1997年12月20日第16号
幸福ニュース
念ずれば花ひらく 百年の大計も先ず一歩
(平成七年初参り貫主様御法話)
{厳しさの中で春を持つ}

今朝、いつものように朝のお参りが済んだ後、境内を巡拝していますと、まだ明けやらぬ境内の一隈から何ともいえぬ爽やかな香りが漂って来ました。今朝は今年になって一番寒い朝でした。

朝霜があたり一面を覆い、すべての草木がひっそりと息をひそめている中での凛とした 紅梅の香りでした。大寒を前にして咲き出す紅梅はおそらく草木の中で一番最初に咲く花ではないかと思います。

人は最も苦しくてつらい時こそ真価が間われると言います。平成不況も底を打ったと言われていますが、まだ苦難の冬を脱しきれず必死の思いで日々を過ごしておられる方も多いと思います。

そのような時こそ念じつづけること、希望を持ちつづけることの大切さを厳冬の中で咲く紅梅は教えてくれているように感じました。(念ずれば花ひらく)の聖句を改めて胸に刻み込んだ朝でした。

ところで皆さんは、一年の計をすでに立てられましたでしょうか?まだ立てていない方は是非一日も早く今年一年の自標を定めていただきたいものです。目標がないと念じようがありません。願いが無いと自分の花を開かせようがありません。

{一年の計と目標}

私の一年の計の立て方はじっくりと考えて決めるというのではなく、お参りの途中にフッと浮かんだことをそばにメモ用紙を用意しておいて書き留めておきます。それらの沢山のメモを見て、後で整理しながら数項目にまとめていくのです。

書き留めたメモを大別すると、み仏様の慈悲をどのように広めていくか(布教)ということ、お寺として社会とどのようなかかわりを持つべきか(社会活動)ということ、そしてそれらを支えるための人づくり(人材養成)にまとめられます。

第一の布教に関しては、ここでは省略させていただきます。第二の社会活動に関しては、すでに十五年前に真如大僧正様によって設立された蓮華院園際協力協会の更なる充実であります。

以前、真如大僧正様が何度かお話しされたことですが、一食布施をしていない人は、皇円大著薩様の信者とは言えない。同胞援助をした事のない人は信者ではない。と随分厳しい事を言われておりました。

それは当山がこれまで行なって来た国際協力はカンポジア難民の方々やタイ・スリランカの貧しい子供達のためだけに行なって来たものではなくこの一食布施や同胞援助を実銭することが、即ち自分自身の修行であり、信仰の証しの一つでもあるからです。

このようにして、み仏様の大い々る慈悲のお手伝いとして行なわれる皆さんの慈悲行(当山では一食布施と同胞援助を総称して慈悲行と言っている)が、ひいては国際協力の現場で大きな働きをするのです。

み仏様にお守り頂いていることへの報恩の行がそのまま慈悲行の形を取って表れた時、皆さんの信仰がより一層確かなものとなるのです。さながら厳寒に花開き、ふくいくたる香りを周りに伝える梅の花のように周りを照らすことのできる信仰にまで高められるのです。

{社会活動と人づくり}

いま一つの対社会的な活動は、昨年五周年を迎えた(親を大切にする子供を育てる会)であります。慈悲行が周りに香りを伝えるのに対して(親子会)は次の世代に香りを伝え、ひいてはその予供達に恥ずかしくない親となり大人となるよう、自らに問いかける運動でもあります。

そして三番目の人づくりに関しましては、真如大僧正様の御遷化以来、葬儀や一周忌三回忌などの時に大勢の方々から頂いたお供えを全て基金として積み立て、それに毎月八日の報恩行の日の一食布施の浄財を加えてまいりました。この(真如大僧正基金)を奨学金として活用することに致します。

{百年の大計を目ざして}

具体的にはまだ充分に検討し、み仏様の御意志を確認してからのことですが、次代の仏法を背負う有為な人材の育成のために活用したいと思っております。これら三つの一年の計はどれ一つとっても一年で終わることのないことばかりですが、後退することなく一歩々々実現に向けて進めてまいる所存です。

このようになすべき事が次々と目の前に控え、それら全てがみ仏様の御加護の中で念じつつ行じつづけることの出来る我が身の幸福をかみしめながら、蓮華院の一年の計を発表させていただきました。皆様もお忙しい事とは思いますが、早めに皆様御自身の来年一年の計、百年の計を立てられることを念じて、今日の話を終りたいと思います。合掌

<坂村真民詩集>
{年齢}

年をとることはいいことだ
これまで何度読んでも
わからなかった言葉が
次第にわかるようになった
我執をはなれ
煩悩をのがれ
物をも人をも
善意の眼で見ることができるようになった
中国の人が年齢をとうとぶ所以も
漸くわかってきた

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