしようと思ったのは、義母の一言がきっかけでした。それまでは、内観のなの字も知らず、最初は義母の勧めと、１週間お寺にこもることで自分の何かが変ればいいな、というぐらいにしか思っていませんでした。
 

そして迎えた内観初日。最初に思ったことは、「つまらない」でした。やることは、３つのこと（してもらった事、してあげた事、迷惑や心配かけた事）をただ調べる（思い出し、視点を変えて、相手の立場から考えて、気付く）だけです。
 

特に夜はただ寝るだけであり、テレビもラジオも音楽もない、シンとした暗闇の中で、ぼーっと寝るしかないのです。普段電子機器に囲まれて生活している私にとっては、苦痛以外の何ものでもないとさえ感じました。
 

しかし、そう思ったのは最初だけであり、時間が経つにつれ、内観を進めていくにつれて、そういった意識はいつのまにかなくなり、代わりに自分の意外な一面に気付いた時の驚き。
 

自分がいかに愚かで、罪深き人間であったのかという絶望、そして、自分がいかに人に愛されていたのかを知った時の喜びというものを感じていくようになりました。
 

例えば、母が家におらず、父は事実上男手一つで私達兄弟二人を育ててくれました。本当は家計が苦しいのに、まだ子供だった私には一切そのようなことは感じさせないようにしてくれたこと。

父が仕事で忙しく、まだ甘えたい盛りの私にさびしい思いをさせないようにと、兄なりに考えて、いつも遊んでくれたこと。
 

また、父が離婚と再婚をし、義母が家にやってきた時も、義母なりに私のことを考えて接してくれた事。
 

私が間違った行いをし、相手方に多大な迷惑をかけた際にも、当時はまだ父と入籍しておらず、血のつながりも戸籍上のつながりもない赤の他人である私の為に、全くの見ず知らずの人に一緒に頭を下げてくれた等々。
 

家族一人一人に言葉では言い表されないような迷惑、心配をさんざんかけてきたにも関わらず、それに対して自分は、何の恩返しも感謝の言葉さえも返してなかったことに、今回初めて気付かされました。
 

もしも今回内観をしていなかったのなら、このようなことはもっと後に、もはや手遅れの状態になってから気付いたことでしょう。
 

改めて、そういった事を気付かされてくれた義母、そして内観をサポートしてくださった先生方には、とても感謝しています。
 

そして今後は、つまらない意地と見栄を張らず、もっと素の自分をさらけ出して、素直に自分に正直に生きて、少しでも早く、少しでも多く、今まで自分が迷惑かけてきた以上の恩返しをしたいと思います。
 

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【坂村真民詩集】
 

「試練」

この試練を
越えよう
越えた処に
小さい花を
植えよう
生き耐えてきた
あかしの花を
 

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【仏　語　集】
 

耐え忍ぶことは、なし難い修行の一つである。しかしよく忍ぶ者
にだけ、最後の勝利の花が飾られる。（法句経）
 

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＊すごい豪雨でした。普段安全だと思っていても、川の傍や崖の
下は、２０年に一度は、氾濫したり崖が崩れることもあるのだな
ということが、良く解りました。
 

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